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DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)不妊治療にパーキンソン病治療薬?
日経DI2014年10月号

2014/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年10月号 No.204

出題と解答 :堀淵 浩二
(クオール株式会社[東京都港区]西日本薬局事業本部)

A1

高プロラクチン血症による排卵障害

 不妊症の原因の一つに、血中のプロラクチン濃度が基準値を超えて高値を示す高プロラクチン血症がある。プロラクチンは、大部分が下垂体前葉のプロラクチン分泌細胞で産生されており、乳腺の発達や乳汁分泌、黄体機能の調節などの生理作用を示す。

 プロラクチンが高値になると、乳汁漏出や排卵障害、月経異常(無月経、希発月経、黄体機能不全)、骨量減少といった症状が表れる。排卵障害や黄体機能不全などの卵巣機能不全が不妊症に結びつくと考えられている。高プロラクチン血症は、生殖異常のある女性のうち、9~17%で認められるとの報告がある。

 高プロラクチン血症を引き起こす原因には、機能性や薬剤性、プラクチノーマ(プロラクチン産生下垂体腫瘍)などがある。このうち機能性高プロラクチン血症は、下垂体からのプロラクチン分泌が亢進している状態を指し、その原因としてプロラクチン分泌を抑える視床下部のドパミン分泌が充足していないことが考えられている。

 そのため、高プロラクチン血症の薬物療法では、ドパミン作動薬を第一選択とする。カベルゴリン(商品名カバサール他)、ブロモクリプチンメシル酸塩(パーロデル他)、テルグリド(テルロン他)は、高プロラクチン血症に適応があり、カベルゴリンとテルグリドはパーキンソン病の適応も有する。今回、処方医が「薬局でパーキンソン病の薬と説明されるかもしれない」と話したのはそのためで、これらの薬が処方されている場合は、不要な不安を避けるため、服薬指導の前に患者に必ず病状を確認しなければならない。

 Nさんに処方されたカベルゴリンは、血中半減期(T1/2)が43時間(ただし薬物投与24時間までの測定値から求めた半減期)と長いため、週1回就寝前の服用でよいのが特徴である。また、他のドパミン作動薬に比べて消化器症状の副作用が少ない。治療は、0.25mg/回の服用から開始し、プロラクチン値が正常化するまで2週間以上空けて0.25mg/回ずつ増量する(維持量は0.25mg/日~0.75mg/日)。

 ドパミン作動薬投与後、速やかにプロラクチン値が低下し、90%の患者で3カ月以内に排卵を認めるとの報告がある。ただ、ドパミン作動薬の服用はあくまでもプロラクチン値の低下であるため、基準値を下回っても排卵が伴わない場合には排卵誘発(ゴナドトロピン療法やクロミフェン療法)などを追加する。ドパミン作動薬による催奇形性は否定されているが、妊娠した場合には服用を中止する。

 近年、パーキンソン病治療でカベルゴリンが用いられた際、副作用として心臓弁膜症の報告が相次いでいる。パーキンソン病治療に比べて用量は少ないものの、リスクを高める可能性も考えられるため、ドパミン作動薬を長期間服用している患者には、定期的に心臓の状態について主治医に相談するようアドバイスしたい。

 なお、高プロラクチン血症を引き起こす薬剤としては、抗精神病薬などのドパミン受容体阻害薬が挙げられる。作用が相反する薬剤が処方されないよう、他科を受診する際にはカベルゴリンを服用していることを医師に伝えるよう説明する。

こんな服薬指導を

イラスト:YAB

 不妊の原因の一つに、体内でプロラクチンというホルモンが増えて、排卵が妨げられることがあります。今日からお飲みになるカバサールは、パーキンソン病にも使われる薬ですが、プロラクチンの量を減らす働きがあります。長い時間効果が続くので、毎週同じ曜日の寝る前にお飲みください。

 カバサールによる赤ちゃんへの影響は認められていませんが、念のため、妊娠したらお薬はやめることになります。また、全く逆の働きをするお薬がありますので、他の先生にかかる際には、このお薬のことを先生にお話しください。

参考文献
1)産婦人科の実際 2012;61:1141-8.

※本クイズは、書籍『日経DIクイズ15』からの再掲載です。

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