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患者指導ワンポイントレッスン
ドライマウスの症状を緩和するケア
日経DI2014年9月号

2014/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年9月号 No.203

監修 志村 真理子氏
(NTT東日本関東病院歯科口腔外科)

 ヒトの唾液には、口腔内を潤し、食物の消化や嚥下を助ける働きがある。ドライマウスとは、唾液の分泌量が減り、口腔内が乾いて、ねばつきや、舌の痛みを感じる状態のことだ。食べ物が飲み込みにくくなる、舌が動かず話しづらくなるという症状を感じる患者もいる。文末のリンク先に患者向けのチェックリストを作成したので、参照してほしい。

 ドライマウスのうち保険診療が可能なのは、シェーグレン症候群と、癌の放射線治療の副作用で生じるドライマウスのみだ。だがそれ以外にも、多くの患者で、加齢やストレス、噛む力の低下などの複合的な要因によってドライマウスが生じていると見られる。加齢による唾液腺の萎縮や、ストレスによる自律神経の不調は、唾液の分泌量を減らす原因になる。また、唾液の分泌は咀嚼運動により促進されるため、噛む力が弱まると唾液の量も減少する。

 薬の副作用としてのドライマウスは、単剤では頻度は少ないが、多剤併用患者では症状を訴える人が増える。抗うつ薬など精神疾患の治療薬を服用している患者で口の渇きを訴える人は多いものの、薬の副作用というだけでなく、病気の症状の一つとしてドライマウスが現れているケースもある。薬剤が原因のドライマウスであっても、優先されるのは疾患の治療であるため、症状を軽減させて治療を継続できるようにすることが重要になる。

口唇のストレッチが有効

 ドライマウスの症状を和らげ、日々の生活の質を改善するためには、患者自身によるセルフケアが有効である。唾液は日中に盛んに分泌されるが、睡眠中には分泌されないというサイクルがあるため、まずは規則正しい生活を送るようアドバイスする。ストレスが原因の場合には、リラックスできるよう周囲の環境を整えるのも、ドライマウスの症状の改善に役立つ。

 唾液腺の働きを活発にするためには、口の運動も有効だ。よくかんで食べる、唇や舌のストレッチをするといった方法で、唾液腺を刺激すれば、唾液の分泌を改善できる。

 口・舌の運動の他、薬局やドラッグストアで販売されている口腔ケア製品を活用してもらうのも選択肢の一つだ。アルコールを含まない低刺激性のマウスウオッシュはドライマウスのケアにも適している。また、ドライマウス専用口腔ケア製品も市販されている。発泡剤を含まない歯磨き粉や、うがいをして吐き出すタイプのマウスリンス、口腔内に塗布するジェル状の保湿剤などだ。ジェル状の保湿剤は、人差し指の第一関節よりも少し短いくらいの分量をとり、できれば口腔内には舌で塗り広げることを勧める。保湿剤の塗布と舌のストレッチを同時に行え、ジェルを指で口の中に塗る場合よりも高い効果が期待できる。

 ドライマウスの患者では、症状として舌や口腔内の痛みを訴える人がいる。そのような人の中には、口の中の痛みから、自己判断で口内炎の市販薬を長期間使用してしまう患者もいる。適応症と異なる薬を長期間使用することは望ましくないため、口内炎用薬を頻繁に買い求める人に気付いたら、症状について尋ねてみるとよい。

 口内炎の多くを占めるアフタ性口内炎では、口腔内に痛みを伴うアフタ(灰白色斑)が生じる。これに対しドライマウスの痛みは、粘膜の乾燥に原因がある。特に口内炎の所見がないにも関わらず、口腔内の痛みを訴える患者で、水分を摂取した直後や食事中などには痛みが和らぐような場合はドライマウスの可能性があるため、セルフチェックを勧めてほしい。


指導箋は、複製して配布するなど、薬局での患者指導に自由にご活用ください。DIオンライン(http://di.nikkeibp.co.jp)からもダウンロードできます。

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