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薬剤師よ、医師離れをしよう 患者と地域住民に寄り添うために
日経DI2014年8月

2014/08/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年8月号 No.202

 厚生労働省が2010年4月30日に出した「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」と題する医政局長の通知には、「各医療スタッフがチームとして目的と情報を共有した上で、医師等による包括的指示を活用し、各医療スタッフの専門性に積極的に委ねるとともに、医療スタッフ間の連携・補完を一層進めることが重要である」と書かれている。

 チーム医療の中で、リーダーシップを発揮する存在が医師であるということには全く異論はない。今後、2025年に向けた社会保障制度改革が進められ、入院医療から在宅医療へのシフトや、地域包括ケアシステムの整備が進められる中で、病院内のみならず地域においてもチーム医療の体制を整備することが重要になっていくだろう。そして、地域におけるチーム医療の中でも、リーダーシップを発揮するのはやはり、診断や治療方針を決め、処方箋を書く医師である。

 薬局薬剤師は、こうした地域におけるチーム医療に、その一員として積極的に参加していくべきだ。ただしその際には、医師との距離感を適切に保つ必要があるということに留意したい。というのも、現状においてもマンツーマンと呼ばれる薬局などでは、医師との関係性ばかりを気にして、疑義照会をためらったり、適切な処方提案を行えなかったりするケースがあると聞く。しかしながら、医師の顔色ばかりをうかがっているようでは、チーム医療において薬剤師に求められる役割を十分に発揮できないだろう。

 薬局薬剤師の役割は、処方箋に基づいて医薬品を間違えずに取りそろえ、袋に詰めることだけではない。むしろ、国民が薬剤師に求めているのは、応需した処方箋をチェックし、患者の基礎疾患や併用薬の有無、生活習慣なども勘案して最適な医薬品が選択できているかを検討して、場合によっては医師に処方変更を提案すること、あるいは医師の治療方針に沿った服薬がなされているかなどを確認して医師や他の職種にフィードバックすると同時に、やはり場合によっては患者や家族の立場に立って別のアプローチを提案することではないだろうか。

 つまり、医師の近くではなく、患者やその家族に近い所に身を置いて、患者の療養生活を支援すると同時に、必要があれば薬学的見地から医師などに提案を行うことが、地域における薬局薬剤師の役割なのである。

 さらに言うと、かかりつけ薬局として地域住民の日常生活に密着し、処方箋薬だけでなく、OTC薬や健康食品などを利用したセルフメディケーションを支援する役割を担うことも薬局には求められている。つまり薬局は、薬物療法を受けている患者だけでなく、地域に住む健康な住民が健康の相談をするために、処方箋を持たなくても気軽に立ち寄れる場所になっていく必要がある。薬局で働く薬剤師は、地域の住民が健康に関する問題を抱えた際に最初に接する医療人であり、医師からの指示ではなく、患者の求めに応じて、患者が適切な医療を受けられるように手伝う役割も担うのである。

 昨今、医薬分業に対する批判の声が高まり、一部の病院では外来を院内処方に戻す動きもあると聞く。こうした“医薬分業バッシング”が起こるのも、薬局が本来担うべき役割を果たして来なかったからに他ならない。だからこそ、あえて強調したい。「薬剤師よ、医師離れをしようではないか」と。(劉備)

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