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薬局なんでも相談室1
相談室1:吸入ステロイドを長期間使うと、成長に影響があるのか?
日経DI2014年5月号

2014/05/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年5月号 No.199

 はじめに、患者からの質問と表裏一体の、大事な質問をお示しします。それは「喘息治療に吸入ステロイドは必要ですか?」というものです。

 この答えはYesです。軽症から重症まで全ての喘息で、吸入ステロイドは基本薬となります。一方で、副作用への注意は必要です。小児では成長抑制など全身性副作用が問題となります。

 ここからが本題です。小児に使える吸入ステロイドは4種類あります。その中のベクロメタゾンプロピオン酸エステルとブデソニドについて、長期の連日投与による成長抑制の可能性が報告されました(Lancet2011;377:650-7.、N Engl J Med 2012;367:904-12.)。

 ベクロメタゾンに関しては、5~18歳の軽症喘息児に対し44週間の連日吸入(1日80μg)を行った結果、1.1±0.3cmの成長抑制が認められました。また、ブデソニドでは、5~12歳の喘息児が1日400μgの吸入を4年間継続すると、1年目に1.1cmの成長抑制が認められました。さらに、長期のフォローアップでは、最終身長でも1.2cmの成長抑制が認められました。

 成長抑制は、単純な身体サイズだけの問題に留まらず、内分泌機能や免疫機能など全身的な障害の可能性をも意味するため、低年齢では特に注意が必要となります。

 一方、吸入ステロイドには上記2剤の他に、フルチカゾン、シクレソニドという薬剤があります。

 フルチカゾンは、前述のベクロメタゾンやブデソニドに比べ、有効性が高く副作用のリスクが低いとされています。小児喘息を対象としたフルチカゾンに関する過去の論文からは、次のような特徴を見いだすことができます。
(1)年少で(2歳以下)、体格の小さな(15kg未満)子どもに200μg/日以上を長期間(2年以上)投与すると成長抑制の可能性が生じる、
(2)年齢を問わず高用量(375μg/日以上)投与で成長抑制の可能性が生じる─。つまり、小さな子でも、少ない量(200μg/日以下)を2年以内に用いる限り、副作用のリスクは小さいといえます。

 私たちが行った低用量フルチカゾン(50~200μg/日)に関する検討においても、有意な成長抑制は認めませんでした。シクレソニドも安全性で高い評価を得ています。

 このように、吸入ステロイドの種類と用量を考えて用いる限り、長期使用は安全だろうと考えます。重要なことは、吸入ステロイドを適正に使い、喘息を早く、十分に良くして、減量~中止を図ることです。

 なお、今年2月に日本小児アレルギー学会が発表した見解でも、「吸入ステロイドは適切に使用される場合、乳幼児を含めて多くの喘息患児にリスクを上回るベネフィットをもたらす」「リスク・ベネフィットを高めるためには喘息の診断と重症度を厳密に判定する必要がある」とし、これまで通りの適正使用を求める内容になっています。

 患児の保護者には、誤った情報で服薬を中断しないように正しく説明するとともに、適正な使用を指導していただければと思います。

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