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実践!保険塾
調剤報酬明細書記載(1)
日経DI2014年8月号

2014/08/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年8月号 No.202

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 今回から、調剤報酬明細書の記載の方法について解説する。

 調剤報酬明細書には、調剤した日付や薬局の情報、氏名や保険区分といった患者の情報などを記載する「上書」という部分がある。この項目は、厚生労働省の通知によって書き方が決められており、それに沿って記載しなければならない。

 上書部分で記載しなければならないのは、(1)調剤年月、(2)都道府県番号、(3)薬局コード、(4)保険種別・本人または家族の別、(5)保険者番号、(6)給付割合、(7)被保険者証・被保険者手帳等の記号・番号、(8)公費負担者番号、(9)公費負担医療の受給者番号、(10)氏名、(11)職務上の事由、(12)特記事項、(13)保険薬局の所在地および名称─である(表)。このうち、(4)の保険種別や(6)の給付割合、および(12)の特記事項などは、患者によって特殊な記載を要することがあるため注意が必要である。

表 調剤報酬明細書の上書部分

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 (4)では、保険種別1、保険種別2、本人または家族別欄の各数字をそれぞれ○で囲む。保険種別1に関して、健康保険(船員保険含む)や国民健康保険(退職者医療を除く)の場合は「1 社・国」、公費負担医療(健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療または退職者医療との併用を除く)の場合は「2 公費」、後期高齢者医療の場合は「3 後期」、退職者医療(65歳未満の患者に限る)は「4 退職」の各番号を1つ○で囲む。

 保険種別2は、単独の場合は「1 単独」、1種の公費負担医療との併用は「2 2併」、2種以上の公費負担医療との併用は「3 3併」の各番号を1つ○で囲む。ただし、保険種別1と保険種別2を○で囲むのは省略してもよい。

 患者が健保や国保などの被保険者本人なら「2 本外」、未就学者なら「4 六外」、家族なら「6 家外」、70歳以上で高齢受給者・後期高齢者医療制度被保険者の一般または低所得者(自己負担1割)の人なら「8 高外一」、高齢受給者・後期高齢者医療制度で現役並所得者(自己負担3割)なら「0 高外7」の各番号を1つ○で囲む。

 (12)の特記事項は、患者の属性に応じて必要な略号(およびコード)を記入しなければならない。例としては公、長、長2、後保、第三などがある。

 公は、医療保険単独、および後期高齢者医療制度単独の被保険者で、高額療養費制度による自己負担限度額(標準所得者では8万100円)を超えた場合に記載する。

 長は、長期に高額な医療費が必要となる特定疾病の患者で、「特定疾病療養受療証」または「後期高齢者医療特定療養受療証」を持ち、自己負担限度額が月1万円までと規定されている場合に、自己負担額がそれを超えた場合に記載する。対象となるのは、(ア)人工腎臓を実施している慢性腎不全患者、(イ)血漿分画製剤を投与している先天性血液凝固第8因子障害または第9因子障害の患者、(ウ)抗ウイルス薬を投与している後天性免疫不全症候群(HIV感染を含み、厚生労働大臣の定めるもの[血液製剤の使用による感染など]に限る)の患者である。また、自己連続式携行腹膜灌流(CAPD)を行っている患者で、同一月内の投薬を院外処方箋のみで行い薬局で該当患者の負担額を受領しない場合も、調剤報酬明細書では同様に記載する。

 長2は、長と同じ対象疾患の患者において、特定疾病療養受療証の自己負担限度額が月2万円の患者で限度額が超えた場合に記載する。

 後保は、公費負担医療のみの場合であって、高齢者医療確保法の規定による医療の提供をする場合に記載する。後期高齢者で生活保護受給者の場合などが対象となる。

 第三は、患者の疾病または負傷が第三者の不法行為(交通事故、犯罪など)によって生じたと認められる場合に記載する。

 以上より、問題1で長と特記事項に記載しなければならない患者は1、2、3、4となる。なお、同じく公費負担のある5の筋萎縮性側索硬化症は特定疾患治療研究事業の対象であり、生計中心者の所得水準に応じて特記事項の欄に上位・一般・低所を記載する。6の生活保護受給者は、75歳未満であれば生保、75歳以上であれば後保を記載する。

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 問題2について、この設定であれば2種の公費負担医療に該当するので、(4)は保険種別1が「2 公費」、保険種別2は「2 2併」の番号を○で囲む。(6)の給付割合は、患者が生活保護受給者なので()内に0の数字を入れる(10ではない)。

 また、公費負担医療に関する番号が複数該当する場合、いずれを(8)(9)欄の上位に書くかは、厚労省の通知によって順位が決められている。このため、(8)の公費負担者番号【1】には感染症法の公費負担者番号、【2】には生活保護法の公費負担者番号を記載する。(9)の公費負担医療の受給者番号【1】には感染症法の受給者番号を記載し、【2】には生活保護の受給者番号を記載する。

講師 伊藤 典子
Ito Noriko
NIメディカルオフィス(東京都中央区)会長。医療秘書教育全国協議会医事CP検定委員などを経て、2000年に診療報酬、調剤報酬の解説書の出版事業などを行う会社を設立。

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