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DIクイズ5(A)
DIクイズ5:(A)注射薬の変更を心配する糖尿病患者の親
日経DI2014年2月号

2014/02/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年2月号 No.196

出題と解答 : 今泉真知子
(秋葉病院[さいたま市南区]薬剤科)

A1

(2)暁現象

 内因性のインスリン分泌能が枯渇している1型糖尿病では、常時ほぼ一定量が分泌される基礎インスリンと、食後の血糖上昇に応じて分泌される追加インスリンの両方の分泌が障害され、絶対量が不足している。

 そのため、インスリン療法においても、作用時間が長い中間型(NPH)インスリンや持効型インスリンなどで基礎分泌を補いながら、超速効型インスリンなどで食後の追加分泌を補う「強化インスリン療法」が行われる。その場合、毎食前に超速効型インスリンを使用し、就寝前に中間型や持効型インスリンを使用する、1日4回注射の強化インスリン療法が一般的となる。

 さて、Iさんのようにインスリン治療中の糖尿病患者では、早朝に高血糖状態を呈することがしばしばある。この原因として、(1)NPHインスリンの不足、(2)暁現象、(3)ソモジー(Somogyi)効果─が考えられる。

 (1)は最もシンプルな原因で、就寝前のNPHインスリンの注射量が不足していると、早朝までインスリンの作用が持続せず、高血糖を来してしまう。

 (2)の暁現象とは、早朝に生じる高血糖状態のことを指す。その原因はまだ完全には解明されていないが、明け方から早朝にかけて分泌が亢進するインスリン拮抗ホルモン(成長ホルモンやコルチゾールなど)の作用で血糖値が上昇しインスリン需要が増大するが、その時にインスリンの供給が不十分だと、増大する需要に対応しきれず、高血糖に至ると考えられている。

 (3)のソモジー効果とは、就寝前のインスリンの単位数が過剰であるため低血糖を来し、この低血糖に対して反応性にインスリン拮抗ホルモンの分泌が亢進し、早朝にかけて高血糖となる現象をいう。つまり、就寝前のインスリン過剰投与に対する反跳現象である。

 これら早朝高血糖の原因を判別するためには、夜間血糖の測定が重要となる。夜間血糖は主に午後11時、午前2時、午前7時に測定するが、判別に際して特に重要なのは午前2時の血糖値である。

 午前2時の血糖値が高い場合は、その時点で既にインスリンの作用が低下している、つまりNPHインスリンの不足とみてよい。この場合は、就寝前のNPHインスリンの投与量を増やす。一方、午前2時の血糖値が低い場合は、就寝前のNPHインスリンの投与量が多過ぎて血糖が低下している、つまりソモジー効果を考え、NPHインスリンの投与量を減らすか補食を検討する。

 これに対してIさんのように午前2時の血糖値が正常であれば、早朝の高血糖は暁現象によるものである可能性が高い。暁現象であればNPHインスリンを増やすのではなく、血中濃度のピークがほとんどなく作用持続時間もより長い持効型インスリンに切り替えて、血糖コントロールを試みる必要がある。

 今回、NPHインスリンの替わりに処方されたインスリングラルギン(商品名ランタス)は、遺伝子組み換え持効型インスリンアナログ製剤であり、1日1回の注射で24時間にわたり作用が持続する。NPHインスリンとの比較試験で、暁現象を抑制する効果が示唆されている。

こんな服薬指導を

イラスト:山田 歩

 Iさんは早朝高血糖だったのですね。早朝高血糖の原因は一つではないので、その原因を判別するために、午後11時、午前2時、午前7時の血糖値を測ることがあります。このうち夜中の2時の血糖値が正常なのに早朝に高血糖になってしまう場合は、夜中から明け方にかけて、体が必要とするインスリンの量が多くなることが原因です。このタイプの高血糖は、寝る前のインスリンを、より長時間効くタイプのものに替えると改善できることが多いのです。

 今回処方されたランタスは、これまで打っておられたインスリンよりも作用の持続時間が長く、夜間の低血糖も起こしにくいという特徴があります。先生の指示通りに用量をきちんと守って打って、血糖の記録を付けてみてください。

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