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お薬手帳はオプションではない、その要不要は薬剤師が判断すべき
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2014/06/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年6月号 No.200

 早いものでもう6月。つまり、新しい調剤報酬体系になって2カ月が経過した。

 4月の調剤報酬改定の際は、疑義解釈(Q&A)の公表が新年度にずれ込み、さらに公表されたものが変更された。お上の現場軽視の姿勢は相変わらずなので文句を言っても始まらないが、さぞかし苦労した薬局も多いことだろう。

 その最たるものが、「お薬手帳」ではないか。薬剤服用歴管理指導料が「手帳あり」と「手帳なし」の二段階に設定されたことにより、手帳を持参した場合とそうでない場合で、一部負担金に差が出てきてしまうことは既にご存じの通り。それに対して、現場で苦慮する声が上がっていると聞く。

 典型的な例が「お薬手帳を作るとお金がかかるのか?」という患者からの質問に対する返答だ。「手帳そのものにお金はかかりませんが、1回受付ごとに10~20円、高くなります」と答えたならば、多くの患者は説明を最後まで聞く前に「じゃあ、要らない」と返事をするのではないだろうか。

 しかし、本当にこの返答でいいのだろうか。

 新しい調剤報酬点数表の「薬剤服用歴管理指導料」の部分をよく読んでほしい。「(処方箋の受付1回につき)41点」と書かれ、その後に34点を算定するケースの注釈が続いている。注目すべきは、そこに「患者の求めに応じて」の文言がないということだ。

 一部負担金に差があるという点で、お薬手帳が「薬剤情報提供料」だった頃と何も変わらないではないか、との思いはあるものの、その当時との最大の違いはこの一言の有無にある。つまり、患者の状態を勘案した上で、手帳が必要かどうかの最終的な判断を行うのは薬剤師であり、その結果、個々の患者に合った薬歴管理料が適用されるのである。決して患者本人が手帳の要不要を判断し、手帳を断れば「手帳代」を安くできるものではないのだ。

 繰り返しになるが、お薬手帳は「オプション」ではない。薬局は小売業であり、サービス業であるかもしれないが、医療を提供している場所である。自分が毎日服用している薬も満足に言えないのに「手帳は要らない」という患者が筆者の働く薬局にも来るが、「左様でございますね」と、引き下がるわけにはいかないのだ。

 ちなみに、こういった話をすると「お薬手帳を持参しなかったら点数を高くしたらいいではないか!」という意見を聞くことがある。確かに、お薬手帳を持参しない方が、併用薬の確認に手間取るし、点数を高く設定したい気持ちも分かる。しかし、「持ってこなければ高い点数になる」というのは、患者にとっては懲罰的であり、保険診療にはなじまないだろう。

 いずれにせよ本来であれば、前述したようにお薬手帳の要不要は薬剤師が判断すべきであって、患者自身が判断する性質のものではないと患者に説明すべきである。

 ただ、やはりそうは言っても「手帳の金額」に行き着いてしまうことが多いだろう。そこで、これは筆者からの提案であるが、患者から「お薬手帳にお金がかかるか?」と聞かれた際に、「お金がかかる」とか「持たなければ10~20円安くなる」と言うのを止めようではないか(ましてや「自分でシールを貼れば安くなります」など言語道断!)。そして、「あなたにはお薬手帳が必要なのだ」と説得しようではないか。(十日十月)

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