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DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A) ワルファリンの効果を増強する果物とは
日経DI2014年7月号

2014/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年7月号 No.201

出題と解答 :笹川 大介
(はらだ薬局[鹿児島県薩摩川内市])

A1

(3)マンゴー

 ワルファリンカリウム(商品名ワーファリン他)は、肝臓でのビタミンK依存性血液凝固因子の生合成を抑制することにより、抗凝固作用や血栓の予防作用を示す。同薬を服用中は、ビタミンKを多く含む食物の摂取により薬効が減弱する可能性があるため、納豆やクロレラなどの摂取を避けるべきであることが知られている。

 一方、食べ物により、ワルファリンの効果が増強する可能性もある。

 ワルファリンと医薬品や食品の相互作用については、1993年10月~2004年3月にMEDLINEなどの医学的文献データベースに掲載された642の論文から、レビュー可能な181の論文をまとめたシステマティックレビューがある1)

 この論文では、ワルファリンの効果を増強する可能性が最も高い医薬品・食品として、アセトアミノフェンやフェノフィブラート、魚油などに並んで、マンゴーが挙がっている。その根拠となったのは、ワルファリン服用中の患者13人において、マンゴー摂取後にPT-INRの上昇、マンゴー摂取中止後にPT-INRの下降が見られたという報告である2)

 この報告では、ほとんどの患者は、医療機関でPT-INRを測定する前に、2日から1カ月間、マンゴーを1~3個/日、ないしは2~3個/日、5~6個/日摂取していた。患者13人のPT-INRは、マンゴー摂取により平均で38%上昇した。マンゴーの摂取を2週間止めると、PT-INRは平均で17.7%減少した。

 患者インタビューでは、PT-INRを増加させる因子(ワルファリン投与量、他薬剤、食事内容、アルコール摂取など)に変化はなく、服薬コンプライアンスも良好だった。また、全ての患者は健康食品、サプリメントを摂取していなかった。

 さらに、この報告では、前述の13人から2人を選びマンゴーを再度摂取してもらっている。その結果、PT-INR値は再び上昇し、前回摂取時より少量のマンゴーでPT-INR値の上昇が見られた。

 ワルファリンとマンゴーの相互作用のメカニズムは不明だが、ワルファリンは多量のビタミンAとの同時摂取でチトクロームP450(CYP)が阻害され、抗凝固作用が促進するという報告がある。マンゴーにはビタミンAが豊富に含まれるため、これが薬効に影響した可能性がある。

 その他、ワルファリンの効果を増強させる可能性が考えられる果物として、グレープフルーツなども挙げられる。

 マンゴーに限らず、特定の食物の過剰摂取は、医薬品に対して思わぬ相互作用を及ぼす可能性があることを念頭に服薬指導に臨む必要がある。

 PT-INRの上昇による出血傾向の症状としては、全身の内出血(紫斑)や鼻血、血尿、歯茎からの出血などがある。抗凝固薬や抗血小板薬を服薬している患者にはこうした症状を伝えておき、症状が出たら速やかに受診するよう普段から伝えておくことが重要である。また、血圧が高い場合には出血リスクが高まることも併せて意識しておきたい。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 召し上がった果物の中で、ワーファリンの効果を強める果物としては、マンゴーが考えられます。メカニズムは明らかでないのですが、マンゴーに豊富に含まれるビタミンAが、ワーファリンの効果を高める可能性があります。

 ワーファリンの効果が高まって、血液がサラサラになり過ぎると、Nさんのような内出血(紫斑)や鼻血、血痰、血尿、歯茎からの出血などの症状が出ます。そのため先生は、ワーファリンの効き過ぎを治すために、いったんお薬を中止して様子をご覧になっているのだと思います。

 念のため、今後はマンゴーをたくさん食べるのは避けてくださいね。また、血圧が高くても出血しやすくなりますので、血圧の薬はしっかり服用してください。

参考文献
1)Arch Intern Med.2005;165:1095-106.
2)Ann Pharmacother.2002;36:940-1.

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