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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)タケプロンOD錠の経管投与法
日経DI2014年6月号

2014/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年6月号 No.200

出題と解答 :後藤 洋仁
(横浜市立大学附属病院薬剤部)

A1

(4)55℃の湯で溶解した添加剤が、投与中に冷えて凝集した。

A2

(4)粉砕せず、常温水に溶解。

 胃瘻を造設しているGさんは、経腸栄養剤だけでなく内服薬も栄養チューブを介して服用する。固形剤を用いる場合は、薬剤を溶解あるいは懸濁した溶液を作成して投与するが、製剤量が少ない方が溶解などが容易なため、固形剤としては賦形により製剤量が相対的に多くなる散剤よりも、錠剤やカプセル剤を優先的に用いるケースが多い。その際の薬剤の調製法として、近年、病院や在宅で採用が広がっているのが簡易懸濁法である。

 簡易懸濁法は、錠剤やカプセル剤をそのまま、55℃の湯に入れて15分間放置することで溶解・懸濁させる調製法である。調製は患者などが投与の直前に行う。

 この方法では、錠剤を粉砕したり、カプセル剤のカプセルを除去するなどの加工を行わないため、乳鉢への付着といった加工時のロスが生じず、実量を確実に投与できる。加工により舞い散った薬剤に薬剤師が曝露されることも避けられる。また、投与の直前まで錠剤・カプセル剤の剤形が保たれるため、投与薬の確認がしやすく、体調などに応じた投与量の増減が行いやすい。さらに、錠剤などの加工に掛かる時間が省け、薬局での患者の待ち時間が短縮できるなど、様々なメリットがある。

 簡易懸濁法では通常、薬剤の調製に55℃の湯を使用する。この温度の湯なら、15分放置後も37℃程度となりカプセルが十分に溶解するというのが、55℃という温度設定の根拠である。

 さて、薬剤によっては、簡易懸濁法で調製した薬液が、栄養チューブをしばしば閉塞させることが知られている。Gさんに処方されているタケプロンOD錠(一般名ランソプラゾール)もその一つである。同薬は微細な腸溶性顆粒を凝縮した製剤で、マクロゴール(ポリエチレングリコール)という添加剤が、苦味のマスキングと主薬の安定化のために用いられている。

 添加剤のマクロゴールには重合度により幾つかの種類があり、タケプロンOD錠に用いられているのはマクロゴール6000である。マクロゴール6000は、常温ではパラフィン状の固形だが、融点は56~61℃と、簡易懸濁法で用いる湯の温度に非常に近い。液状に融解したマクロゴール6000が再度固形化すると、元の腸溶性顆粒よりも大きな、非常に凝集しやすい粒子になってしまう。

 このマクロゴール6000の性質を考慮すると、おそらくGさんは、簡易懸濁法の実施時にマクロゴール6000の融点を上回る温度の湯を使用することがあるのだろう。その場合に、融解したマクロゴール6000が投与中に再び固形化してチューブ内で凝集し、チューブの閉塞を来したものと考えられる。

 なお、Gさんの主治医が指示したようにタケプロンOD錠の粉砕を行っても、マクロゴール6000に起因するチューブ閉塞は回避できない。その上、腸溶性顆粒が破壊され、主薬が胃酸により失活する恐れがあるので、タケプロンOD錠の粉砕は行ってはならない。

 幸い、タケプロンOD錠は、口腔内の唾液などで容易に崩壊する性質を備えている。従って、粉砕せずにそのまま常温の水に投入すれば、薬液を容易に作成できる。溶解に湯を用いないため、マクロゴール6000の融解は起こらず、チューブ閉塞は避けられる。疑義照会においては、医師にタケプロンOD錠の特性を説明し、(1)簡易懸濁法には湯ではなく水を使う、(2)錠剤を粉砕しない─という2点を認めてもらうことが望ましい。

こんな疑義照会を

イラスト:加賀 たえこ

 Gさんに処方されているタケプロンOD錠ですが、簡易懸濁法のお湯の温度が高めだと、添加剤が融解して、それがチューブの中で凝集するため、チューブ閉塞を起こしやすいようです。OD錠ですので常温の水にもよく溶けますし、就寝前に服用するのはタケプロン1剤だけですから、就寝前だけは簡易懸濁にお湯ではなく水を使うようにGさんにお伝えしましょうか。

 また、タケプロンOD錠は腸溶錠で、粉砕するとコーティングが破壊され失活する可能性もあります。そのままでも水によく溶けますので、粉砕しなくてもよろしいでしょうか。

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