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DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)胃切除した患者に出された抗アレルギー薬
日経DI2014年4月号

2014/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年3月号 No.198

出題と解答 : 堀淵浩二
(クオール株式会社[東京都港区]西日本薬局事業本部)

A1

ペリアクチン(一般名シプロヘプタジン塩酸塩水和物)の抗セロトニン作用と抗ヒスタミン作用が、胃切除に伴う早期ダンピング症候群の症状を改善するため。

 胃には、摂取した食物の貯留機能や食物を粥状にする撹拌機能、十二指腸への食物の通過を調節する幽門機能、胃酸分泌機能、食道胃逆流防止機能、ビタミンB12の吸収を助ける機能―などがある。胃癌や悪性リンパ腫などの治療のために胃を切除すると、胃のみならず食道や小腸、大腸などの消化器全域に障害をもたらす。その代表的な症状として、栄養障害や貧血、下痢、乳糖不耐症、逆流性食道炎などがある。

 上記の他に、胃切除後に起きる特有の障害として、ダンピング症候群がよく知られている。症状としては、動悸やめまい、悪心、腹痛、発汗、脱力感などがある。これらは、胃の貯留機能が低下するとともに、幽門機能が低下または失われる結果、食物が急激に十二指腸や小腸に流れ込むことで起きるとされる。

 ダンピング症候群は、症状が表れるタイミングによって大きく2つに分かれる。

 一つは、食事中から食後30分にかけて症状が表れる「早期ダンピング症候群」である。これは、未消化で濃度の高い食物が十二指腸や小腸に急速に流入することが原因で起きる。高濃度の食物が浸透圧で体液を奪い、神経性・体液性の過敏反応を引き起こすほか、循環血液量の減少や腸管運動の亢進、血管作動性の体液因子(セロトニン、ヒスタミン、ブラジキニン、カテコールアミンなど)の過剰産生といった適応不全を生じ、前述のような症状が表れる。胃切除患者の20~45%に見られる。

 もう一つは、食後2~3時間後に症状が表れるもので、「後期ダンピング症候群」と呼ばれる。これは大量の糖分が急速に上部小腸に流れることに対して、インスリンが過剰に分泌される結果引き起こされる低血糖症状である。発汗や脱力感、めまいなどが生じる。

 ダンピング症候群の症状を改善するには、食事指導が重要である。食事の量を小分けにして回数を増やし、時間を掛けて取ることが望ましい。また、味の濃い物や炭水化物の量を減らし、高蛋白質・高脂質のメニューにする。食物繊維には、急激な血糖上昇を防いだり、食物の移動時間を遅延させるなどの働きがある。

 また、十二指腸以降への食物の急激な流入を避けるため、食事中の水分摂取は控え、胃部に滞留しやすい固形食を取るのが望ましい。食後30分程度は上体を起こさず、横になるのも有効である。

 食事指導でコントロールが難しい場合には、薬物療法が追加される。早期ダンピング症候群には、抗ヒスタミン・抗ブラジキニン作用を持つホモクロルシクリジン塩酸塩(商品名ホモクロミン他)や抗ヒスタミン・抗セロトニン作用を持つシプロヘプタジン塩酸塩(ペリアクチン他)など、体液因子を遮断する薬剤が用いられる。後期ダンピング症候群には、ボグリボース(ベイスン他)などのαグルコシダーゼ阻害薬などが処方される。いずれも保険適用外である。

 Nさんの話からは、早期ダンピング症候群を発症していることが考えられる。薬物療法とともに、食事の取り方に注意することで症状が改善する旨を指導したい。

こんな服薬指導を

イラスト:YAB

 先生からも説明されていると思いますが、Nさんは胃を切除されたため、食べた物が胃を素早く通過しやすくなっています。食べた物がすぐに十二指腸や小腸に流れ込むと、お感じになっている症状が出やすいのです。

 この症状はダンピング症候群と呼ばれていて、かぜのときにアレルギー症状を引き起こすヒスタミンという物質が関与しています。ですので、ヒスタミンの働きを抑えるペリアクチンが出されているのだと思います。

 症状は、食事の取り方でも改善します。炭水化物を減らして、蛋白質と脂質の多い食事にしたり、回数を増やして1回当たりの量を減らすことが、症状を軽くするコツです。食後は30分ほど横になるとよいともいわれています。

参考文献
1)クリニシアン2012;59:1102-8.

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