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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)高リン血症の新薬を処方された透析患者
日経DI2014年11月号

2014/11/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年11月号 No.205

出題と解答 :今泉 真知子
(有限会社丈夫屋[川崎市高津区])

A1

(3)他の金属イオン型高リン血症治療薬と比べて水への溶解度が高い。

 近年、慢性腎臓病(CKD)に伴うミネラル・骨代謝異常(CKD-mineral andbone disorder:CKD-MBD)の概念が提唱され、特に血清リン濃度と生命予後の関係が注目されている。リンの主な排泄経路は尿であるため、腎疾患においてカリウムと共に体内蓄積が問題になる場合が多い。腎不全によりリンの排出障害が起きると、高リン血症が生じる。

 透析を必要とする重度の腎不全患者では、十分な透析に加えて、リンの摂取制限を行うが、改善が見られない場合には高リン血症治療薬を投与する。高リン血症治療薬は、食物中のリンを糞便と共に排泄させる作用を持つ。

 今回Hさんに処方されたクエン酸第二鉄水和物(商品名リオナ)は、唯一の水溶性金属塩タイプの高リン血症治療薬である。クエン酸第二鉄は体内に多く存在する生理的金属塩で、食品添加物としても使用されている。第二鉄(3価鉄)は3価の陽イオンであり、同じ3価の陽イオンであるランタン、アルミニウムとほぼ同等のリン結合力を示す。難溶性の沈澱であるリン酸第二鉄を形成し、体外にリンを排出させる。人工透析患者を対象とした臨床試験では、投与開始から1週間で血清リン濃度の低下が認められた。

 高リン血症治療薬には他に、難溶性金属塩である沈降炭酸カルシウム(カルタン他)、炭酸ランタン水和物(ホスレノール)、イオン交換樹脂であるセベラマー塩酸塩(レナジェル、フォスブロック)およびビキサロマー(キックリン)などがある。クエン酸第二鉄は透析患者を対象とした臨床試験において、セベラマーに対する非劣性を示している。

 先行する他の薬と比較したクエン酸第二鉄の利点は、副作用が少ないと考えられることである。まず、炭酸カルシウムと比較すると、副作用である高カルシウム血症を来す懸念が少ない。また炭酸ランタンで報告されている悪心、嘔吐の発現、セベラマーでみられる便秘や、それに伴う腸管穿孔などの重篤な胃腸障害が発現する懸念も少ないと考えられる。1)

 ただし、リオナには1日摂取量の6錠中360mgの鉄が含まれている。大量の鉄イオンを服用することに伴う鉄過剰症には注意が必要で、添付文書でも血清フェリチンなどの鉄に関する検査指標の定期的な測定を求めている。特に、腎性貧血の治療に用いられる赤血球造血刺激因子製剤と併用する場合には、過剰造血に注意することとなっている。また、糞便中に難溶性の金属塩を排泄することから、臨床試験では下痢の副作用が10.1%、便秘が3.2%、腹部不快感が2.5%の患者で見られている。

 クエン酸第二鉄の製剤上の特徴は、比表面積を大きくすることで、消化管で速やかに溶解するようにしている点である。他のリン吸着薬も同様に消化管内で溶解するが、難溶性であるため、完全に溶けるまでに時間が掛かる。早く溶解すれば、食物に含まれるリン酸をより多く吸着できると期待されるため、水溶性であることはリン吸着薬として都合がよいと考えられる。

 また、吸着後に形成されるリン酸塩の溶解度が低い点も特徴に挙げられる。3価の陽イオンとリン酸が結合したリン酸第二鉄は、2価の陽イオンとリン酸が結合したリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムと比較して水への溶解度が低い。これは血清中のリン酸値の効率的な低下につながると考えられる。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 腎機能が低下された方はリンが排出されにくくなるのが問題になります。今回処方されているリオナというお薬は、リンをよりうまく排出するために処方されたものです。この薬はリンを排出しやすくする他の薬より水に溶けやすいという特徴があり、消化管で早く溶け、食べ物の中に含まれるリンと結合して、消化管から吸収されるのを防ぎます。いったんリンと結合すると分解しにくくなり、そのまま便と排出されます。また、他の薬に比べて副作用が起きにくいと考えられている薬です。便秘が気にならなくなるかもしれませんので、服用して様子を見てください。

参考文献
1)リオナ錠250mg 審査報告書(医薬品医療機器総合機構)

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