DI Onlineのロゴ画像

DIクイズ1(A)
DIクイズ1:(A)ARBの変更後に尿酸値が上昇した理由
日経DI2014年8月号

2014/08/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年8月号 No.202

出題と解答 :山本 雄一郎
(アップル薬局[熊本市中央区])

A1

(1)ロサルタンカリウム(商品名ニューロタン他)、
(5)イルベサルタン(アバプロ、イルベタン)

A1

 ロサルタンおよびイルベサルタンには、尿酸低下効果があるため。その機序は、ベンズブロマロン(ユリノーム他)と同様、近位尿細管における尿酸トランスポーターURAT1の阻害による尿酸の排泄促進であると考えられる。

 尿酸値を上昇させ得る降圧薬としては、利尿薬とβ遮断薬が知られている。それぞれ、尿酸の腎排泄量と腎血流量を低下させることにより、尿酸値を上昇させると考えられる。一方、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は薬理作用上、尿酸値上昇を招くとは考えにくい。従って、ARBの変更後、Yさんの尿酸値が上昇したのは、変更前のARBに尿酸低下作用があったためと推測できる。

 日本で用いられているARBには、発売開始順に、ロサルタンカリウム(商品名ニューロタン他)、カンデサルタンシレキセチル(ブロプレス)、バルサルタン(ディオバン他)、テルミサルタン(ミカルディス)、オルメサルタンメドキソミル(オルメテック)、イルベサルタン(アバプロ、イルベタン)、アジルサルタン(アジルバ)がある。

 このうち、ロサルタンに関しては、尿酸低下効果を裏付けるエビデンスが多く存在する。例えば日本高血圧学会の『高血圧治療ガイドライン2014』によると、ロサルタンは血清尿酸値7.0mg/dL以上の患者において、平均0.7mg/dL低下させると記されている。また、その効果は用量依存的であり、ロサルタンの25、50、100mg/日の投与により、尿酸値がそれぞれ0.32、0.77、1.25mg/dL低下したとの報告もある1)

 ロサルタンが尿酸値を低下させるメカニズムを理解するためには、尿酸排泄の仕組みを押さえておく必要がある。

 尿酸は、食物から摂取または体内で産生されたプリン体が、主に肝臓でキサンチンオキシダーゼ(XO)によって代謝されて産生する。このうち、3分の1は腸管から、残りが腎臓から排泄される。

 尿酸は親水性物質であり、腎糸球体濾過を受けた後、近位尿細管上皮細胞に存在する尿酸トランスポーターによって再吸収または排泄される。最終的に糸球体濾過量の約1割が尿中に排泄される。

 再吸収の役割を担う尿酸トランスポーターには、管腔側膜のURAT1と、血液側膜のURATv1がある。尿酸排泄促進薬のベンズブロマロン(ユリノーム他)はURAT1を阻害することで、尿酸の再吸収を抑え、尿酸排泄を促進させる。ロサルタンもURAT1を阻害することで、尿酸排泄を促進させると考えられている。

 また、イルベサルタンもURAT1およびURATv1を阻害する可能性が示されている2)。ただし、同薬の臨床的な血清尿酸値低下効果に関しては、統一した見解が得られていない。イルベサルタン150~300mg/日を投与した海外の臨床試験3)や、70%以上の患者に承認用量上限である200mg/日を長期投与した日本の研究4)では、尿酸値の有意な低下が認められていることから、高用量の投与で尿酸排泄効果が得られる可能性がある。

 ARBのうち、ロサルタンとイルベサルタンのみがこのような作用を有する理由は明らかではない。ただし、ラットを用いた研究で、最高血中濃度到達時の腎臓/血漿中のARB濃度比を調べたところ、ロサルタンとイルベサルタンはそれぞれ1.4と1.6だったのに対し、他のARBは1未満だった5)ことから、組織分布の違いが関与している可能性が考えられる。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 お薬手帳を拝見しました。以前はニューロタンを服用されていたのですね。ニューロタンと、先月からお飲みになっているオルメテックは同じタイプのお薬ですが、ニューロタンには血圧を下げる効果のほかに、尿酸値を下げる効果もあることが知られています。そのおかげで尿酸値が下がっていたのが、元の値に戻ったのだと思います。オルメテックの副作用ではありませんので、ご安心ください。

 先生は血圧の下がり具合などを考えてお薬を変更されたのでしょうから、尿酸値のこととYさんのご希望をお伝えして、お薬を戻していただけるかどうか確認いたしますね。お掛けになってお待ちください。

参考文献
1)Eur J Clin Pharmacol.1992;42:333-5.
2)J Pharmacol Sci.2010;114:115-8.
3)Nefrologia.2008;28:56-60.
4)血圧 2011;18:1108-16.
5)Progress in Medicine 2009;29:1992-7.

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ