DI Onlineのロゴ画像

DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A)自分のシングレアを子供に飲ませたい母親
日経DI2014年8月号

2014/08/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年8月号 No.202

出題と解答 :今泉 真知子
(有限会社丈夫屋[川崎市高津区])

A1

(2)チュアブル錠の方が最高血中濃度到達時間(Tmax)は短い。

(4)チュアブル錠の方が最高血中濃度(Cmax)は高い。 

 小児喘息の治療では、ステロイド吸入薬と共に、抗アレルギー薬が処方されることが多い。

 抗アレルギー薬の種類は多く、メディエーター遊離抑制薬、抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)、トロンボキサンA2(TXA2)阻害薬、Th2サイトカイン阻害薬、ロイコトリエン(LT)受容体拮抗薬などがある。

 今回、8歳のCちゃんに処方されているシングレアチュアブル錠(一般名モンテカルストナトリウム)はLT受容体拮抗薬である。別ブランドとしてキプレスという商品名でも販売されており、剤形は同じである。

 モンテカルストはシステイニルLTタイプ1受容体に選択的に結合し、炎症惹起メディエーターであるロイコトリエンD4(LTD4)やロイコトリエンE4(LTE4)による気管支収縮、血管透過性の亢進、粘液分泌促進などを抑制する。この作用に基づき、喘息や鼻水、鼻詰まりなど、鼻粘膜で起きるアレルギー症状の改善のために使用される。

 シングレアには、チュアブル錠(咀嚼錠)がある。チュアブル錠は、噛み砕いて服用するもので、通常の錠剤と同様、消化管吸収される。口腔内崩壊錠と同様、水なしで飲めるが、口腔内崩壊錠が唾液で自然に崩壊するのに対し、チュアブル錠は咀嚼しなければ錠剤の形状が口腔内でしばらく維持される。一般に、通常の錠剤よりも大型で、噛み砕かないと飲み込みにくい。水と一緒に飲む通常の錠剤が苦手な小児や、水分制限のある透析患者などに投与される。

 さて、Cちゃんの母親は、自分に処方されたシングレア5mgの残薬を、Cちゃんに与えることはできないかと質問している。しかし、母親の薬をCちゃんが使用することはできない。

 まず、用法の問題がある。シングレアにはチュアブル錠、錠剤(5mg、10mg)、細粒(4mg/1包)がある。チュアブル錠と細粒は気管支喘息のみ、錠剤は気管支喘息とアレルギー性鼻炎が適応になっている。錠剤の添付文書には、気管支喘息に用いる場合、「6歳以上の小児に対してはチュアブル錠5mgを、1歳以上6歳未満の小児には細粒4mgを投与すること」と記載されている。

 また、シングレア錠はフィルムコーティング錠(FC錠)であり、チュアブル錠とは薬物動態にも違いがある。

 成人において、チュアブル錠10mgとFC錠10mgの薬物動態を比較したデータによれば、チュアブル錠では最高血中濃度到達時間(Tmax)は1.9±0.3時間、FC錠ではTmaxは3.9±1.4時間であった。

 また、チュアブル錠の最高血中濃度(Cmax)は494±83ng/mL、FC錠は333±110ng/mLであり、チュアブル錠の方がCmaxは高い。消失半減期にはそれほど差がないが、体内に取り込まれた薬の量を示す指標である血漿中濃度ー時間曲線下面積(AUC)も、チュアブル錠2938±583ng・hr/mL、FC錠2448±779ng・hr/mLと違いが出ている。つまり、チュアブル錠の方がFC錠と比較してバイオアベイラビリティが高いのである。

適応や用法のみならず、剤型による薬物動態の違いを理解して、薬剤の使い回しはしないように注意したい。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 Cちゃんに処方されていたお薬と、お母様に処方されていたお薬は、確かにどちらもシングレアという名前で、成分量も5mgです。でも、Cちゃんのシングレアチュアブル錠とお母様のシングレア錠では、錠剤の性質が異なり、服用後の薬の作用時間などに違いがあります。その関係で、小児の気管支喘息にはチュアブル錠を使うことが決められていますので、お母様のお薬をCちゃんが使うことはできません。

 医師が処方するお薬は、処方された人だけが使うものです。お母様の薬をCちゃんに転用するのは避けてください。

参考文献
1)J Clin Pharmacol.1999;39:786-93.

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ