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DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A)ホルモン補充療法の貼り薬と血栓リスク
日経DI2014年4月号

2014/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年4月号 No.198

出題と解答 : 後藤 洋仁
(横浜市立大学附属病院薬剤部)

A1

(1)静脈血栓塞栓症、(2)心筋梗塞

A1

(1)~(3)の全て

 ホルモン補充療法は、更年期に減少してきた卵胞ホルモンを補充し、その欠乏に伴う機能障害を改善する治療法である。一般に、子宮体癌の発症リスクを低減する目的で黄体ホルモンが併用される。Gさんに処方されたメノエイドコンビパッチ(一般名エストラジオール・酢酸ノルエチステロン)は、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類を補充する貼付薬である。更年期症状や卵巣欠落症状に伴う血管運動神経系症状(ホットフラッシュや発汗)を軽減する効果を示す。

 ホルモン補充療法では、卵胞ホルモンの投与経路として、経口と経皮の2種類が用いられる。経皮投与は、卵胞ホルモンによる有害事象の一部が、経口投与よりも低減することが認められている。肝初回通過効果が回避でき、血中卵胞ホルモン濃度の変動も少ないことが理由とされている。

 Gさんが心配しているように、卵胞ホルモンには血栓形成促進作用があり、閉経後女性を対象とした疫学調査のメタ解析において、卵胞ホルモンの経口製剤の使用者では静脈血栓塞栓症の発生率がホルモン補充療法の非実施者の1.9倍(95%信頼区間[CI]1.3~2.3)と報告されている。しかし、同じメタ解析で、卵胞ホルモンの経皮製剤の使用者では発生率が1.0倍と、非実施者と差がないことが示されている1)。また、心筋梗塞の発生率は、ホルモン補充療法の実施者と非実施者で差がない(相対リスク1.03、95%CI0.95~1.11)が、経皮製剤の使用者では有意に低い(同0.62、0.42~0.93)ことが報告されている2)。Gさんの主治医は、これらのデータを踏まえ、血栓形成への不安を訴えるGさんのホルモン製剤を経口製剤から経皮製剤へと変更したものと思われる。

 ちなみに、血中LDLコレステロール濃度に関しては、卵胞ホルモンの経口投与では低下するが経皮投与では不変である。これは、経口投与の場合、卵胞ホルモンの初回通過において肝臓や末梢組織のLDL受容体数が増加し、LDLの取り込みが促進されるためと考えられている3)

 さて、メノエイドコンビパッチの用法・用量として、添付文書には「1枚を3~4日ごとに1回(週2回)下腹部に貼付する」と記載されている。例えば月曜の22時に貼付したら、次の貼り替えを金曜の10時に行えば、1枚ごとの貼付期間は均等になる。ただ、臨床上はそこまでの厳密性は不要で、入浴後などの決まった時間で貼り替えて差し支えない。月曜の22時に貼付する場合、貼付期間を「3日、4日、3日……」とするなら木曜22時、「4日、3日、4日……」なら金曜22時が次の貼り替えタイミングとなる。患者にとって習慣化しやすいタイミングで貼り替えられるよう、薬剤の交付時に患者と相談するといいだろう。

 同薬は下腹部への貼付が推奨されており、貼付を避ける部位として胸部と臀部が挙げられている。胸部では乳房の細胞にエストラジオールが直接的に作用する恐れがあり、臀部では吸収が低下し得るためである。なお、同薬は冷所で保管するが、未開封の状態なら室温でも1カ月まで安定であることが確認されている。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 ホルモン剤で血が固まりやすくなると説明されたことが不安で、先生に相談なさったのですね。最近の研究で、お薬を肌からゆっくり吸収させる貼り薬では、飲み薬より血の塊ができにくいことが分かってきました。それで先生は貼り薬に変更したのだと思います。つらい症状を和らげる効果は飲み薬と変わりませんので、安心してお使いください。

 貼り替えるタイミングですが、厳密に3日半でなくても、3日貼ったら次は4日、次は3日というように、3日と4日が交互になるように貼れば大丈夫です。月曜スタートとすると、最初に3日貼るなら月・木、4日貼るなら月・金となります。このお薬は1カ月以内なら室温でも保管できますが、変質を防ぐために普段は冷蔵庫で保管してくださいね。

参考文献
1)Curr Opin Hematol. 2010;17:457-63.
2)Eur Heart J. 2008;29:2660-8.
3)臨床病理 2013;61:256-62.

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