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DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A) 抗結核薬を服用する結核以外の疾患
日経DI2014年5月号

2014/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年5月号 No.199

出題と解答 : 堀淵 浩二
(クオール株式会社[東京都港区]西日本事業本部)

A1

非結核性抗酸菌症

A1

カルシウム拮抗薬のアダラート(一般名ニフェジピン)と、
今回処方された薬剤が代謝に関する相互作用を来す恐れがあるため。

 抗結核薬であるリファンピシン(商品名リファジン他)とエタンブトール塩酸塩(エサンブトール、エブトール)に、クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド他)を追加した3剤併用は、非結核性抗酸菌症の最も標準的な処方内容である。

 非結核性抗酸菌症は、マイコバクテリウム属の細菌(抗酸菌)のうち、結核菌とライ菌を除いた菌が感染する疾患である。かつては結核菌による疾患を定型的としていたため、非定型抗酸菌症とも呼ばれていた。

 全身に病変を来す可能性があるが、ほとんどは肺であり、特にM.avium属の肺病変を、肺MAC症と呼ぶ。

 症状としては、咳、痰、微熱、全身倦怠感などがある。進行した場合は、呼吸困難、喀血、食欲不振、痩せ、発熱などが表れることもある。一般に症状の進行は緩やかで、結核とは異なりヒトからヒトへ感染しないのも特徴。Kさんの処方医が「うつす心配はない」と言っていることからも、非結核性抗酸菌症が最も疑われる。

 原因菌は、Mycobacterium aviumが57.8%、M. intracellulareが25%、M. kansasiiが8.1%と、3菌種で91%を占め、その他はまれな菌種である。

 非結核性抗酸菌症の治療は冒頭の3剤を基本とし、必要に応じてストレプトマイシンまたはカナマイシンの注射を併用することが多い。

 また、クラリスロマイシンの1日量は、400mgや600mgよりも800mgの方が治療効果が高いことが報告されている。その理由として、リファンピシンを併用すると、チトクロームP450(CYP)3A4が誘導され、クラリスロマイシンの血中濃度が低下することが考えられる。このため十分量のクラリスロマイシンの投与が重要となる。

 ただし、薬物療法による改善率(症状、胸部単純X線写真、排菌により判断)は50%程度にすぎない。一旦改善しても、再び排菌するケースもあり、全体的な有効例は約3分の1ともいわれている。患者数は増加し、漸次進行例が増えてきているのが現状である。

 非結核性抗酸菌症は免疫力が低下していたり、肺に古い病変のある人がかかりやすいが、健常者であっても発症する場合がある。健常者は自覚症状が全くなく、胸部検診などで偶然見つかることもある。Kさんの基礎疾患は、高血圧のみのようだが、免疫力を高めるような食生活や休養を心掛けるように、指導するとよい。

 さて、Kさんはお薬手帳によると、ニフェジピン(アダラート他)を服用している。同薬はCYP3A4で主に代謝される。そのため、リファンピシンを併用すると、CYP3A4が誘導され、ニフェジピンの有効血中濃度が得られず、降圧効果が減弱する恐れがあり、併用注意となっている。一方、クラリスロマイシンは、CYP3A4を阻害し、ニフェジピンの血中濃度上昇に伴う作用の増強を来す恐れがある。

 Kさんに今回処方した呼吸器内科医はこうした相互作用を懸念し、循環器内科の受診を促している。薬局では、お薬手帳などを活用して、積極的に服薬状況と相互作用の可能性について、循環器内科医に情報提供する必要があるだろう。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 咳が続いているとのこと、大変ですね。今回からお飲みいただく薬は、結核の治療でも使われますが、先生が「人にうつす心配はない」とおっしゃったとのことなので、結核ではなく、恐らく非結核性抗酸菌症という肺の病気と思われます。免疫が低下しているとかかりやすいといわれていますので、バランスの良い食事や休息を取るとよいかと思います。

 Kさんのお薬手帳を拝見したところ、アダラートを服用されているのですね。今回処方されたお薬は、アダラートの血圧を下げる効果を弱くしたり、強くしたりする可能性があります。明日、高血圧の先生の診察を受けられるとのことですので、手帳にその旨を書いておきます。受診時に先生にお見せするようにしてください。

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