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DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A)ピル服用中の頭痛に不適な鎮痛薬とは
日経DI2014年10月号

2014/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年10月号 No.204

出題と解答 :福田 剛
(株式会社ザグザグ[岡山市中区])

A1

(4)タイレノールA(アセトアミノフェン)
(5)ノーシン(アセトアミノフェン・エテンザミド・カフェイン水和物)

 月経困難症の患者に処方されるルナベル(一般名ノルエチステロン・エチニルエストラジオール)は、合成黄体ホルモン(ノルエチステロン)と合成卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール)の配合剤である。排卵抑制作用と子宮内膜増殖抑制作用があり、プロスタグランジンの産生抑制を介して、子宮平滑筋収縮などによる疼痛を緩和する作用を示す。経口避妊薬の一種であるが、月経困難症の治療薬として保険適用されている。

 厚生労働省が2013年に実施した国民生活基礎調査によると、20代女性の月経不順・月経痛の有訴者率は人口1000人当たり47.3人、30代女性では同42.3人で、これらの症状に悩む患者は多い。ルナベルはこのような患者に使用されている。しかし副作用も多く報告されており、臨床試験では87.9~94.9%の被験者に何らかの副作用が見られた。臨床試験時の主な副作用は、不正性器出血、悪心、頭痛、月経過多などである。特に頭痛は、臨床試験において5.3~17.3%の頻度で発生している。

 Mさんはルナベルの副作用による頭痛を心配して来局した。注意しなければならないのが、アセトアミノフェンとの相互作用である。併用により、頭痛の誘発・増悪を招きかねない。

 ルナベルの添付文書によると、併用注意の薬剤として挙げられている中にアセトアミノフェンがある。経口投与したアセトアミノフェンは、そのほとんどが主代謝産物であるグルクロン酸抱合体および硫酸抱合体として排泄される。一方、エチニルエストラジオールは、肝ミクロソームの代謝酵素によって不活性代謝物に変換された後、硫酸抱合あるいはグルクロン酸抱合され、排泄される。

 両者を同時投与すると、アセトアミノフェンがエチニルエストラジオールの硫酸抱合を阻害し、硫酸抱合を介する排泄を遅らせる。この結果、エチニルエストラジオールの血中薬物濃度時間曲線下面積(AUC)が22%上昇したという報告がある1)。一方、女性ホルモンが関連する頭痛は、エストロゲン(卵胞ホルモン)の血中濃度が低下する時や、ピルの飲み始めの時に、発症または増悪することが知られている。つまり、アセトアミノフェンの併用によりエチニルエストラジオールの血中濃度が変動することで、さらに頭痛が悪化してしまうことが考えられる。

 さらに、エチニルエストラジオールには、肝臓でのアセトアミノフェンのグルクロン酸抱合を促進し、排泄を促して血中半減期を2.4時間から1.7時間に短縮する作用もある。この結果、アセトアミノフェンの鎮痛作用が弱まることも考えられる。

 このような相互作用は、エチニルエストラジオールを含む全ての内服薬で生じる可能性があり、実際の報告例もある。同成分を含む薬を飲んでいる患者には、ロキソプロフェンナトリウム(商品名ロキソニンS)やイブプロフェン(イブ他)などのOTC薬を薦める方がよいだろう。

 ルナベル配合錠を処方されている患者が留意すべきOTC薬の成分として、他にテオフィリンがある。テオフィリンは第一類医薬品の鎮咳去痰薬に含まれている。エチニルエストラジオールがテオフィリンの代謝を抑制する2)ため、テオフィリンの効果が増強され、吐き気や頭痛などの副作用が出る可能性がある。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 生理痛でルナベルを飲まれているのですね。ルナベルの副作用の一つに、頭痛があります。薬局で販売している鎮痛薬には様々な製品がありますが、ロキソプロフェンやイブプロフェンを有効成分とするお薬をお薦めします。

薬局で売っている薬のうち、アセトアミノフェンを含む製品はルナベルと併用しない方がよいでしょう。アセトアミノフェンはルナベルの働きを強めたり、ルナベルによって効き目が弱まることもあり、かえって頭痛が悪化する恐れがあります。アセトアミノフェンは風邪薬などにも含まれているので注意してください。今後、薬局で薬を購入される場合には、アセトアミノフェンが入っていないものを選ぶといいでしょう。

参考文献
1)Br J Clin Pharmacol.1987;23:721-5.
2)J Lab Clin Med.1983;101:821-5.

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