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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)前立腺肥大症にセレスタミンが出されたら
日経DI2014年7月号

2014/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年7月号 No.201

出題と解答 :伊藤 雅之
(コスモファーマ東京[福島県郡山市])

A1

前立腺肥大症:(2)d-クロルフェニラミンマレイン酸塩

緑内障:(3)両方

A2

(4)ゼスラン(一般名メキタジン)

 セレスタミンは、副腎皮質ステロイドのベタメタゾンと、第1世代抗ヒスタミン薬であるd-クロルフェニラミンマレイン酸塩の配合剤である。添付文書に禁忌が4項目、原則禁忌が11項目、慎重投与が10項目記された注意を要する薬で、禁忌疾患には前立腺肥大症と緑内障があるが、禁忌となる成分は疾患により異なる。

 前立腺肥大症患者に尿閉など重大な副作用を引き起こすのは、配合成分のうちd-クロルフェニラミンのみである。d-クロルフェニラミンは抗コリン作用により膀胱の排尿筋収縮力を低下させ、前立腺肥大症など下部尿路に閉塞性疾患がある患者の尿排出を著しく妨げる。ベタメタゾンには膀胱の排尿筋に対する作用がないため、下部尿路の閉塞性疾患患者への使用に関して制限はない。

 また、緑内障患者に眼圧上昇などの重大な副作用を引き起こすのには、配合成分の両方が関わっている。d-クロルフェニラミンによる眼圧上昇は、抗コリン作用による瞳孔括約筋の麻痺に起因する散瞳のため、房水の流出路で通過障害が起きることで生じる。一方のベタメタゾンによる眼圧上昇は、機序には諸説あるものの、前房隅角での房水流出障害により生じる。

 お薬手帳によると、Mさんにはシロドシン(商品名ユリーフ)が処方されており、その適応症である「前立腺肥大症に伴う排尿障害」があると考えられる。従って、セレスタミンの成分のうちd-クロルフェニラミンのみを、前立腺肥大症にも使用できる抗ヒスタミン薬に変更し、ベタメタゾンの単味剤(リンデロン他)と併用するよう提案するとよいだろう。なお、眼科からの処方はないので、セレスタミンが禁忌となる疾患のうちMさんが罹患しているのは前立腺肥大症のみと考えられるが、念のため口頭で眼科受診歴や緑内障と診断されたことがないかを確認すべきである。

 さて、抗ヒスタミン薬は発売時期や鎮静作用の強さなどに基づき、第1世代と第2世代に分類されている。d-クロルフェニラミンなどの第1世代薬は抗コリン作用が比較的強く、ヒドロキシジン塩酸塩(アタラックス)以外は緑内障や前立腺肥大症への投与は禁忌である(ヒドロキシジンは慎重投与)。一方、第2世代薬はヒスタミンH1受容体への選択性が高く、抗コリン作用は軽減されているため、メキタジン(ゼスラン、ニポラジン他)を除いて、緑内障や前立腺肥大症への投与に注意喚起はなされていない(メキタジンは禁忌)。従って、Mさんはメキタジンを除く第2世代の抗ヒスタミン薬であれば服用が可能である。

 Mさんには蕁麻疹の強い痒みがあり、即効性を期待したい状態にある。この点を考慮すると、第2世代の抗ヒスタミン薬のうち薬効の立ち上がりが速い、すなわち最高血中濃度到達時間(Tmax)が短い薬剤の使用が望ましい。第2世代薬の中では、アレロック(5mg錠のTmax=1.00±0.32)とタリオン(10mg錠のTmax=1.2±0.4)のTmaxが比較的短いので、これらを処方医に提案してみるとよいだろう。

 2005年3月に厚生労働省が配合剤の承認要件を明確化したことを受け、次々と新しい配合剤が発売されている。配合剤の添付文書を参照する際は、各配合成分の単味剤の添付文書と照合し、禁忌や慎重投与などの理由となる作用がどの成分に由来するかを把握しておきたい。

こんな疑義照会を

イラスト:加賀 たえこ

 Mさんのお薬手帳を古いページまで確認したところ、内科だけでなく泌尿器科も受診していて、前立腺肥大症による排尿障害に使うユリーフを服用中であることが分かりました。セレスタミンに含まれる抗ヒスタミン薬のd-クロルフェニラミンには抗コリン作用があるため、前立腺肥大症への使用が禁忌となります。もう片方の成分のベタメタゾンは前立腺肥大症にも使用できますので、d-クロルフェニラミンのみ第2世代の抗ヒスタミン薬に変更していただければと思います。

 第2世代の中でも、アレロックやタリオンは立ち上がりが早いため、急性蕁麻疹には適しています。ベタメタゾンの単味剤であるリンデロンと組み合わせて処方していただくとよいかと思いますが、いかがでしょうか。

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