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DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)とびひに抗菌薬が3日分しか出ない理由
日経DI2014年6月号

2014/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年6月号 No.200

出題と解答 :金山 幸治
(株式会社ザグザグ[岡山市中区])

A1

3~4日間で症状が軽快しない場合、耐性菌の可能性があるため。

 とびひは伝染性膿痂疹の通称で、黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌(溶連菌)などが皮膚に感染して生じる疾患である。黄色ブドウ球菌の感染によって紅斑の上に水疱が生じるものは水疱性膿痂疹と呼ばれ、伝染性膿痂疹の中でも患者は圧倒的多数を占める。

 夏季に流行し、未就学児を中心に発症する。虫刺されやあせも、湿疹、アトピー性皮膚炎など、痒みを伴う皮膚疾患をかきむしることで角質層が破壊され、そこに付着した原因菌が増殖して発症する。その伝染力は強く、水疱内容物への接触により他の部位や他人へと広がっていく。

 水疱性膿痂疹の治療は主に、(1)抗菌薬の外用、(2)抗菌薬の内服、(3)感染拡大と症状悪化防止のための痒み止め塗布─に分けられる。水疱が目立つ場合は水疱を切開して内容物を除去し、抗菌薬を塗布したガーゼで覆う処置などが施される。ただし、水疱性膿痂疹の治療にはガイドラインなどの確立された方法があるわけではない。

 外用抗菌薬は、皮膚の水疱に直接塗布することで原因菌を殺菌する。近年、ゲンタマイシン硫酸塩(商品名ゲンタシン他)に原因菌が耐性を示し、治療が無効であることが多いため、フシジン酸ナトリウム(フシジンレオ)やテトラサイクリン塩酸塩(アクロマイシン)、ナジフロキサシン(アクアチム他)などの軟膏が処方される頻度が高い。

 一方、内服抗菌薬は一般に皮疹の拡大傾向が強い場合に処方される。黄色ブドウ球菌に感受性のあるセフェム系やペネム系の抗菌薬が第一選択となる。

 しかし、感染者の20~40%からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が分離されたという報告がある。このためセフェム系抗菌薬を3~4日投与しても皮疹の乾燥や痂皮化が認められない場合にはMRSAの感染を疑い、処方が変更されることが多い。その場合、ホスホマイシンカルシウム水和物(ホスミシン他)、スルタミシリントシル酸塩水和物(ユナシン)、クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物(クラバモックス)、ノルフロキサシン(バクシダール他)などが単剤または併用で用いられる。

 S君の母親は、以前に溶連菌性の咽頭炎に罹患した際の抗菌薬投与期間が今回の処方日数より長かったことを指摘しているが、小児呼吸器感染症診療ガイドライン作成委員会「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011」によると、溶連菌による咽頭・扁桃炎の治療では、ペニシリン系もしくはマクロライド系の経口抗菌薬を10日間投与する方法が第一選択とされている。

 また、水疱性膿痂疹の補助的な治療として、皮疹部位のかき壊しによる感染の拡大を防止することも重要である。そのため、皮疹の痒みが強い場合にはステロイドの外用薬や抗ヒスタミン薬が処方されることも少なくない。

 患部は清潔に保ち、感染が広がらないようにする。入浴は毎日欠かさず、水疱部分は石鹸で洗い、患児の爪は短くそろえてかき壊しを防止するなど、生活面でのケアについても指導しておきたい。

こんな服薬指導を

イラスト:YAB

 S君には今回、とびひの菌を殺菌する薬として飲み薬と塗り薬が出ています。ご指摘の通り、前回は飲み薬が10日分出ていました。

 溶連菌感染症では、体内の菌を十分殺菌するまでには1週間近く掛かりますが、とびひは3~4日で効果が表れます。また最近、耐性菌という抗菌薬が効かない菌も出てきているので、もし3日ほど服用しても良くならなければ別のお薬に替える必要が出てきます。なので、その場合は再度受診してください。

 とびひの症状を良くするためには、毎日お風呂で水疱の部分も石鹸で洗い、湯船に漬からずシャワーを使いましょう。あと、S君の爪を短く切って皮膚のかき壊しを予防し、水疱が広がらないようケアしてあげてください。

参考文献
1)小児科学レクチャー 2012;2:88-94.
2)小児内科 2010;42:360-3.

※本クイズは、書籍『日経DIクイズ15』からの再掲載です。

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