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DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)ステーブラが中止されなかった理由
日経DI2014年5月号

2014/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年5月号 No.199

出題と解答 : 笹川 大介
(はらだ薬局[鹿児島県薩摩川内市])

A1

イミダフェナシン(商品名ステーブラ錠)の副作用である口腔内乾燥感は、
服用後時間が経過するにつれて改善するとの報告があるため。

 過活動膀胱(overactive bladder:OAB)とは、「尿意切迫感を有し、通常は頻尿および夜間頻尿を伴い、切迫性尿失禁が伴うこともある状態」と定義されている。

 OAB治療には、抗コリン薬が現在最も広く使われている。抗コリン薬は、ムスカリン性アセチルコリン受容体阻害により、膀胱平滑筋の収縮抑制、コリン作動性神経終末でのアセチルコリン遊離抑制、尿路上皮における非神経性アセチルコリン作用抑制により、膀胱収縮、尿意亢進抑制効果をもたらす1)

 OABに適応を持つ抗コリン薬には、プロピベリン塩酸塩(商品名バップフォー)、酒石酸トルテロジン(デトルシトール)、コハク酸ソリフェナシン(ベシケア)、イミダフェナシン(ウリトス、ステーブラ)、フェソテロジンフマル酸塩(トビエース)などがあり、2013年には、過活動膀胱治療薬で初めての貼付薬となるオキシブチニン塩酸塩の経皮吸収型製剤(ネオキシテープ)が発売された。

 これらの抗コリン薬使用時に問題となるのは、口腔乾燥および便秘の副作用が高頻度に発現することである。Cさんも、過去にコハク酸ソリフェナシンの服用で口腔乾燥が出たため、投薬が中断されている。

 今回Cさんに処方されたステーブラ(一般名イミダフェナシン)も抗コリン薬であり、Cさんは口腔乾燥を訴えている。にもかかわらず、今回、処方が継続された理由には、副作用の出方が関係している。

 両薬剤の有効性と副作用の発現率については、イミダフェナシンとソリフェナシンの無作為割付並行群間比較試験が参考になる2)。両薬剤の服用開始時、4週後、8週後、12週後における有効性や副作用の発現状況を評価したところ、有効性に関しては両薬剤とも同等だった。

 一方、副作用の口腔乾燥については、症状の継続期間において、両薬剤に違いがあった。ソリフェナシン群では、4週でベースラインから有意な悪化を認めた上、その状態は12週まで持続していた。

 これに対し、イミダフェナシン群においては、4週でベースラインから有意な悪化を認めたものの、8週、12週と時間が経過すると、口腔乾燥は急速に改善する傾向が示された。これらの結果から、ソリフェナシンは口腔乾燥がイミダフェナシンより長期間持続する可能性が高いことが分かった。

 Cさんには以前、ソリフェナシンで口腔乾燥を訴えて、処方が中止された経緯がある。Cさんの主治医は、これ以上の頻繁な処方変更は避けたいと考え、こうした情報を踏まえて、今回、イミダフェナシンを継続投与して、口腔乾燥の症状が継続するか様子を見ようとしたと考えられる。

 薬局でも、患者にこうしたデータを伝え、服薬コンプライアンスを維持し、安心して服薬できるようにすることが重要である。

 なお、わが国では、2011年9月から、作用機序が抗コリン薬とは異なる選択的β3アドレナリン受容体刺激薬のミラベグロン(商品名ベタニス)が使用可能になり、OAB薬物治療の幅が広がった。同薬は、膀胱弛緩に関与する膀胱平滑筋のβ3アドレナリン受容体刺激により膀胱弛緩作用をもたらし、蓄尿機能の改善効果を示す。抗コリン薬による口腔乾燥などの副作用が強い患者に対して、処方される機会が多いとみられる。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 ステーブラが効いているとのことで、よかったですね。でも、口の渇きは気になりますよね。

 ステーブラは飲み始めて4週間くらいは、口の渇きが出やすいのですが、時間がたつにつれて症状が軽くなることが多いようです。先生は、Cさんにもう少し薬を継続してもらって、口の渇きが治まるか様子を見ようとお考えなのだと思います。もう少し我慢してお薬を続けてみてくださいね。

 1~2カ月服用を続けても、口の渇きが治まらない場合や、症状が我慢できない場合は、先生や私ども薬剤師にご相談ください。また、このお薬は便秘も起きやすいですので、そちらでお悩みの場合もお伝えくださいね。

参考文献
1)泌尿器ケア2014;19:77-80.
2)泌尿器外科2011;24:1489-500.

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