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特集:薬局ツールグランプリ
薬局ツールグランプリ:最優秀賞アメニティー部門賞
日経DI2014年6月号

2014/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年6月号 No.200

 患者向け指導箋をラミネート加工して輪ゴムを付け、お薬手帳のしおりとして使ってもらう─。写真1に示す、誰にでも簡単に使えて実用性が高いアイデアを思い付いて形にしたのが、ファーコスあすなろ薬局(山形県寒河江市)管理薬剤師の初鹿隼人氏だ。

写真1 「お薬手帳のしおり」の使い方

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 初鹿氏は4~5年前から、自身の勉強も兼ねて、薬剤の交付時に患者に渡す指導箋作りに取り組んでいた。食生活改善のヒント集など、何度も活用してほしい指導箋は、シールにしてお薬手帳に貼っていた。だが、新たに処方内容のシールが貼られていくと、患者は古いページに貼った指導箋を見なくなってしまう。「一番よく見るページは最新のページなので、指導箋をしおりに加工してそこに挟もうと考えました」と初鹿氏はアイデアが浮かんだ経緯を説明する。しおりに輪ゴムを付けるという発想は、検査結果などの紙をお薬手帳に挟み、紙が落ちないよう手帳に輪ゴムを掛けている患者を見てひらめいた。

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薬局ぐるみの取り組みに

 最初は自作の指導箋をしおりに加工していた初鹿氏。だが、昨年度、あすなろ薬局のスタッフの全員参加で患者向け指導箋を作る取り組みを行ったところ、「素晴らしい指導箋がたくさんできたので、皆が作った指導箋もしおりにすることにしました」という。

 店舗全体での指導箋作成は、2013年度にあすなろ薬局が立てた行動計画の一つ。「地域の人から信頼され、選ばれる薬局になるという大きな目標を達成するために、薬局ぐるみで地域の人に役立つものを作ろうと考えました」(初鹿氏)。あすなろ薬局には薬剤師が5人、医療事務員が4人と登録販売者が1人勤務しているため、薬剤師と医療事務員または登録販売者が1人ずつペアを組んで、指導箋を1年で4枚作るというプランを立てた。

 「薬剤師はどうしても視野が狭いところがあるので、より患者に近い医療事務員の視点を加えることで、患者にとって分かりやすい指導箋になると考えました」。こう振り返る初鹿氏は、「医療事務員や登録販売者にも指導箋作りに取り組んでもらうことで、医療提供施設で働く一員としてのモチベーション向上にもつながったと思います」と手応えを話す。

 ただし、指導箋としてはA4判のサイズで作っているのに対し、しおりのサイズはA6判。縮小印刷すると文字が小さくなりすぎる指導箋はしおりにはできない。現在、しおりにした指導箋は全部で8種類にとどまっている。

 お薬手帳のしおりは、指導箋と同じように薬剤交付時に患者に渡すほか、待合室や投薬カウンターに置いて患者が自由に持ち帰れるようにしている。服薬指導中に「これは何?」と聞かれることも多いという。さらに、患者に渡したしおりや指導箋からのつながりで、「地域の老人クラブから、薬と健康について講演してほしいという依頼が来ました」と初鹿氏。地域に薬局の存在を知らしめ、選ばれる薬局になるための大きな布石となってきそうだ。

 なお、本作品を応募した初鹿氏は、審査員の一人である溝部氏が所属するファーコス(東京都千代田区)が運営する薬局に勤務している。審査は応募者の個人情報を完全に伏せた形で実施したこと、審査員3人の全員一致で本作品が最優秀賞に選ばれたことを付記しておく。

審査員による採点結果

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アメニティー部門の注目作品

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 患者から「助かりました!」と言われるツールを募集したアメニティー部門には、最もバラエティーに富んだ作品が集まった。注目ツールの一つが「処方せん有効期限カレンダー」だ。

 日付表示機能があるデジタル時計を4日進めてセットすることで、有効期限の日付を毎日書き直す手間が省けるというツールで、「これは、ぜひまねしたい」(ネオフィスト研究所の吉岡氏)、「日付をいちいち書き換えなくてもいいところが、私のような無精者に向いている」(日本薬剤師会の近藤氏)と好評だった。

 また、「保険証お預かりプレート」は、保険証を患者から預かる際に、「保険証をお預かりしております」と書かれた巨大なプレートを渡すというアイデア。「預かり札を処方箋と一緒に回している薬局はあると思うが、巨大な預かり札を患者さんに持たせてしまうという、視点の転換が面白い。どの薬局でも応用できそう」とファーコスの溝部氏は評価している。

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