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医師が語る 処方箋の裏側
小青竜湯を服用中の患者に家庭血圧の測定を勧める理由
日経DI2014年4月号

2014/04/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年4月号 No.198

 「毎年、花粉症でアレルギーの薬を飲んでいましたが、効き目が今ひとつなので、今年は漢方薬を試してみたいのですが」。こう言って、2月中旬に私の漢方外来にやってきた井本英恵さん(仮名、48歳)。井本さんは高血圧のため、アムロジン(一般名アムロジピンベシル酸塩)を服用中だった。

 当院初診時、既に鼻汁と鼻閉の症状に悩まされており、アレルギー性鼻炎の適応を持つ小青竜湯と抗ヒスタミン薬のザイザル(レボセチリジン塩酸塩)を14日分処方し、2週間後に来院するよう指示した。

 14日分の処方としたのは、小青竜湯による副作用などを確認するためだ。同薬の配合生薬で特に注意が必要なのは、カンゾウとマオウ。1日量(9.0g)中にそれぞれ3.0gと比較的多く配合されている。カンゾウは、血圧上昇やむくみ、カリウム喪失などに代表される偽アルドステロン症を引き起こす恐れがある。マオウは胃腸虚弱の人が服用すると、食欲不振や嘔吐、吐き気が起きやすい。

 また、マオウの主成分であるエフェドリンには交感神経興奮作用があるため、血圧上昇を来しやすい。これまで私が小青竜湯を投与した患者では、110mmHgだった収縮期血圧が、7日程度の服用で、150mmHgまで上昇したケースも経験しているため、初回投与は慎重に行っている。

 これらの副作用の影響を抑えるために、井本さんのように小柄な女性には、投与量を少なめに1日2回で計6g/日としている。

 井本さんには、処方時にこうした副作用をよく説明し、家庭血圧の測定を勧めた。2週間後の再診時、症状の改善が見られ、血圧は不変だったので28日分を処方。さらに1カ月後の血液検査で血清カリウム値などに異常はないことを確認した。

 最近、漢方薬に関心を持つ医師が増えている。花粉症シーズンに数カ月分の小青竜湯が投与されるケースもあるだろう。また、OTC薬で服用している場合もあるので、薬局での副作用の確認をぜひお願いしたい。(談)

北村 順氏
Kitamura Jun
神戸海星病院(神戸市灘区)内科部長。1992年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業。同大第4内科、日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院(東京都府中市)、天理よろづ相談所病院(奈良県天理市)を経て、2004年北村内科クリニック(島根県浜田市)で漢方を学ぶ。2010年より現職。日本循環器学会専門医、日本東洋医学会認定漢方専門医。島根大学医学部臨床教授。

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