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薬局なんでも相談室1
相談室1:認知症患者の家族にどのように接すればよいのか?
日経DI2014年9月号

2014/09/10
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日経ドラッグインフォメーション 2014年9月号 No.203

 ご相談にある通り、“介護疲れ”の可能性は十分に考えられます。来局される家族の方は、かなり真面目な性格なのではないでしょうか。こういった方は、一人でいろいろなことを抱え込んでしまうため、介護を“やり過ぎ”てしまうことが少なくありません。まずは声を掛けて、話を聞いてあげるだけでも、介護者の救いになります。その上で、確かに介護のやり過ぎがあるようでしたら、それを止めるのが医療機関の役割です。「一人で頑張り過ぎないで、施設などにお願いしてみてはいかがですか」と伝えてみてもよいでしょう。

 認知症には、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症(VaD)、レビー小体型認知症(DLB)などがありますが、わが国で最も多いのはADです(約70%)。認知症のうちADなどには現在、根本的な治療法がなく、発症すると、家族は最期まで対応を続けなければなりません。

 認知症の症状には、中核症状と周辺症状の2つがあります。中核症状は何らかの原因で脳の神経細胞が脱落することで起こります。記憶障害(直前に起きたことを忘れる)、見当識障害(時間・場所・人物が分からなくなる)などです。このような障害によって、認知症患者には、今住んでいるこの世界が変容してきます。そのため、生活を共にする家族と認識の食い違いが生じ、その反応として様々な症状が周辺症状として出てきます。具体的には、不安、うつ状態、幻覚・妄想、徘徊、暴力的になるといったことが挙げられます。

 これらは介護者にとって大きな負担となります。周辺症状は患者個々の置かれた状況によって表れ方が様々であり、その人に合った対応が求められます。患者のバックグランドを知らないと本当の解決にはなりません。

 近年、マスメディアで取り上げられることの多い徘徊については、しばしば“居心地の悪さ”が原因となっていることがあります。例えば、認知症の親を介護するに当たって家をリフォームしたとしましょう。家族としては一生懸命、頑張っているのですが、患者は住み慣れた、自分の記憶にある家の方がいい。たまたま家族に叱られたりして不満が出てくると、「ここは自分の家ではない」と言って、出て行ってしまいます。この場合、「ここは自分の家でしょう」と、健常者の常識で接するのではなく、認知症患者の世界に沿うことが大切です。例えば、一緒に散歩をすれば、その間に前のことは忘れてしまい、町内を一周して戻ってきたときに、「家に着きましたよ」という具合に対応するのも一つの手でしょう。

 認知症の様々な症状に対応するためには、チーム医療が重要ですが、そのメンバーには、医師や看護師だけでなく、家族も行政も、そして薬剤師も含まれます。認知症患者は自己管理が困難なので、きちんと薬を飲むことも難しくなります。本当に薬をきちんと飲んでいるのか、どう管理しているのかを家族から聞き取り、服薬指導を行うことは、薬剤師の重要な役割です。薬局も大切な治療空間の一つだと考えて、患者・家族に接するよう心掛けてください。

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