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医師が語る 処方箋の裏側
透析患者に処方するプレガバリンの狙い
日経DI2014年8月号

2014/08/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年8月号 No.202

 プレガバリン(商品名リリカ)は、神経障害性疼痛および線維筋痛症に適応を持ち、痛みを伴う疾患によく使用される。私はこの薬を、透析患者に処方することがある。透析患者によく見られるレストレスレッグス症候群(RLS)、いわゆるむずむず脚症候群の治療に奏効するからだ。

 透析患者にはRLSが2~3割と高率で発生する。透析で除去できない尿毒症性物質が神経を刺激するためと考えられており、腎移植を行うとRLSが改善する例が多いことからもその関係がうかがえる。

 RLSには一般に抗パーキンソン病薬や抗てんかん薬などが用いられるが、私がプレガバリンを使用する理由は、この薬剤が痛みを除去する薬剤であり、抗パーキンソン病薬などよりもRLSの症状を抑える力が強いと考えられるためだ。

 当院で2012年に6人の患者に処方した結果を解析したところ、全例で効果が認められ、痛みの指標であるVASスコア(10点満点)が平均8.0から0.8にまで有意に低下した。RLSの重症度を表すIRLSスコア(40点満点)も、平均25から10まで有意に低下した。

 最近、米NEJM誌にプレガバリンがプラセボに比べて有意にRLSの症状を抑制したとの論文(N Engl J Med.2014;370: 621-31.)も掲載され、プレガバリンのRLSに対する有用性に注目が集まっている。ただ、プレガバリンには倦怠感およびふらつきが生じやすいという感触がある。そのため、患者によっては適さないケースもある点に注意が必要だろう。

 なお、プレガバリンは添付文書上、クレアチニンクリアランスが15mL/min未満の患者には1日1回25mgから開始、最高投与量は1日1回75mgである。また、プレガバリンは血液透析で除去されるため、透析後に補充を行うよう記されている。ただ、私は患者の服薬コンプライアンスを考慮し、補充は行わないことも多い。(談)

岩堀 徹氏
Iwahori Tohru
幸有会記念病院(千葉県花見川区)副院長、同病院腎・免疫内科部長。1989年川崎医科大学医学部卒。東京大学大学院医学研究科(血液内科、骨髄移植)、東京医科大学八王子医療センター第五外科(血液浄化部門)講師、米国スタンフォード大学医学部研究員などを経て、2010年から現職。医学博士。専門は腎臓、膠原病、透析、血液浄化。

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