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DIクイズ2(A)
DIクイズ2:(A)抗菌薬の苦味と服薬補助ゼリーの相性

2014/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年6月号 No.200

出題と解答 :川原 弘明
(株式会社コム・メディカル[新潟県三条市])

A1

(3)矯味剤により苦味をマスキングしているが、酸性下では薬効成分が溶出しやすい。

A2

(2)チョコレート味は、賞味期限が開封後3日以内と、他の味に比べて短い。

(3)ぶどう味は、抗菌薬などで苦味が増すことがある。

 オラペネム小児用細粒10%(一般名テビペネム ピボキシル)は、2009年に発売された国内で唯一の経口カルバペネム系抗菌薬である。幅広い抗菌スペクトルと強い抗菌力を持つが、耐性化を防ぐため、「小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版」では、どの重症度においても第一選択として推奨されておらず、他の抗菌薬による治療効果が期待できない症例に限り使用するよう記載されている1)。また、同薬の急性中耳炎に対する保険適応上の投与期間は、原則7日間であるため、急性中耳炎の治療において、抗菌薬の初回投与時に同薬が処方された場合や、同薬が7日間を超えて投与されている場合は、処方医に確認する必要がある。

 さて、B君が使用している「おくすり飲めたね」(龍角散)は、小児向けに開発されたゼリー状の服薬補助食品である。果物味(いちご味・ピーチ味・ぶどう味)とチョコレート味があるが、果物味はpH3.7の酸性でありマクロライド系の抗菌薬などと混ぜると苦味が増す場合がある。

 一方、チョコレート味の服薬補助ゼリーは、pH7.0の中性で、口の中で薬物が溶けにくい液性になっている。舌部の味蕾にある苦味受容体からのシグナルを一時的にカットし、苦味を軽減させる。

 今回B君に処方されたオラペネムは、矯味剤を添加し苦味を軽減した製剤である。同薬の添付文書の「有効成分に関する理化学的知見」の分配係数からも、pHが下がるにつれ水への溶出率が上がり、口腔内で苦味が生じると考えられる。

 筆者が勤務する薬局のスタッフ5人で各種抗菌薬の官能試験を行ったところ、オラペネムはぶどう味の服薬補助ゼリーと混ぜると強い苦味を生じ、チョコレート味の服薬補助ゼリーと混ぜると、苦味が軽減される結果となった(表)。

表 当社スタッフ(成人)5名による官能試験結果

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 開封後の賞味期限は、果物味は7日間だが、チョコレート味は3日間と期間が短いため、注意が必要である。その理由として、酸性下の方が菌の繁殖が抑えられることが考えられる。

 最後に、小児でも言葉が分かる年齢になれば、服薬指導ができる。薬剤師が患児に直接話しかけ、なぜ薬を飲む必要があるのか、どのような効果があるのかなどを説明し、さらに、次の来局時に薬が飲めたことを褒めることが、達成感や次の服薬意識の向上につながる。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 今回処方されたオラペネムという抗菌薬は、果物などの酸性のものと混ぜると苦味が増します。これまで使われていたぶどう味のゼリーと混ぜると、かえって苦くなるので、今回はチョコレート味をお薦めします。使い方は同じですが、チョコレート味は、開封後の賞味期限が3日以内と他の味よりも短いので注意してくださいね。

 B君、これまでちゃんとお薬が飲めているんだってね。よく頑張っているね。今度はチョコレート味だよ。これを飲むと耳が痛くなくなるから、もう少し続けてみようね。

参考文献
1)日本耳科学会、日本小児耳鼻咽喉科学会、日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会「小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版」

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