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開設相次ぐ医療モール 医薬分業の理念に合っているのか

2014/10/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年10月号 No.204

 大手薬局チェーンなどが、同じビル内に複数の診療所を集めた「医療モール」を積極的に展開している。日本経済新聞の記事によれば、日本調剤は今年度だけで10件以上の医療モールの開設を計画しており、総合メディカルも資本関係がある三井不動産と協力し、やはり10件以上を新たに設ける計画だ。総合病院の前に薬局を作る、いわゆる門前薬局が飽和状態になりつつある中、次のビジネスモデルとして医療モールに目をつけたのだろう。

 さてこの医療モール、法的には問題ないかもしれないが、その在り方に疑問を感じないだろうか。保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則にも、健康保険事業の健全な運営の確保(第2条の3)として、「保険医療機関と一体的な構造とし、又は保険医療機関と一体的な経営を行うこと」を「行ってはならない」としている通り、医薬分業の観点から見るといびつな建築物だからだ。

 医療モールには以下のような問題があると思う。第一に、医薬分業の理念を損なう。一般的なビル型の医療モールは、同じビルの上階に複数の診療所、1階に薬局という構造になっている。現在の法律では、診療所と薬局の出入口が別々で、たとえ一歩でも公道を介せば診療所と薬局は一体的な構造ではないとみなされる。だが客観的に見れば同じビル内にあるわけで、診療所と薬局が一体的な構造であることは明白である。薬局は上階の診療所から発行された処方箋をほぼ独占できる。これが医薬分業のあるべき姿だろうか。

 第二に、診療所と薬局の癒着を招く恐れがある。医療モールのテナントは診療所と薬局がそれぞれ貸借契約しているのだろうが、そこに不透明さがある。以前、医療モールに開業を決めた医師と話をしたが、開業前にオーナーと医師と薬局開設者とで協議を行い、薬局が家賃を高く払う分、診療所は家賃が安くなったと喜んでいた。その理由は推して知るべしだ。それどころか、薬局が医療モールの事実上のオーナーという場合さえある。これらは違法ではないが、そこで利益供与と疑われても仕方のない行為が行われていないと、言い切れるだろうか。

 そして第三の問題が、調剤基本料の特例逃れだ。4月の診療報酬改定で、処方箋受付回数が月間2500回超で特定の医療機関の集中率が9割を超える薬局は、特例として調剤基本料が引き下げられることとなった。門前薬局に対する評価の見直しとして設けられたものだが、上階に複数の診療所がある医療モールは集中率が分散し、この調剤基本料の特例を免れている。実態としては門前薬局と変わらないのに、調剤基本料の特例の対象にならないというのは、公平と言えるだろうか。

 医療モール自体には、優れた部分もある。患者にとって便利だし、開業希望の医師はチャンスが増える、そして薬局は患者を囲い込める。まさに誰もが得をするwin-winの仕組みである。

 だが、繰り返しになるが、医薬分業の観点からするといびつな事業形態なのは間違いない。薬局が次々と医療モールを建てるのを見て、医薬分業の意義を問う声はさらに高まりかねない。

 上に挙げた問題のうち、初めの二つは他でも起こり得るものだが、三つ目は医療モール特有と言えるだろう。まずは医療モールに対しても、同一建物にある診療所の集中率は一括して計算するなど、評価の見直しを行うべきではないだろうか。(みち)

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