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DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A)パーキンソン病のウエアリング・オフ時の薬
日経DI2014年6月号

2014/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年6月号 No.200

出題と解答 :今泉 真知子
(有限会社丈夫屋[川崎市高津区])

A1

(4)アデノシン受容体拮抗薬

A2

(3)40mg

 パーキンソン病の治療において、ドパミン補充療法はその中核を担う治療法であるが、長期治療による運動合併症という大きな問題が付随する。中でも、レボドパの効果の減弱によって生じるウエアリング・オフは、症状がない状態とある状態の変動が繰り返され、パーキンソン病患者の日常生活動作(ADL)の低下を招く。オフ時にはレボドパの増量やドパミンアゴニストの追加などが行われるが、十分な改善がみられない場合にはドパミン刺激を補助する薬剤が使用される。その1つが、今回Mさんに処方されているイストラデフィリン(商品名ノウリアスト)だ。

 イストラデフィリンは、アデノシンA2A受容体の選択的拮抗薬である。この薬剤は、アデノシンA2A受容体にアデノシンが結合するのを阻害して中型有棘ニューロン(MSN)の過剰な興奮を抑制する(図)。また、ドパミン神経の変性脱落で異常を来した神経のシグナル伝達を正常な状態に近付け、運動症状を改善するとされている。

図 イストラデフィリンの作用機序

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 アデノシンA2A受容体は大脳基底核回路内の線条体と淡蒼球経路(間接経路)に発現する。γアミノ酪酸(GABA)を放出するMSNで、ドパミンD2受容体とペアでMSNの興奮を調節している。

 健康な人の脳では、ドパミンD2受容体がドパミンと結合してMSNの興奮を抑制し、GABAの過剰による運動の抑制が生じないように制御している。しかしパーキンソン病患者では、ドパミン神経細胞の変性・脱落によりドパミンの放出が減少している。そこへ、アデノシンがMSNのアデノシンA2A受容体へ結合すると、MSNの興奮が過剰になり、患者の運動機能低下につながってしまう。

 イストラデフィリンはこれを阻害する薬剤であり、非ドパミン系の抗パーキンソン病薬に分類され、ドパミン系抗パーキンソン病薬との併用で相乗効果を示す。また、ドパミン系とは別の経路で効果を示すことも期待されている。

 イストラデフィリンの適応は、レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病患者におけるウエアリング・オフ現象の改善である。患者の1日当たりのオフ時間を短縮させる用量としては、1日1回、20mg錠1錠を経口投与する。このほか、オン時の運動機能の改善を期待する場合には、40mgを1日1回経口投与する。ただし臨床試験において、40mgを投与したとしても20mgを上回るオフ時間の短縮効果は認められていない。

 投与の際、ジスキネジア(不随意運動)のある患者では症状悪化の可能性に留意する。また、オン時の症状悪化の可能性もあり、注意を払う必要がある。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 お父さんに今まで処方されていたマドパーというお薬は、レボドパ製剤と呼ばれているものです。お父さんに表れたオフ状態は、レボドパを長く服用している時に次第に効果が無くなってきて起きると言われています。

 このノウリアストというお薬は、今までの薬と違う経路で効果を発揮するので、レボドパと一緒に服用することでオフ状態の時の症状を和らげます。

 レボドパが効果を示すオン時には運動機能を改善する目的で服用することも可能です。ただ、その場合の用量は2倍になりますので、詳しくは先生に相談されてはいかがでしょうか。

参考文献
日本薬理学雑誌2008;131:275-80
Brain Res Mol Brain Res.1994;22:204-10

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