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患者指導ワンポイントレッスン
アタマジラミ症への対処法
患者指導ワンポイントレッスン

2014/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年5月号 No.199

監修 岡 恵子氏
(岡皮フ科クリニック[東京都文京区]院長)

 アタマジラミ症の流行は近年、保育園や幼稚園、小学校などで散発的に発生している。流行は季節を問わず発生するが、プール指導前に皮膚の状態を確認する機会があるためか、この時期に見つかることも少なくない。

 シラミというと不衛生が原因と思われがちだが、現在の日本では不衛生なため発生することはほとんどない。衛生面で気を付けていても、髪の接触などで簡単に感染する。

感染1カ月後から痒み

 アタマジラミは、ノミや蚊と同じ吸血性の昆虫である。ノミと異なり種特異性があり、人にしか寄生しない。直接接触により感染するため、頭同士を接触して遊んだり、満員電車などで頭髪が接触したりすることで感染する。

 感染した直後は症状はないが、成虫が増える1カ月後ぐらいから痒みを訴えることが多い。

 成虫は2~4mmの大きさで、通常は数匹しかおらず、光を避けて素早く動くので、発見が困難なことが多い。一方、卵や抜け殻は約0.9mmで、一見、フケのように見える。卵の基部はセメント様物質で頭髪にしっかり固定されるため、手で取ろうとしてもなかなか取れない。

シラミ駆除薬は適正使用を

 アタマジラミを駆除するためには、通常のブラッシングや洗髪は無効で、剃毛が最も効果的だが、実施は困難である。そのため、シラミ駆除用医薬品であるピレスロイド系のフェノトリンを有効成分とするシャンプー(商品名スミスリンLシャンプータイプ、第2類医薬品)の使用を薦めている。

 シャンプーは、1日1回、3日ごと(2日おき)に3~4回繰り返す。これは、フェノトリンはシラミの成虫や幼虫には殺虫効果を示すが、卵には効果が弱いため、卵が孵化するタイミングで繰り返し使用する必要があるからである。

 近年、フェノトリン抵抗性のシラミが問題になっている。スミスリンで3~4回シャンプーしても駆除できない場合は、抵抗性である可能性が高い。スミスリンを使い続けると、皮膚炎を起こしたり、フケがひどくなったりすることがあるので、漫然と使用するのは避けるべきである。このほか、アタマジラミが寄生していないのに予防のため使用する、薬の量や回数が多ければよく効くだろうと自己判断して過量を使用するなど、間違った使用例も報告されているので、薬局では用法・用量を守るように指導してほしい。

 また、毛に固着した死んだ卵や、卵の抜け殻はシャンプーでは除去できない。そのため、スミスリンの使用と同時に、すきぐしで物理的に取り除くことを勧めている。通常のくしでは取れないので、成虫や卵のサイズより狭い間隔のアタマジラミ専用のものを使用する。保健所などで専用のくしを貸し出している自治体もあるので、自治体の窓口や保健所に相談するとよいだろう。

 アタマジラミは、宿主から離れても適当な温度・湿度の下では、成虫は約72時間、卵は約10日間生存する。ブラシやタオルは家族間で共有せず、頭髪が直接触れる枕カバーやシーツ類は毎日取り替える。また、シーツやタオルは熱めのお湯(55℃以上)に10分程度漬けておくと駆除できる。ドライクリーニングも有効である。家庭内でも感染しやすいので、家族で同時に駆除する必要がある。

 冒頭で述べたように、アタマジラミ症は不衛生が原因で感染するものではない。いじめや差別につながったりしないよう、薬局でも正しい知識の普及に努めてほしい。


指導箋は、複製して配布するなど、薬局での患者指導に自由にご活用ください。DIオンライン(http://di.nikkeibp.co.jp)からもダウンロードできます。

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