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医師が語る 処方箋の裏側
慢性蕁麻疹を再燃させない、抗ヒスタミン薬の使い方
日経DI2014年10月号

2014/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年10月号 No.204

 「蕁麻疹が、どこの病院に行っても治らないんです」と、困り果てた顔で訴えた大柄な男性、家弓光彦さん(仮名、52歳)。1年前から首周囲に蕁麻疹が表れ、これまで3箇所の医療機関で抗ヒスタミン薬を処方されたが、薬を止めるとすぐ再燃するという。

 病悩期間が1カ月以上の蕁麻疹を慢性蕁麻疹と呼び、1日のほぼ決まった時刻に発疹と痒みが表れるという特徴がある。家弓さんに確認すると、「夜10時頃、家でくつろいでいる時に蕁麻疹が出る」とのことだった。

 慢性蕁麻疹の治療では抗ヒスタミン薬が第一選択薬となるが、再燃させないためには、(1)痒みや発疹が出なくなっても薬を止めない、(2)効果が不十分な場合は薬を変更するのではなく増量する、(3)服用時点は蕁麻疹の出るタイミングに合わせる─という3点を守って薬を使うことが肝要だ。お薬手帳で治療歴を確認したところ、抗ヒスタミン薬を次々と変更していたり、朝食後や就寝前など家弓さんの発疹発現パターンとは合わない処方だったりと、薬の使い方に難が見受けられた。処方量はどれも常用量で、大柄な家弓さんには量が少なすぎた恐れもあった。

 そこで家弓さんには、ザイザル(一般名レボセチリジン塩酸塩)を1錠(5mg)、夕食後服用で7日分処方。さらに、「効き目が不十分だったら朝にも1錠飲むように」と説明した上で、頓用で7回分処方した。

 同じ薬を常用と頓用で重ねて出す処方はあまり目にしないかもしれないが、狙いは家弓さんへの有効量を探ることにある。1週間後の再診時に服薬状況を確認し、毎日頓用していたなら常用量の倍量の10mgが必要と判断して1回2錠服用とし、ほとんど頓用していなければ5mgのままとする。慢性蕁麻疹の場合、発疹や痒みの有無に関わらず2~3カ月は有効量の服用を続けることが再燃率を下げるので、薬局でも服薬を続けるよう十分に指導してほしい。(談)

幸野 健氏
KonoTakeshi
日本医科大学千葉北総病院教授(皮膚科)。1980年大阪市立大学医学部卒業。同大学皮膚科学教室講師、カナダ・トロント大学医学部リサーチフェロー、市立吹田市民病院(大阪府)皮膚科部長、関西労災病院(兵庫県尼崎市)皮膚科部長などを経て2010年に日本医科大学付属病院准教授、13年より現職。専門はアレルギー性皮膚疾患、乾癬、膠原病、創傷治療。

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