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医師が語る 処方箋の裏側
片眼のみ眼圧が高い女性への配合点眼薬にコソプトを選ぶ理由
日経DI2014年7月号

2014/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年7月号 No.201

 数日前から右眼のかすみを自覚し、当院を紹介受診した矢部晴美さん(仮名、47歳)。眼圧は右眼40mmHg、左眼15mmHgと左右差があったが、隅角は右眼も開放しており、明らかな炎症所見も認められなかった。

 矢部さんのように、偽落屑物質の沈着やブドウ膜炎といった、眼圧を上昇させる直接的な要因が見当たらないにもかかわらず、片眼のみ眼圧が高いケースに時々遭遇する。この場合、何らかの炎症が関与している可能性を否定し切れないため、第一選択薬の一つであるプロスタグランジン(PG)製剤を最初に使うことには抵抗感がある。PG製剤は、炎症を悪化させる恐れがあるためだ。また、眼瞼の色素沈着や睫毛伸長など外見上の副作用のリスクもあるため、片眼のみ治療を要する女性には勧めにくい。

 そこで、β遮断薬または炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)が候補となるわけだが、矢部さんのように眼圧が比較的高い場合、まずは正常値まで眼圧を下げるために、β遮断薬とCAIの配合剤であるコソプト(一般名ドルゾラミド塩酸塩・チモロールマレイン酸塩)を初めから投与する。

 緑内障治療においては、2010年に3種類の配合剤が登場し、服薬コンプライアンスの改善に寄与している。コソプトのほかに、PG製剤とβ遮断薬の配合剤であるザラカム(ラタノプロスト・チモロール)とデュオトラバ(トラボプロスト・チモロール)があるが、私がよく処方するのはコソプトだ。PG製剤のうちプロスト系は4成分ある上、成分により眼圧降下作用が多少異なる。このため、β遮断薬とCAIとPG製剤の3剤を併用するようなケースでは、β遮断薬とCAIをコソプトにまとめることで、点眼回数を抑えつつ、PG製剤の選択の幅を広げることができる。

 コソプトはpH5.5~5.8と弱酸性で、目にしみることがある。知らずに点眼すると、患者は、「強い薬ではないか」「目に合っていないのでは」などと不安に思うようなので、薬局で一言伝えるようにしてほしい。

廣岡 一行氏
Hirooka Kazuyuki
香川大学医学部附属病院眼科講師。1994年香川医科大学(現・香川大学)医学部卒業。同大大学院終了後、カナダ留学、香川医科大学医学部附属病院眼科助手を経て、2008年11月から現職。日本眼科学会専門医・指導医。日本人に多いとされる正常眼圧緑内障の病態や緑内障神経保護などが専門。

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