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DIクイズ2(A)
DIクイズ2:(A)夏季に注意すべきエクセグランの副作用
日経DI2014年7月号

2014/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年7月号 No.201

出題と解答 :笠原 英城
(日本医科大学武蔵小杉病院薬剤部)

A1

(2)発汗減少

A2

(4)トピラマート(トピナ)

 Kちゃんが罹患している中心・側頭部に棘波を持つ良性小児てんかんは、特発性部分てんかんの中で最も頻度が高く、一般に思春期までに発作は消失する。日本神経学会の「てんかん治療ガイドライン2010」によると、特発性部分てんかんに対する第一選択薬はバルプロ酸ナトリウム(商品名セレニカ、デパケン他)またはカルバマゼピン(テグレトール他)とされている。また、小児の部分発作に対して十分量のカルバマゼピンでも無効な場合は、ゾニサミド(エクセグラン他)、クロバザム(マイスタン)が推奨されている。

 今回、Kちゃんに処方されたゾニサミドは、日本で創製された化合物で、抗てんかん薬および抗パーキンソン病薬(トレリーフ)として使われている。てんかん患者を対象とした臨床試験では、精神神経系の副作用として、眠気、食欲不振、無気力・自発性低下、運動失調などが複数報告されているが、第3相試験で1例(0.3%)のみ報告された発汗減少についても留意しなければならない。

 臨床現場では、特に小児患者において、ゾニサミドによる発汗減少が多く報告されている。ある調査では、ゾニサミド服用患者の24.8%に発汗障害が認められ、その患者の平均年齢は11.8歳だった。また、発汗減少に伴い高体温や意識障害などの症状を示し、熱中症を来したケースも報告されている。このため、ゾニサミドの添付文書の「重要な基本的注意」には、「発汗減少があらわれることがあり、特に夏季に体温の上昇することがある」と記載されている。

 なお、同様の副作用が認められる抗てんかん薬として、トピラマート(トピナ)がある。同薬による発汗減少(乏汗症)は、小児を対象とした国内臨床試験において15.1%と高頻度で認められている。

 両剤による発汗障害の発現機序には不明な点も多いが、いずれも炭酸脱水酵素(CA)阻害活性を持つことから、エクリン腺に存在するCAを阻害し、汗生成を抑制する可能性が考えられている。CA阻害作用や抗コリン作用を持つ薬剤の併用には注意が必要である。

 ゾニサミドに関しては、有効血中濃度域が狭く血中濃度モニタリングが望ましい。また、発汗減少の副作用は可逆的であり、薬剤の中止や減量によって改善すると推測されている。一方で、発汗減少はゾニサミドの血中濃度や投与量とは関係なく生じることが複数の研究で示唆されている。従って、特に発汗減少が起きやすい小児患者にゾニサミドを交付する際は、発汗減少とそれに伴う体温上昇や熱中症に関して注意を促すとともに、対処法も指導しておくことが欠かせない。

 具体的には、服用時には高温環境をできるだけ避け、夏季は冷房を使用したり衣類を調節したりして、体温が上昇しないよう十分に注意する。体温上昇や顔面潮紅、意識障害といった熱中症症状が出現した場合は、涼しい場所へ移動させ、濡れタオルで体を拭く、首筋や腋下を氷で冷やすといった応急処置を行う。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 今回処方されたエクセグランは、小児のてんかんによく用いられるお薬です。ただ、副作用で汗が出にくくなることがあります。汗が出ないと、体の熱を外に逃がすことができず、体温が上昇して熱中症を起こしやすくなります。ですので、夏休み中はできるだけ炎天下を避け、涼しい場所で過ごすようにしてください。外出時には、冷蔵庫で冷やした保冷剤を持たせてあげてください。

 Kちゃん、今のお話、分かったかな。外にいる時にお顔が熱くなったり、頭がぼーっとしたら、すぐに日陰に移動して、首や腋の下を保冷剤で冷やしてね。

 次回の診察でこちらのお薬が引き続き処方された場合は、新学期に小学校の先生方にも配慮していただけるよう、薬局でお手紙を用意いたしますので、遠慮なくご相談ください。

参考文献
1)日本神経学会「てんかん治療ガイドライン2010」
2)日本病院薬剤師会雑誌2004;40:1003-5.
3)BRAIN MEDICAL2012;24:161-6.
4)臨床精神薬理2009;12:491-8.

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