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CaseStudy
ファミリーマート+ファーマライズ薬局末広町店(東京都千代田区)
日経DI2014年3月号

2014/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年3月号 No.197

 ファミリーマート+ファーマライズ薬局末広町店(東京都千代田区)は、JR山手線の秋葉原駅から徒歩で10分ほどの、外神田のオフィス街を貫く中央通り沿いに位置する。2013年8月末に薬局部分を除く店舗が24時間営業のコンビニとしてオープン。薬局は10月1日から営業を開始した。

 同店はファミリーマート(東京都豊島区)のフランチャイズ店舗で、オーナー法人はファーマライズプラス(東京都中野区)。調剤特化型の薬局を217店舗運営する持株会社、ファーマライズホールディングス(東京都中野区)が、面対応という“新業態”に取り組むため13年3月に設立した会社だ。

 店舗の左半分、入口のある側は、お馴染みのファミリーマートの店構え。しかし右半分にはガラス窓に大きく「処方せん受付」の文字とカプセル剤をかたどったイラストを配置、窓越しに調剤室や投薬カウンター、そして白衣を着た薬剤師や医療事務の姿が見える。

 さらに、「処方せん受付」と記された赤いのぼりや大きく「くすり」と書かれたステッカーを使って、このコンビニで調剤やOTC薬の販売を行っていることが、店の前を行き交う人に容易に分かるよう工夫を凝らしている。

末広町店では店舗の前に「処方せん受付」と記した赤いのぼりを立て、入口には青地に白抜きで大きく「くすり」と書かれたステッカーを貼って、医薬品を取り扱う店舗であることをアピール。さらに“リピーター”の獲得を目指し、管理薬剤師の寺島裕子氏(右下写真右)と医療事務の江口まり子氏は、処方箋を持ち込む患者だけでなくOTC薬を買いに訪れた客にもこまめに声を掛ける。
写真:秋元 忍

「集客力」テコに面対応

 末広町店は、これまで診療所や病院の近隣にのみ出店してきたファーマライズホールディングスにとって、初の面対応店舗。「処方箋を面で受ける店舗形態には、マンツーマンや病院門前の店舗とは違うノウハウが必要。いきなり単独で出店するのはリスクが高いので、まずは異業種と組んで出店し、ノウハウの蓄積を図ることにした」と、ファーマライズホールディングス専務取締役執行役員で事業推進本部長の秋山昌之氏は経緯を説明する。

「集客力のあるコンビニやスーパーと組むことで面対応のノウハウを蓄積したい」と話す、ファーマライズホールディングスの秋山昌之氏。

 提携先として重視したのは集客力だ。「調剤薬局を訪れる患者は1日に100人くらいだが、コンビニなら1000人、スーパーマーケットなら5000人と桁が違う」(秋山氏)。同社ではファミリーマートのほかスーパー大手の西友(東京都北区)とも組み、13年11月と12月に西友内に2店舗を出店した。

 集客力の高さがあるとはいえ、店舗の近隣に医療機関はほとんどない。通行人や買物客に薬局の存在をいかに認知してもらうかが勝負だ。末広町店では入口横にOTC薬の棚を設置し、薬局エリアには棚と同じ黄緑色を配して、自然に視線が薬局側に向くようにした。OTC薬は棚数こそ4つと少ないものの第1類を含めた280品目を取り揃え、「店内を探し回らずに、欲しいものがすぐ買える」というコンビニらしさを生かした配置になっている。

薬局部分の内装にはテーマカラーの黄緑色を配し、コンビニの利用客に調剤やOTC薬販売の実施店舗であることをアピールする工夫が随所に見られる。

(1)入り口のすぐ右手(向かって左側)にOTC薬を並べた黄緑色の棚を配置。棚の高さを低くし、奥にある投薬カウンターや調剤室がよく見えるようにした。

(2)OTC薬棚の端に、時間外や休日に処方箋を受け付ける「処方せんポスト」を設置。
(3)日用品売り場にマスクや歯ブラシと並んで「薬剤師が選ぶサプリメント」のコーナー。

(4)季節商品としてチョコレートなどと一緒に可愛くラッピングしたサプリメントが並ぶ。

(5)黄緑色の椅子を置いた開放的な待合スペース兼OTC薬売り場。

(6)薬剤師に相談しやすいよう、第1類OTC薬は投薬カウンターの下に配置。
(7)感冒や腹痛などの患者に配慮して常温の飲料も販売している。

「薬局のファンを作りたい」

 「医療機関の近隣の薬局にいた頃は、一度来たお客さんがまた来てくれることが、こんなにうれしいこととは知らなかった」。こう口を揃えるのは、末広町店管理薬剤師の寺島裕子氏と医療事務の江口まり子氏。2人とも志願して末広町店に配属された。寺島氏にとって驚きだったのは「お客さんから薬剤師までの距離が近いこと」。「OTC薬の売り場が投薬カウンターのすぐそばなので、薬剤師に話しかけやすいのだと思う」と続ける。

 開局当初は1日1~2枚だった応需処方箋枚数もじわじわと増え、1日に10数枚が来るようになった。処方箋の発行元は予想以上に幅広く、仙台や名古屋など遠方の医療機関もあった。対応のため、医療用医薬品の備蓄品目数は当初の1000品目から4カ月で1200品目にまで増えた。「この薬局のファンを作りたい。接客では、また来ようと思ってもらえるような対応を心掛けている」と江口氏は力を込める。

調剤薬局ベースの店舗も

 ファミリーマートとの包括提携第1号店である末広町店は、ファミリーマート直営のコンビニ店舗を薬局との一体型に転換したもの。両社は協力して一体型店舗を2年間で5つ作る予定で、調剤薬局を転換する店舗も計画している。だが、「薬局の店舗面積は通常、コンビニより狭いため、コンビニ機能をフルに持ち込むことは不可能。どんな品揃えや構造にするとよいかを考えているところ」と秋山氏は言う。

 調剤薬局ベースの店舗の出店場所は未定だが、「病院門前に複数の薬局が並んでいる場所が候補で、コンビニ機能により他との差別化を図りたい」と秋山氏は話している。(内山郁子)

ファミリーマート、調剤薬局との提携ベースに「調剤一体型コンビニ」フランチャイズ化へ

 2012年からドラッグストア、13年からは調剤特化型薬局チェーンとの包括提携を急ピッチで進めているファミリーマート。薬局との提携で先行するローソンなど同業他社との違いは、コンビニに薬局を併設するのではなく、薬局にコンビニの利便性を付与した一体型店舗の開発を目指している点にある。

 包括提携先は14年2月現在10社で、うち3社が調剤特化型薬局(表)。末広町店のような例外はあるが「原則として、まずは提携先の店舗を一体型店舗へと転換する形で出店を進める」と、ファミリーマート広報・IR部の石井里織氏は話す。5年でドラッグストアとの一体型店舗を500店、調剤薬局との一体型店舗も500店、出店する計画だ。

 調剤薬局との一体型店舗については、「最初の50店は実験店と位置付け、コンビニより店舗面積の狭い調剤薬局に銀行ATMなどのサービスや弁当・惣菜などの物販をどう組み込むかや、薬局の顧客がよく買い求める商品の絞り込みなど、店舗のフォーマットの構築を図る」と石井氏。店舗フォーマットの確立後は、既存の薬局を対象にフランチャイズ展開するというビジネスモデルだ。酒屋、米屋の次は薬局がコンビニに─。そんな時代が、もう目の前に来ているのかもしれない。

表 ファミリーマートの提携先薬局と一体型店舗数

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