DI Onlineのロゴ画像

DIクイズ4(A)
DIクイズ4:(A)帯状疱疹後神経痛に処方された痛み止め
日経DI2014年2月号

2014/02/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年2月号 No.196

出題と解答 : 今泉 真知子
(秋葉病院[さいたま市南区]薬剤科)

A1

(1)高齢者、
(2)免疫抑制状態にある患者、
(3)帯状疱疹による皮疹が重症の場合、
(4)前駆痛(皮疹が出る前の痛み)が強い場合、の全て

A2

(2)PHN発症後いつでも

 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因で発症する。多くの場合、子どもの時に罹患した水痘(水ぼうそう)が原因でVZVが脊髄神経節などに潜伏感染し、宿主の加齢や免疫低下などをきっかけに再活性化することで発症する。

 神経に沿って体の片側に帯状に疼痛や浮腫を伴った紅斑、水疱を形成するのが特徴である。比較的よく見られる疾患で、10~20%の人が生涯に一度は帯状疱疹を発症する。帯状疱疹で最も問題となるのが、難治性の疼痛を後遺症として残す帯状疱疹後神経痛(PHN)である。

 帯状疱疹の治療には、アシクロビル(ゾビラックス他)、バラシクロビル塩酸塩(バルトレックス他)、ファムシクロビル(ファムビル)などの抗ウイルス薬が用いられる。通常は、発症後2週間ほどで皮疹がかさぶたになり、それが治癒するにつれ痛みも消えるが、神経が傷付くと痛みが慢性的に続くPHNに移行することがある。

 帯状疱疹からPHNに移行しやすい条件としては、(1)高齢者、(2)免疫抑制状態にある患者、(3)帯状疱疹による皮膚症状が重症である患者、(4)前駆痛(皮膚症状が出る前に起きる痛み)が強い患者、(5)感覚異常がある患者─がある。抗ウイルス薬を発症早期から投与することでPHNの重症化や知覚神経の損傷を抑えられる可能性が指摘されているが、今のところ、PHNを完全に予防する方法は確立されていない。

 帯状疱疹に関連する痛みは、(1)「前駆痛」、(2)皮疹が出ているときに起きる「急性帯状疱疹痛」、(3)皮疹が治癒した後も続く「帯状疱疹後神経痛(PHN)」─の3つに分けられる。前駆痛や急性帯状疱疹痛は主に皮膚の炎症による痛みであるのに対して、PHNは神経障害性疼痛であり、発症機序も治療法もそれぞれ異なる。

 帯状疱疹発症早期の前駆痛や急性帯状疱疹痛には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンが使用される。Tさんのような高齢者には、アセトアミノフェンが選択されることが多い。これは、帯状疱疹の治療で使用する抗ウイルス薬に腎障害を誘発させる可能性があり、腎血流量を低下させ得るNSAIDsよりも、アセトアミノフェンの方が安全と考えられるためである。

 一方、PHNには、神経障害性疼痛治療薬やワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液、三環系抗うつ薬、抗てんかん薬などの薬物療法や神経ブロックが行われる。今回処方されたノイロトロピンはワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤である。この薬剤は下行性疼痛抑制系の活性化、ブラジキニン遊離抑制作用、末梢循環改善に基づく患部冷温域の皮膚温上昇作用を示す。

 同薬は、以前は帯状疱疹痛の発症後6カ月以上経過したPHNにしか使用できなかったが、より早期に使い始める方がPHNの治癒を促すことができるとの考えなどから、2013年7月に関連学会の要望により添付文書の使用上の注意が改訂され、上記の制限はなくなった。Tさんの主治医は、Tさんの痛みの原因が皮膚症状から神経障害性に移行したと考え、早めにノイロトロピンを投与することにしたと考えられる。

 なお、帯状疱疹発症中から同薬を使用する方がPHNを予防できると考える医師もいるが、適応がPHNであるため、抗ウイルス薬の投与終了後に開始した方が保険上は問題となりにくいもようだ。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 帯状疱疹後神経痛は、非常に痛みが強いので、お母様はさぞお辛いでしょうね。

 帯状疱疹による痛みは、初期の皮膚症状による痛みと、神経が傷付いて起きる神経障害性の痛みがあって、それぞれ治療に使うお薬が異なります。前回までは、皮膚症状が原因の痛みに効果があるカロナールが出されていましたが、今回出されたノイロトロピンは神経障害性の痛みに効果がある薬です。先生はTさんの今の痛みが、ウイルスにより神経が傷付いたせいで起きているとお考えになって、お薬を変更されたのだと思います。飲んでみて痛みが和らいだかどうか、次回教えてくださいね。

参考文献
1)臨床医薬 2012;28:161-73.
2)臨床医薬 2002;18:59-67.

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ