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2014年改定の解説(3)
日経DI2014年7月号

2014/07/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年7月号 No.201

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 前回に引き続き、2014年調剤報酬改定の内容に関して解説する。

 今改定では、調剤基本料の要件に、医療用医薬品の取引価格の妥結率という新たな評価軸が組み込まれた。妥結率が低い薬局は調剤基本料が減額される。妥結率が低いと医薬品価格調査の信頼性を損なうというのが本要件の大義名分である。同調査は例年秋に実施されるが、その時点で未妥結だと正確な市場実勢価格が調べられず、調査結果と実態が懸け離れる事態が生じる。そのため、9月末の時点で妥結率が低い薬局にペナルティーを課し、改善を促すのが狙いである。

 厚生労働省医政局が実施している「価格妥結状況調査」によると、20店舗以上の「チェーン薬局」において、13年9月の妥結率が51.9%で、11年9月よりも10.9ポイントの大幅低下を示しており、調剤報酬体系の適正化を図る上で格好の標的となった。なお、同調査では病院についても妥結率が低い実態が判明しており、200床以上の病院で顕著であったことから、200床以上の病院も、妥結率が低い場合にペナルティーが課されることになった。

 薬局における調剤基本料は通常41点のところ、妥結率が50%以下の薬局では31点になる。また、調剤基本料の特例(受付回数4000回/月超かつ集中率70%超、または受付回数2500回/月超かつ集中率90%超かつ24時間開局せず)に該当する薬局では同様に25点のところ19点となる。

 妥結率は、「卸売販売業者と薬局との間での取引価格が決められた医療用医薬品の薬価総額」を分子、「薬局で購入した医療用医薬品の薬価総額」を分母として求める。なお、薬価総額は「規格数量単位×薬価基準上の薬価」で求める。

 また、取引価格は決定したが、支払期間が決定していないような場合、つまり取引価格に影響しない契約項目が未決定の場合でも、妥結したとみなされる。一方、契約書などの条項により、取引価格を遡及して求められるようになっている場合(遡及値引き)は未妥結とみなされる。

 妥結率を実績としてカウントする期間は毎年4月1日から9月30日までであり、各薬局は店舗ごとに妥結率を計算し、10月中に地方厚生局に提出しなければならない。妥結率が低かった場合は、11月1日から調剤基本料が減額となる。ただし、14年の妥結率に限り、15年1月1日から調剤基本料の減額を反映することになっている。

 以上から、問題1の解答は(1)、(5)、(6)である。

 なお、妥結率の要件が導入されたことで、医薬品卸売販売業者が薬局に対して優位な立場にならないような仕組みとして、厚労省医政局は専用の相談窓口を設けた。薬局が、価格提示・交渉の遅延行為や、妥結率の根拠となる資料の提出拒否・遅延行為などを卸売販売業者から受けた場合に相談できる。ただし、個別の価格水準に関する相談は対象外である。

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 次に、後発医薬品調剤体制加算の算定に用いる数量シェア計算方法に関して、解説する。

 後発品の数量シェア計算式は、改定前は分母が「全医薬品(経腸成分栄養剤、特殊ミルク製剤、生薬、漢方を除く)」で計算されたが、改定後は「後発医薬品のある先発品」と「後発品」の合計のみを分母とするように改められている(いずれも規格数量単位で計算する点は変わらない)。さらに、(1)先発品より価格が高いか同額の後発品、(2)後発品より価格が低いか同額の先発品、(3)準先発品─の取り扱いも整理され、いずれも計算式から除外されることになった。

 上記で挙げた準先発品とは、1967年以前に承認・薬価収載された医薬品のうち、同一剤形・規格で価格差のある後発品があるもの(内用薬および外用薬に限る)を指す。具体的には、バファリン配合錠A330、ブスコパン錠10mg、ラシックス錠20mg、アルダクトンA錠25mgなどが該当する。

 準先発品を調剤しても数量シェアに影響しないが、準先発品を後発品に変更した場合は、数量シェアの分母にも分子にもカウントされることになり、数量シェアを上げるのに寄与する。

 問題2の解答だが、メバロチン細粒0.5%は後発品のある先発品であり、バファリン配合錠A330およびラシックス錠20mgは準先発品、フロセミド錠20mg「NP」は通常の後発品、ワイドシリン細粒100は先発品より価格が高い後発品、カロナール坐剤100は後発品と同額の先発品である。

 このため、後発品の数量シェアは分母が150+100、分子が100なので40%となる。もしラシックス錠20mgを全てフロセミド錠20mg「NP」に変更すれば、分母が150+300+100、分子が300+100となり、数量シェアは72.7%となる。

 なお、厚労省は6月20日の後発品の薬価収載に伴い、新たに発売される後発品の数量シェア計算式への組み込みについて一定の猶予期間を設ける考えを示した。これは、後発品が薬価収載されても、発売または納品までにタイムラグがあり、その間は薬局がその後発品を調剤できないにもかかわらず、数量シェア計算式の分母に組み込まれてしまい、数量シェアが低下するのを回避するための措置である。

 6月に薬価収載された後発品のうち、カンデサルタンシレキセチルの後発品がこれに該当する。カンデサルタンの後発品は、メーカーの発売予定時期が9月となっているため、先発品であるブロプレス錠の計算式への組み込みは10月1日からになる。他に、カルベジロール、バルサルタン、ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド、ゾレドロン酸水和物は7月1日からとなった。

 このほか、薬局で積極的に患者に後発品を薦める上で、薬局に新たな要件が加わった。一般名処方が行われた医薬品について、患者に対して後発品の有効性、安全性や品質などを丁寧に説明したにもかかわらず、後発品を調剤しなかった場合は、その主な理由を、(1)患者の意向、(2)保険薬局の備蓄、(3)後発品なし、(4)その他─から1つ選び、調剤報酬明細書の摘要欄に記載することとされた。

講師 伊藤 典子
Ito Noriko
NIメディカルオフィス(東京都中央区)会長。医療秘書教育全国協議会医事CP検定委員などを経て、2000年に診療報酬、調剤報酬の解説書の出版事業などを行う会社を設立。

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