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DIクイズ2(A
DIクイズ2:(A)OTCの肝斑治療薬で注意すべき併用薬
日経DI2014年2月号

2014/02/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年2月号 No.196

出題と解答 : 福田 剛
(株式会社ザグザグ[岡山市中区])

A1

(3)ノイエル(一般名セトラキサート塩酸塩)

 Aさんが服用しているOTC薬のトランシーノ(錠剤)は、肝斑の適応を持つ第1類医薬品である。

 トランシーノには、有効成分として、トラネキサム酸が1日量で750mg(1回量で250mg、1日3回)配合されている。

 トラネキサム酸は、医療用医薬品(商品名トランサミン他)としても用いられる物質で、止血や抗炎症、抗アレルギー作用を有し、蕁麻疹や口内炎などに用いられる。また、痛みや腫れを抑える目的でOTC薬によく配合されているが、皮膚科医を中心に肝斑を改善する効果も知られており、近年OTC薬としてトランシーノが開発された。

 肝斑の発症メカニズムは十分解明されていないが、トラネキサム酸の抗プラスミン作用がメラニンの発生抑制に関与していると推測されている。

 15歳以上におけるトラネキサム酸の1日量の上限は、トランシーノは750mgだが、医療用は750~2000mgである。トランシーノの上限が750mgであるのは、製薬会社が安全性を考慮してOTC薬としての申請を行ったためである。

 トランシーノの添付文書には、同薬の服用中に、トラネキサム酸を含有する内服薬を服用しないよう記載されている。このため、Aさんにトランシーノを販売した薬剤師は、服用中の薬剤を確認したと考えられる。トラネキサム酸が配合されていると考えられるOTC薬としては、口内炎治療薬や総合感冒薬、鼻炎薬、鎮咳去痰薬などがある。

 また、トランシーノの添付文書には記載されていないが、販売時に併用を確認しておくべき医療用医薬品として、消化性潰瘍治療薬のセトラキサート塩酸塩(商品名ノイエル他)がある。

 その理由は、セトラキサートの主代謝物がトラネキサム酸だからである。ノイエルのインタビューフォームによれば、健康成人にセトラキサート塩酸塩200mg を単回経口投与した場合、主代謝物であるトラネキサム酸の最高血中濃度到達時間(Tmax)は3.05±0.25時間、最高血中濃度(Cmax)は1.75±0.13μg/mL、血中半減期は1.73±0.09 時間であった。また、1回200mgを1日3回、3日間連続投与した場合も同様の結果だった。

 一方、トランサミン錠のインタビューフォームでは、健常成人男子5例に経口投与した場合、いずれも2~3 時間でCmaxに達し、それは250mg錠の投与で3.9μg/mLだった。

 以上のことから、ノイエルから代謝されるトラネキサム酸の血中濃度はトランサミンを同量摂取した場合の56%ほどであると考えられ、例えばセトラキサートを600mg/日摂取すると、トラネキサム酸を337mg/日摂取した場合と同等になると考えられる。この量は前述した医療用の1日用量の上限と比べれば、さほど過剰な摂取量にはなりにくいといえそうだが、OTCの販売時には留意しておく必要があるだろう。

 本問の選択肢に挙げた他の消化器系薬とトランシーノとの併用に問題はなく、Aさんに処方されたファモチジン(ガスター他)、ブチルスコポラミン臭化物(ブスコパン他)などについては、服用できると伝えてよいだろう。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 Aさんが先日購入されたトランシーノには、トラネキサム酸という成分が含まれています。これがお顔のしみを治療する成分なのですが、安全性の観点から1日に摂取できる量が決まっています。実は、このトラネキサム酸には口内炎や喉の腫れ、痛みを治す効果もあり、市販されている口内炎やかぜのお薬にも配合されていることが多いので、以前トランシーノを購入された時に、お店の人は服用中の薬剤についてを確認したのだと思います。

 トラネキサム酸が含まれているお薬かどうか調べるには、パッケージやお薬の説明書の有効成分の欄を見ていただければ分かりますが、中には体内でトラネキサム酸に変化する成分もあります。今回処方されたお薬はいずれも問題ありませんので、安心して服用していただいて結構だと思います。

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