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OTCトレンドウォッチ
胃腸薬
日経DI2014年3月号

2014/03/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年3月号 No.197

 胃腸薬の年間販売額のピークは、12月である(図1)。これは、忘年会など飲食の機会が増え、胃腸の症状を訴えることが多くなるためと考えられる。

図1 2013年の胃腸薬の月別販売額(SDIによる)

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 ただし、他のOTC薬のカテゴリーと比較すると、胃腸薬は季節による販売変動が少ない方で、年間を通して一定の需要があるといえる。

 胃腸薬の市場は、全般的に縮小傾向にあり(図2)、購入者は50~60代が中心となっている。こうした背景には飲酒量の減少が考えられる。実際、国税庁が公表している酒類販売(消費)数量も減少傾向にある。

図2 胃腸薬のカテゴリー別販売額と年次推移(SDIによる)

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 複数の成分を配合した「総合」などカテゴリー別に見ても、その傾向は変わらない(図2)。常備薬として購入されることが多いブランドは、錠数の多いものが売れる傾向にある。

 最近の胃腸薬の傾向として、これまでにない特徴をアピールする商品が出てきている。例えば、胃だけではなく腸に働く成分を配合したり、ストレスによる胃の症状の緩和を売りにした商品などである。

 今年は間もなく消費税が増税される。3%から5%に増税された1997年には、胃腸薬も増税直前に買いだめされる“特需”が見られた。今回も、同様な現象が起きる可能性がある。(林)

林 芳行
Yoshiyuki Hayashi
株式会社インテージ ヘルスケア事業本部 SDIインデックスマネージャー
同社のSDI(全国一般用医薬品パネル調査)をはじめとした、OTC薬の市場動向について分析している。市場調査・マーケティングリサーチのパイオニアであるインテージで、OTC薬を含むヘルスケアを担当。

SDI(全国一般用医薬品パネル調査):全国3211店の薬局・店舗販売業、ドラッグストア、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンターを対象に、OTC薬をはじめとしたヘルスケア関連のPOSデータを収集し、情報提供するインテージのサービス。


注目の胃腸薬

 総合胃腸薬のロングセラーであるキャベジンコーワシリーズ(興和)は、主成分として粘膜修復成分のメチルメチオニンスルホニウムクロリド(MMSC)を配合している。これはキャベツから発見された成分で、胃粘液増加や胃粘膜の血流改善、組織修復作用により胃の調子を整える。

 同シリーズには錠剤と細粒があり、主成分以外が若干異なるので注意する。錠剤には、キャベジンコーワ錠と、新キャベジンコーワSがある。

 特に新キャベジンコーワSには、胃の運動を促進する生薬成分ソウジュツが配合されている。常備薬として100、210、320錠の製品のほか、18錠入りのトライアルサイズもある。

新キャベジンコーワS

興和 第2類医薬品

 第一三共胃腸薬プラス細粒(第一三共ヘルスケア)も総合胃腸薬である。整腸成分の有胞子性乳酸菌(ラクボン原末)も配合されているので、胃と腸の不調を訴える方に薦めたい。メントールやその他の健胃成分により、すっとした飲み心地である。

第一三共胃腸薬プラス細粒

第一三共ヘルスケア 第2類医薬品

 一般に胃腸薬には制酸成分として、アルミニウムやマグネシウムが含まれていることが多いため、透析患者や腎障害のある人には薦めないよう注意する。というのも長期服用によりアルミニウム脳症や骨症の恐れがあるためだ。

 また、アルミニウムとマグネシウムを含む合成ヒドロタルサイトは、抗菌薬(テトラサイクリン系、ニューキノロン系)や、ビスホスホネート系骨粗鬆症治療薬の吸収を低下させる恐れがあるため、併用薬にも注意する。

 漢方を好む人には、安中散と芍薬甘草湯エキス末を配合している大正漢方胃腸薬(大正製薬)が向いている。適応は、「時々胃痛があり、胸焼けや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、吐き気、嘔吐などを伴う神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱」であり、微粒と錠剤がある。

大正漢方胃腸薬〈錠剤〉

大正製薬 第2類医薬品

 安中散は、やせ型で冷え性、神経の使い過ぎや冷たい物の取り過ぎによる胃の不調に用いられる。また、芍薬甘草湯は、こむら返りなど筋肉の急激な痙攣を伴う疼痛に用いられることがあり、胃のきゅっとした痛みを緩和する。胃腸が弱く、食後にいつまでも食物が停滞しているような症状や、ストレスなどで時々胃がしくしく痛むような症状を訴える人に薦める。

 液剤の胃腸薬は、二日酔いによる吐き気やむかつき、胃もたれを訴える患者に好まれる。ソルマックプラス(大鵬薬品工業)は、1本25mLで、1日量(2本)にウコン流エキス0.3mL、カンゾウ抽出物135mgなどを配合。添加物としてハチミツ、白糖、l-メントールなどが含まれ、漢方の風味以外にも、少し甘みやすっとする味わいを感じる。用法・用量は、15歳以上の成人、1回1本を1日2回服用。服用時点は特に定められていないが、服用間隔は4時間以上とし、長期連用しないように注意する。

 また、同じブランドで、コンビニエンスストアなどで販売されている指定医薬部外品のソルマック胃腸液プラスは1本50mLと用量が多い。瓶のデザインが医薬品とよく似ている。配合されているウコン流エキスは0.3mLと医薬品と同じ用量だが、カンゾウ抽出物は10mgと少ない。15歳以上の成人から服用でき、1日1本を食前または食間に服用する。(三上)

ソルマックプラス(写真左)、ソルマック胃腸液プラス

大鵬薬品工業 第2類医薬品、指定医薬部外品

三上 彰貴子
Akiko Mikami
株式会社A.M.C 代表取締役社長、薬剤師
製薬会社勤務後、コンサルティング会社勤務を経て2005年から現職。医療分野のコンサルティングを行う傍ら、一般用医薬品に関する寄稿や講師の活動も行う。

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