DI Onlineのロゴ画像

DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)腰痛なのに腰に貼らない貼付薬
日経DI2014年3月号

2014/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年3月号 No.197

出題と解答 : 今泉真知子
(秋葉病院[さいたま市南区]薬剤科)

A1

ブプレノルフィン(商品名ノルスパンテープ)は局所ではなく中枢神経系の痛覚伝導系に作用して鎮痛効果を発揮する薬剤であり、腰や膝に貼付すると十分な血中濃度が得られない恐れがあるため。

A2

(3)3週間

 今回Mさんに処方されたノルスパンテープは、オピオイドであるブプレノルフィンの貼付薬として2011年8月に発売された。モルヒネに類似する鎮痛作用があり、μオピオイド受容体に対して部分作動薬として、κオピオイド受容体に対しては拮抗薬として働く。適応は「非オピオイド鎮痛薬で治療困難な変形性関節症、腰痛症に伴う慢性疼痛における鎮痛」である。一方、わが国ではブプレノルフィン塩酸塩の注射薬(商品名レペタン他)および坐薬(レペタン)が承認されているが、いずれも慢性疼痛への適応はない。

 2004年に国内で実施された調査によると、慢性疼痛を有する患者は1700万人に上ると推定されており、その部位は腰部が58.6%、膝は20.3%だった。慢性疼痛の治療には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が第一選択となるが、経口薬では長期間の服用で上部消化管障害の副作用がしばしば問題となる。また、NSAIDsだけでは痛みが十分に緩和されない例も少なくなかった。

 ブプレノルフィンは、麻薬及び向精神薬取締法において麻薬ではなく向精神薬に分類される。また、世界保健機関(WHO)による3段階除痛ラダーにおいて、ブプレノルフィン自体は第3段階(中等度から強度の麻薬性鎮痛薬)に位置付けられているが、その貼付薬は「少量の使用」に当たり第2段階(軽度から中等度の麻薬性鎮痛薬)に該当する。

 本薬剤の承認に当たって、十分に管理・説明できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局の下でのみ用いられることとの条件付けがなされた。そのため医師が処方するには、メーカーが提供するeラーニング講習を受講しなければならず、薬局では調剤前に処方元の医師が講習を受けているかを確認する必要がある。

 ブプレノルフィンは脂溶性であり、皮膚から徐々に吸収され、血中に移行して中枢神経系の痛覚伝導系を抑制することで鎮痛効果を発揮する。粘着層からブプレノルフィンを安定して放出するため、貼ってから7日間効果が持続する。ただし、初回は血中濃度が上昇し定常状態に達するまで72時間を要するため、最初の3日間程度はNSAIDsなど他の鎮痛薬を併用するのが一般的である。

 貼付する場所については注意が必要で、胸部や上腕部、上背部など、体動によって貼付薬があまり動かない平らな部位が望ましい。患部である腰や膝に貼ると十分な血中濃度が得られない恐れがあり、特に膝蓋骨上部に貼付した場合、上背部の約30%程度の血中濃度しか得られなかったとのデータがある。

 また、剥離後も貼付した皮膚に有効成分がとどまることが分かっており、同じ部位に再度貼付する場合には3週間以上の間隔を空ける必要がある。もし貼付期間中に剥がれてしまった場合は、再度手で押さえたり、皮膚用テープで固定して貼付面を密着させる。粘着力が弱くなった場合は剥がして、新しい貼付薬を別の場所に7日間貼るよう指導する。

 そのほか、貼付中に部位が温められることによって血中濃度が上昇することも確認されている。高い湯温での入浴やサウナの利用、電気毛布の使用などは避けるよう強調したい。

こんな服薬指導を

イラスト:YAB

 今日からお使いいただくノルスパンテープは、皮膚から吸収されたお薬が中枢神経に運ばれて効くタイプの貼り薬です。ですから、腰など痛む場所ではなく、お薬が吸収されやすい胸や腕、背中の上の方に1週間貼り続けてください。剥がれた場合は手で押さえて貼り直しても構いませんが、粘着力が弱くなってしまったら新しい薬を別の場所に1週間貼ってください。

 また、貼った所を温めると、お薬が必要以上に吸収されてしまいます。お風呂や電気毛布などで温め過ぎないようにしてください。

参考文献
1)ノルスパンテープ 適正使用ガイドブック

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ