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薬局なんでも相談室1
相談室1:患者の海外渡航時に薬局がアドバイスすべきこと
日経DI2014年3月号

2014/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年3月号 No.197

 厚生労働省はサッカーワールドカップ開催に向け、ブラジルへの渡航予定者に黄熱のワクチンを早めに接種するよう呼び掛けています。ブラジルは東部沿岸地域を除き、大半が世界保健機関(WHO)による黄熱ワクチンの接種推奨地域になっているからです。

 黄熱は中南米や熱帯アフリカの風土病で、カが媒介する感染症です。発熱、頭痛、吐き気などを伴い、重症化して死亡することもあります。ただし、黄熱のワクチン接種はあくまでも推奨で、ベネフィットとリスクを勘案して、判断することになります。

 私は、都市部の観光旅行ぐらいであれば、ワクチン接種を勧めてはいません。というのも、黄熱ワクチンは生ワクチンで、頻度は低いですが副反応が極めて重いためです。そして、虫除けスプレーを使用するよう伝えています。

 黄熱ワクチンを接種できるのは全国26カ所と限られているため、ワールドカップの直前になると混雑が予想されます。接種を希望するのであれば、早めに予約して接種するよう勧めるとよいでしょう。

 また、薬剤の携帯についても注意を促してください。特に白い散剤や自己注射は、麻薬の所持を疑われる恐れがあり、睡眠薬や向精神薬には、国際的な麻薬取締法に抵触するものがあります。

 これらに該当する場合、処方医に英語による薬剤証明書を書いてもらうよう、伝えてください。証明書には疾患名や薬剤名、自己使用の目的であること、数量、処方医の氏名、住所、連絡方法とサインが必要です。

高山病に適応外で利尿薬
 また、今回の相談者は、ブラジル周囲の国も旅行するとのことですが、最近はボリビア、ペルーをはじめとした高地に行く日本人が増えているようです。首都が、標高3000メートル以上に位置する国もありますので、高山病に注意が必要です。

 高山病では、頭痛や倦怠感、吐き気、まっすぐ歩けない、ひどい場合は息切れなども見られます。

 高山病を防ぐ目的で、利尿薬のアセタゾラミド(商品名ダイアモックス)が、保険適応外ですがよく使われます。投与量は1回125~250mgを1日2回、高地に行く前日から服用します。

 アセタゾラミドはスルホンアミド化合物なので、サルファ剤にアレルギーのある患者には使えません。高山病に詳しい医師に相談してもらうとよいでしょう。

 未成年だけで旅行する場合には、保護者による医療承諾書も携行するよう勧めてください。海外では、保護者の承諾なしに治療行為は行わないというのが一般的です。万が一に備えて、医師に書いてもらうよう勧めましょう。

 海外渡航に当たっての医療上の注意点は、日本旅行医学会のウェブサイトに掲載されています。また、学会認定医のリストも公表されていますので、不明な点については、個別に相談してみてはいかがでしょうか。

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