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特集:調剤報酬改定2014のインパクト
薬局タイプ別試算
日経DI2014年5月号

2014/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年5月号 No.199

 今回の改定項目(表1)のうち薬局経営への影響が大きいのは、調剤基本料の加算点数である基準調剤加算と後発医薬品調剤体制加算の2つだ。

表1 2014年調剤報酬改定の概略

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 調剤基本料の特例対象となる大規模薬局では、基準調剤加算1(12点)を原則、算定できなくなった。中小規模の薬局でも、在宅医療の実績要件などが加わったことで基準調剤加算2(36点)を算定できなくなったところが多い。また、後発医薬品調剤体制加算は非常に高いハードルが設定され、薬局の規模を問わず影響が出ている。

 調剤薬局の経営支援を行う船井総合研究所(東京都千代田区)調剤薬局コンサルティングチーム・チームリーダーの萩原光朗氏は、「集中率を下げるか、後発品比率を上げるか。この2つが必要だが、両方とも即効性のある具体策はない」と話す。集中率を下げる数少ない方法の1つが、在宅医療の推進による他院からの処方箋獲得。患者1人で処方箋が月2.5枚ほどの計算になる。しかし、「これまで在宅を手がけなかった薬局にはそれなりに理由があり、簡単には手を出せない。大規模薬局では、必要な数の在宅患者を集めるのが難しい」と萩原氏は話す。

 後発品の比率は、集中率に比べれば、薬局の努力次第で引き上げる余地がまだある。「後発品比率は規格単位数量で計算されるため、1日3回服用の薬を積極的に置き換えるなどすれば、効率よく割合を高められる。新指標で40%後半程度の薬局なら、少し努力すれば55%までたどり着けるだろう」と萩原氏は話す。

 ただし、病院の門前薬局に関してはこれは当てはまらない。病院では取引メーカーに配慮して、処方薬が変更不可となっていることが多く、後発品への置き換えが容易ではないからだ。そういう意味では、大規模門前薬局では集中率も後発品比率も手を打てない、八方塞がりの状況といえる。

 お薬手帳の持参の有無で点数が変わる薬剤服用歴管理指導料は、薬局の対応次第で、影響は分かれる。持参しない患者全員に新規にお薬手帳を渡して算定するといった意見もあるが、患者に「点数狙い」と思われてしまう恐れもある。持参率を上げる努力を地道に進めた方がよさそうだ。

大規模門前は技術料1割減も

 調剤技術料がどのように変わるかを、薬局のタイプ別に試算してみた。

 1つ目は、大規模病院門前薬局をモデルにした試算(表2)。調剤基本料の特例(受付回数4000回超/月かつ集中率70%超)対象の薬局では従来、基本調剤加算1(10点)を算定できたが、今改定で算定不可になる。大規模門前薬局の多くが影響を被る。

表2 大規模病院門前薬局の調剤技術料
(処方箋5000枚/月、集中率80%、後発品比率32%、調剤技術料270点/枚)

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 後発医薬品調剤体制加算については、モデルにした薬局は後発品比率が旧指標で32%、新指標で48%程度にしかならず、後発医薬品調剤体制加算が15点から0点になると仮定した。ただし、この部分は薬局によって様々だ。

 薬剤服用歴管理指導料は、お薬手帳の持参率を70%まで引き上げられると仮定し、持参しなかった患者にシールのみを発行した場合、-2.1点となった。一包化加算については引き上げ幅が1点に満たず、影響は軽微だ。

 これらを総合すると、大規模門前薬局の調剤技術料はモデル薬局で処方箋1枚あたり-25.6点となった。萩原氏は「大型病院門前薬局では、収入ベースで-2.0~-2.5%の減収になる」と試算している。

 なお、今改定で調剤基本料の新たな特例対象となる薬局(受付回数2500回超/月かつ集中率90%超)では、調剤基本料が40点から25点に減額されるため、1枚当たりさらに15点の減少を覚悟しなければならない。

影響軽微な診療所門前薬局

 集中率が高くなりがちな診療所門前薬局(表3)では、基準調剤加算は改定前後で加算1のまま変わらないと見られ、影響を左右するのは主に後発医薬品調剤体制加算の部分だ。

表3 診療所門前薬局の調剤技術料
(処方箋1400枚/月、集中率90%、後発品比率40%、調剤技術料240点/枚)

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 診療所との関係が良好な薬局では、後発品比率を薬局の努力で伸ばせる余地が大きい。表3のケースは、旧指標で40%、新指標で60%前後となり、後発医薬品調剤体制加算1(18点)を算定できると仮定した。他の点数と合わせると、ほとんど収入は変わらない。ただし、皮膚科や眼科などの診療所の処方箋が多く、後発品の変更がしにくい薬局では、影響を受ける可能性もある。

意外と痛手のパパママ薬局

 3つ目は小規模面分業タイプの、いわゆる“パパママ薬局”について。これは在宅医療に関与しているか否かで大きく変わってくる。表4は在宅医療に関与していない薬局をモデルにした。

表4 小規模面分業薬局の調剤技術料
(処方箋800枚/月、集中率60%、後発品比率24%、調剤技術料210点/枚)

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 基準調剤加算1と2の大きな違いに、在宅の実績がある。薬剤師1~2人で運営しているような薬局では、在宅医療に携わるのは難しい。このため、品目数の要件(1000品目)をクリアして加算2(30点)を算定していた薬局で、加算1の12点しか取れなくなるところが出てきそうだ。他の点数ではカバーしきれず、合計で-23.9点となる。

 もっとも、在宅医療に関与していれば、引き続き基準調剤加算2を算定できることになり、点数も6点アップするため、全体として改定の影響は軽微に抑えられる。1年間で10件以上の実績をクリアするため、いかに在宅医療へ注力できるかが挽回のポイントだ。

 最後に薬価差益について。「今回、3%の消費増税分はメーカーが実質負担するという話が聞こえてくる。差益率は例年通り平均的に12~14%程度になると見られ、薬価引き下げ分を盛り込んでもほとんど変化しないのではないか」と萩原氏は話す。ただ、こうした措置も消費税10%引き上げ時にどうなるかは不透明だ。

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