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DIクイズ1(Q)
DIクイズ1:(A)血栓予防に使う配合剤
日経DI2014年7月号

2014/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年7月号 No.201

出題と解答 :今泉 真知子
(有限会社丈夫屋[川崎市高津区])

A1

(3)経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患

 抗血小板薬は様々な部位の血栓予防に処方されている。今回、初めてCさんに処方されたコンプラビン配合錠は、2種類の抗血小板薬、クロピドグレル硫酸塩75mgとアスピリン100mgの配合剤である。クロピドグレル(商品名プラビックス)の販売元であるサノフィから2013年12月に発売された。

 チエノピリジン系の抗血小板薬であるクロピドグレルの適応は(1)非心原性脳梗塞の再発予防、(2)経皮的冠動脈形成術(PCI)適用患者の血栓予防、(3)末梢動脈閉塞性疾患──である。この中でコンプラビンの適応は(2)のみである。

 PCIは、カテーテルを用いて、手や足の動脈から心臓の冠動脈までバルーン(風船)やステントを送り込み、狭窄部位を広げる治療であり、手術のために胸を切開する必要がないため、患者の負担を格段に減らせる。対象となるのは、薬物療法では十分な改善が得られない狭心症や、不安定狭心症、および心筋梗塞などで早急な治療が必要な患者である。狭窄の状態によりPCIが適さない場合、冠動脈バイパス手術などを選択する。

 PCI後、血管壁に生じた損傷やステント上にできる血小板血栓などに起因する冠動脈閉塞(ステント血栓症)を起こす患者がいる。ステント血栓症には、PCI後30日以内に生じる早期ステント血栓症と、30日後以降に生じる遅発性ステント血栓症がある。頻度は合計でも1%前後と低いが、血栓形成により血流が阻害されれば、心不全などの重篤な症状が生じる。これを防ぐため、チエノピリジン系の抗血小板薬とアスピリンを併用する二剤抗血小板療法(dual antiplatelet therapy:DAPT)が実施される。コンプラビンはDAPTの服薬アドヒアランスを改善するために作られた配合剤である。

 2種類の抗血小板薬を併用するため、DAPT実施中は出血の危険性が単剤の使用時よりも大きくなる点に注意が必要だ。クロピドグレル単剤の使用時に報告された副作用は29.1%、主な症状である皮下出血は2.0%だった。しかし、アスピリンと併用した場合の副作用は35.6%、皮下出血は5.7%で、出血傾向に増加が見られる。再発の危険性の高い虚血性脳血管障害患者に対し二剤を併用した場合にも、クロピドグレル単剤と比較して重大な出血の発現率が増加することが海外で報告されている。

 PCI後にDAPTを継続する最適な期間については、現在各国で検討が進められている。一般に薬剤溶出性ステント(DES)は、ベアメタルステント(BMS)よりも遅発性ステント血栓症発症率が高いため、より長い期間のDAPTが必要である。欧州心臓病学会などの10年のガイドラインでは、DES留置後のDAPT期間は6~12カ月、BMSについては1カ月とされている。米国心臓協会などが11年に示したガイドラインでは、DES留置例では最低12カ月、BMS留置例では最低1カ月、DAPTを継続することが推奨されている。しかし、DESの改良が進んだことで、DAPTの期間は短縮される傾向にある。

 日本では統一した推奨期間はないものの、DAPTの継続期間のエビデンスとなるデータ収集が進んでおり、従来考えられていたより短期間でよいとする解析結果も出ている。今後、PCI後のDAPT期間は短縮される可能性もある。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 Cさんは心臓のカテーテル治療を受けられたのですね。今回処方されたコンプラビンは、今まで服用していたプラビックスとバイアスピリンを合わせて1錠にしたものです。コンプラビンが使える方は決められていて、狭心症や心筋梗塞の中でも、心臓の動脈にバルーンやステントをカテーテルで挿入する治療を受けた方のみです。

 プラビックスもアスピリンも血栓を予防する薬です。コンプラビンに変わっても、出血の副作用には注意してください。薬を飲み続ける期間は、使われたステントや症状によって異なります。医師の指示を守って服用を続けてください。

参考文献
1)Circulation.2011;124:e574-e651
2)Eur Heart J.2010;31:2501-55

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