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薬局なんでも相談室2
相談室2:赤十字マークは薬局で使ってはダメ?

2014/09/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年9月号 No.203

 白地に赤色の十字マーク(赤十字マーク)は、“医療”を象徴するものではありません。赤十字マークは、戦時に、戦争や紛争で傷ついた人と、その人たちを救護する人や施設などを守るために使用されるもので、このマークを掲げている病院などに攻撃を加えてはいけないことが、国際的に定められています。そのため平時から、むやみに赤十字マークを使用すると、本当の意味を見失わせてしまうことになるため、病院や診療所、薬局、救急箱・薬箱、あるいは医療や看護をイメージした表示などに使用することはできません。

 赤十字マークを使用できるのは、日本赤十字社や自衛隊の衛生部隊などジュネーブ条約等によって使用が認められている組織だけですが、日本赤十字社の病院や献血ルームなどで使用されているのをしばしば目にして、“医療”を象徴するマークであると、誤解されているのかもしれません。ただし例外的に、多くの人が集まる所で、けがをした人や具合の悪くなった人に無料で手当てを施す救護場所を示すために、日本赤十字社の許可を受けて、赤十字マークを使用することがあります。例えば、国民体育大会における救護所などがそれに当たります。

 赤十字マークの体裁には、上下左右のバランスや寸法などの細かい定めはありません。なぜなら戦時に、常に正確なマークが書けるとは限らないからです。そのため、一般的に「赤十字マークかな?」と思われる類似したマークについても使用が制限されます。具体的には、十字の色は、赤色だけでなく赤系統であれば類似となり、背景の色も白系統であれば類似と見なされます。また、十字が傾いていたり、長さや形状が変わっていても類似と判断されます。

 なお、ジュネーブ条約上、赤十字以外で使用が制限されているマークには「赤新月」「レッドクリスタル」があります(図)。「赤新月」は赤色の三日月型のマークで、「十字がキリスト教を連想させる」ことから、主にイスラム教の国で使用されています。また、宗教的な理由で十字も三日月型も使用しないイスラエルには、白地に赤い菱形を配した「レッドクリスタル」の中心に独自のマークを入れて使用することが認められています。このように、各国で使用するジュネーブ条約上の標章は異なりますが、いずれの国も標章の持つ本当の意味や尊厳を守ろうとしています。

図 赤十字と同一の意味を持つ「赤新月」(左)と「レッドクリスタル」

※いずれも白地に赤のマーク

 日本赤十字社では、パンフレットを作成したり、救急法の講習会などで赤十字マークについて説明するなどの啓発活動を行ってきましたので、赤十字マークの正しい意味は徐々に浸透してきていると考えています。しかし日本赤十字社本部には、月に2~3件ほどですが、一般の方から「近所の病院で赤十字マークを使っているが、使ってよいのか?」というような問い合わせが寄せられているのも事実で、さらなる啓発が必要だと考えています。

 薬局は地域住民にとって、身近な存在です。まずは薬剤師の方に、赤十字マークの正しい意味を理解していただき、正しい使用に努めてもらえればと思います。

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