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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)アスピリンとPPIの合剤の服用方法
日経DI2014年10月号

2014/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年10月号 No.204

出題と解答 :今泉 真知子
(有限会社丈夫屋[川崎市高津区])

A1

(1)水で飲む。

A2

(2)内側にアスピリン、外側にランソプラゾールの2層構造になっている。

 アスピリンとランソプラゾールの配合剤であるタケルダは、2014年6月に発売された薬剤で、1錠中にアスピリン100mg、ランソプラゾール15mgが含まれている。適応症は、「狭心症、心筋梗塞、虚血性脳血管障害のある患者、および冠動脈バイパス術(CABG)や経皮的冠動脈形成術(PCI)の術後患者の血栓・塞栓の抑制」であり、その中でも胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往のある患者に限られる。

 Tさんはこれまで、胃潰瘍の治療目的で、タケプロン(ランソプラゾール)の口腔内崩壊(OD)錠を服用していた。今回、息切れを感じて受診したところ、狭心症と診断されたとのことである。狭心症の患者には抗血小板作用のあるアスピリンが処方されるが、アスピリンは、プロスタグランジンE2の胃粘膜保護作用も阻害してしまうため、経口投与した場合に潰瘍を引き起こす恐れがある。特にTさんのような胃潰瘍の既往のある患者では、注意が必要となる。

 このため、アスピリンによる抗血小板療法を行う場合には、ランソプラゾールのようなプロトンポンプ阻害薬(PPI)が併用されることが多い。PPIは胃粘膜の酸分泌を抑制し、潰瘍の発生を防ぐ。タケルダは、これらアスピリンとランソプラゾールの服用を一剤で済ませられる薬剤である。

 タケルダは、腸溶性のアスピリンを腸溶性のランソプラゾールで包んだ構造となっており、胃内では溶解しない。腸に到達してまずランソプラゾールが溶解し、次いでアスピリンが溶解されるため、消化器潰瘍が起きにくいことが期待される。

 配合剤を用いた試験ではないが、低用量アスピリン(81~324mg/日)の長期投与を必要とし、かつ胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往歴のある患者を対象に、ランソプラゾールと消化性潰瘍治療薬のゲファルナートを比較したランダム化比較試験では、胃潰瘍または十二指腸潰瘍の発生は、ランソプラゾール群で有意に少なく、ゲファルナート群に対するハザード比は0.0989であった。

 タケルダの錠剤は直径10.0mm、厚さ5.4mmであり、タケプロンOD錠30(同11.5mm、4.9mm)と大差ない。しかし、タケルダは腸溶錠であり、口腔内崩壊錠のような水なしでの服用は困難である。また、かみ砕くと胃粘膜にアスピリンが作用する可能性が考えられ、潰瘍を助長する恐れがある。そのため患者には、タケプロンとは服用方法が異なることを説明し、かみ砕かずに必ず水で服用するよう指導する必要がある。

 なお、低用量アスピリン服用時の胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制が認められているPPIは、タケプロンとネキシウム(一般名エソメプラゾール)だけであり、ランソプラゾールの後発品には適応がない(2014年9月現在)。今後、ランソプラゾールの後発品が低用量アスピリン服用時の消化性潰瘍抑制の適応を取得すると考えられるが、その場合でも、配合剤であれば薬局でランソプラゾールを後発品に変更されることがないため、メーカーにとってタケルダはタケプロンの販売額落ち込みを防ぐ上でも有効と思われる。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 今回処方されたタケルダは、これまでTさんが飲まれていたお薬と見かけはやや似ていますが、成分と製法が少し異なります。狭心症のお薬であるアスピリンを、これまでTさんが飲まれていたタケプロンの成分で包んだ構造になっています。アスピリンを飲むと胃潰瘍を起こしてしまう可能性がありますので、ランソプラゾールと合わせることにより、胃潰瘍を起こしにくくしてある薬です。

 これまでのタケプロンは口腔内崩壊錠といって、口の中で溶ける性質でしたが、タケルダは腸に入ってから溶け、口の中では溶けませんので、必ずお水と一緒に服用してください。また、薬がそのままの形で腸に届くよう、口の中でかんだりせず、飲み込むようにしてください。

参考文献
1)J Gastroenterol.2011;46:724-35.

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