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医師が語る 処方箋の裏側
配合剤の切り替えで、夏場の血圧の下がり過ぎを防止
日経DI2014年6月号

2014/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年6月号 No.200

 田中正男さん(仮名、当時70歳)は高血圧の治療中で、軽い糖尿病も患っている。アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を最大まで増量しても降圧が不十分であり、朝食後にARBと利尿薬の配合剤であるエカードLD(一般名カンデサルタンシレキセチル・ヒドロクロロチアジド)、就寝前にARBとカルシウム拮抗薬の配合剤であるエックスフォージ(バルサルタン・アムロジピンベシル酸塩)を処方していた。

 昨年6月初旬の受診の際、田中さんは「入浴後にふらつく」と訴えた。血圧手帳で家庭血圧を確認すると、ここ数日間、夜の収縮期血圧が100mmHg前後と低めだった。6月に入ってからは暑い日が続いたため、体温調節のために血管が拡張し、それが血圧の低下につながったと見られた。

 そこで眠前の処方を、エックスフォージからカルシウム拮抗薬の含有量が少ないユニシアLD(カンデサルタン8mg・アムロジピン2.5mg)に切り替えた(左の処方箋)。血管の拡張により血圧が下がりすぎたと考え、血管拡張作用を持つカルシウム拮抗薬の量を減らした。ユニシアLDに含まれるカルシウム拮抗薬のアムロジピンの含量はエックスフォージの半分だ。2週間後には夜の血圧は120mmHg前後に落ち着いた。

 高血圧と糖尿病の合併例では厳格な降圧が求められる。高血圧ガイドライン2014においては、年齢別の降圧目標は従来の基準よりも高く変更されたが、糖尿病合併高血圧の降圧目標は従来通り診察室血圧で130/80mmHg未満に据え置かれた。しかし一方で、過度な降圧が腎機能低下を来すことも少なくなく、血圧手帳の値を参考にした慎重なコントロールが求められる。

 今回のように、錠数が変わらないように配合剤から配合剤へと切り替えると、患者の混乱を防ぐことができる。なおカンデサルタンは1日投与量の上限が12mg(腎障害を伴う場合には8mg)と小さいため、これを超えていないか注意してほしい。(談)

勝谷 友宏氏
Katsuya Tomohiro
勝谷医院院長。1989年和歌山県立医科大学卒。大阪大学大学院修了後、米スタンフォード大学、阪大加齢医学講座講師などを経て、2009年から現職。阪大臨床遺伝子治療学特任准教授、兵庫県内科医会副会長。高血圧専門医。

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