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何のための薬歴の記録か、信頼回復のためにも有効活用を
日経DI2014年5月号

2014/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年5月号 No.199

 2014年度の調剤報酬改定は、いわゆる門前薬局に対して、適正な薬局機能を持つよう促すことが狙いの一つだったと理解している。「立地条件が良い」というだけで数多くの処方箋を応需していた薬局には経営的にかなり厳しい内容だが、薬局が本当に患者や地域のために仕事をしているのかが問われていると認識すべきだ。

 薬局における薬剤師の仕事は、処方箋に基づく調剤や、薬物療法の管理、OTC薬の販売、在宅患者への医薬品の供給など様々あるが、時間的にも付加価値という点でも大きなウエートを占めているのが薬剤服用歴管理記録、いわゆる薬歴の作成だ。

 では、薬剤師は一体何のために薬歴を記録するのだろうか。これを薬剤師に尋ねると、副作用の早期発見に役立つことや重複投薬の防止など、薬を服用した後の事象を挙げる答えが返ってくる。しかし、果たしてそれだけでいいのだろうか。もっと多様な場面で活用することはできないのだろうか。

 例えば、患者の体質や生活習慣、生活環境によっては、この季節になると必ず体調を崩すという人がいる。そんな患者の薬歴を数年間にわたって付け続けていれば、どの季節にどのような症状が出やすいかを予想し、体調を崩しやすい季節が近づいてきたときに、患者に予防を促せるかもしれない。

 ところが現実には、薬局は処方箋調剤ばかりに力を入れているため、患者には「処方箋がなければ薬局に足を踏み入れられない」と思われてしまっている。この結果、本来、薬剤師は薬歴を通じて患者の健康状態を把握する身近な存在なのに、それに基づく健康支援という役割を十分発揮できていない。

 ちなみに、調剤報酬の薬学管理料には、「長期投薬情報提供料2」というものが設けられている。これは、14日以上の長期投薬の薬剤の服用期間中に、患者またはその家族が薬局に訪れたり、電話での問い合わせを受けたりして、服薬状況の確認や必要な指導などを行った場合に算定できるものだが、「交付した薬剤に関して適正使用のための指導を行った場合」などの要件が設けられている。これはこれで有意義な項目だが、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師というからには、交付した薬剤に関することに限らず、患者がより気軽に相談し、薬歴に基づいて健康支援のアドバイスができる存在となるのが望ましい。

 そういうことが薬剤師の役割に位置付けられるようになれば、仕事の仕方も変わっていくだろう。薬歴は、「30日に1回記録するもの」ではなく、「日々、何かあるごとに記録するもの」となり、その記録が積み重ねられることで患者からの信頼は高まり、相談に来局する回数はさらに増える。そうなれば、薬局が患者や地域の住民のために仕事をしていることがきちんと認識され、落ちた信頼は取り戻せるし、OTC薬や日用雑貨の売り上げにも結びつく。さらにそれが生活習慣の改善や、薬の削減などにつながれば、医療費を削減する立場の政府も大歓迎だろう。

 薬剤服用歴管理料を巡っては、今回の改定で「お薬手帳を利用しない場合」の特例として通常よりも7点低い34点の点数が設けられたことが大きな話題になった。もちろん、なぜそうした改定が行われたのかを理解し、算定要件をどうやって満たすかを考えることも重要だが、何のために薬歴を記録しているのかを、改めて考えてみることも必要ではないか。(劉備)

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