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OTCトレンドウォッチ
膣カンジダ向けのOTC薬を開発した経緯は
日経DI2014年5月号

2014/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年5月号 No.199

木村 貴子
Takako Kimura
大正製薬株式会社
商品開発本部 商品企画部 主事
同社研究所に入社後、外用薬領域の処方開発を経験。現在はマーケティング部門で、スキンケア、皮膚用薬、点眼薬などの企画から発売までを担当。薬剤師、臨床検査技師

聞き手
三上 彰貴子
Akiko Mikami
株式会社A.M.C 代表取締役社長、薬剤師
製薬会社勤務後、コンサルティング会社勤務を経て2005年から現職。医療分野のコンサルティングを行う傍ら、一般用医薬品に関する寄稿や講師の活動も行う。

 本稿では、膣カンジダの再発に伴う症状へのOTC薬であるメディトリートについて、製品開発者である大正製薬の木村貴子氏に、製剤や包装の特徴を聞いた。

─膣カンジダ向けのOTC薬を開発した経緯は。

木村 カンジダは常在真菌で、ホルモンバランスの乱れによって膣内に増殖し、白いおりものや痒みといった症状の膣カンジダを来します。膣カンジダは女性の5人に1人は経験しており、その半数が再発するという、決してまれではない疾患です。ですが、「受診するのが恥ずかしい」と考える女性は少なくありません。そこで、OTC薬のニーズがあると考え、開発に取り組みました。

 メディトリートの膣坐剤の成分は、ミコナゾール硝酸塩で、医療用のフロリード膣坐剤などと同じです。

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─膣坐剤とクリームがありますね。

木村 膣カンジダは、カンジダを殺菌すれば症状は治まるので、根本的な治療は膣剤になります。

 既に医療現場で処方されていましたが、OTC薬として適正に使用できるよう臨床試験を行い、2008年9月に膣坐剤として発売しました。発売までに5年かかっています。

 膣坐剤を発売してみると、実は患者にとって深刻なのは外陰部の痒みで、直接塗布できる外用薬が求められていることが分かりました。実際、一般消費者を対象にした調査では、8割以上の人が「クリームも使いたい」と回答していました。そこで、翌年の09年3月にクリームを発売し、これは膣坐剤と併用できるOTCとして初めての外用薬となりました。

─どのような人に膣坐剤とクリームの併用を勧めればいいのでしょうか。

木村 両剤とも「膣カンジダの再発」への適応なので、過去に医師の診断および治療を受けていることが前提になります。膣カンジダの根本治療は膣坐剤で、発疹を伴う痒みがあれば、膣坐剤とクリームの併用を勧めていただきたいです。

 繰り返しになりますが、膣カンジダは膣の中で菌が増殖する疾患であり、外陰部症状のみの場合はクリームの単独使用が可能ですが、膣剤の併用が望まれます。

 当社からは、デリトリーナという外陰部の痒みやかぶれ向けのクリームも販売しています。膣カンジダと診断された時と同じ症状ではない、特に白いおりものもない、と聴取できたら、デリトリーナを薦めるといいでしょう。

 症状によって、メディトリートの膣坐剤とクリーム、デリトリーナのどれを薦めるか、まとめたチェックシートやフローチャートがありますので、販売時に活用していただければと思います。

─製剤の特徴を教えてください。

木村 膣坐剤、クリームともに、使用者が使いやすいように工夫しています。

 膣剤は小型で、スムーズに膣の奥まで挿入しやすい坐剤タイプです。体温で溶けるように設計していますので、夏場は立てた状態で冷蔵庫に保管するように伝えてください。

 基剤の特徴として、ラテックスが劣化しやすくなるので、コンドームなどの避妊用ラテックス製品との接触を避ける必要があります。

 クリームは無臭で、水分と油分のバランスを工夫しているので、べたつかずに伸びるのが特徴です。摩擦や水で製剤が取れにくいように設計しているので、1日2~3回の塗布で有効です。

─パッケージが女性向けのかわいらしいデザインですね。

木村 膣カンジダは、OTC薬を購入するのにも心理的障壁があります。そこで、「かわいい!」という好感から安心感を持っていただき、一緒に治そうというメッセージを込めてキャラクターを作りました。メディートちゃんという名称で、前髪にMの文字が入っています。

 パッケージは、女性らしいピンク色と、効き目を意識した紺色にしました。

─薬剤師が販売時に注意すべきことはありますか。

木村 販売時には、(1)用法・用量、(2)月経中の取り扱い、(3)症状経過の説明、(4)他剤との併用の有無、(5)保管取り扱い上の注意、(6)日常生活の注意─を踏まえて説明します。膣坐剤は、6日間連続して使う必要があるため、月経中は避けて使うようアドバイスしてください。また、膣からの漏れを防ぐために就寝前に使うことや、ナプキンやおりものシートは不衛生にならないように使うことも伝えていただきたいです。

 販売時の説明を男性薬剤師にされることに抵抗がある人もいますが、男性薬剤師が上手に販売している薬局はあります。薬局向けに配布している販売話法のビデオでは、患者応対の工夫を紹介していますので、参考にしてください。また、消費者がスムーズに購入するために、あらかじめ記入できるチェックシートも配布していますので、店頭に置くのも効果的でしょう。

 第1類医薬品のため、薬剤師がいるタイミングで購入しなければならず、購入の難しさにつながっているようです。薬剤師の方々には、積極的に販売に携わっていただければと思います。

患者に合わせて成分と剤形を選ぶ/三上彰貴子の一言メモ

 膣カンジダ治療のOTC薬は、膣剤とクリームが、複数のブランドから販売されている。

 膣剤には、膣坐剤のメディトリートのほか、メンソレータムフレディCC膣錠(イソコナゾール硝酸塩、ロート製薬)、オキナゾールL100(オキシコナゾール硝酸塩、田辺三菱製薬)、フェミニーナ膣カンジダ錠(オキシコナゾール硝酸塩、小林製薬、田辺三菱製薬)、エンペシドL(クロトリマゾール、佐藤製薬)がある。

 このうち、オキナゾールL100の形状はアーモンド形、エンペシドLは片方が丸みを帯びて細長く、挿入後に速やかに発泡して崩壊するなど、特徴がある。

 このほか、メディトリートとメンソレータムフレディには、クリームもあるので、症状によっては併用を勧める。

 このように、成分と製剤の形状が異なるので、違いを説明し、患者に合ったものを薦めることが重要である。

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