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Report
見えてきた! 調剤報酬改定2014
日経DI2014年1月号

2014/01/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年1月号 No.195

 「薬局の収益率は高い」「調剤報酬は引き上げる必要はない」─。中央社会保険医療協議会(中医協)では、薬局や調剤報酬の話題が出るたびに厳しい意見が出ている。2014年の調剤報酬改定では、薬局の点数に“メス”が入るのは避けようがない情勢だ。

 13年12月6日の中医協総会で了承された、14年度診療報酬改定の基本方針を見ると、薬局に関する項目には「後発医薬品の使用促進」「大規模薬局の調剤報酬の適正化」「在宅業務」が盛り込まれた。このほか、12月4日の中医協では「残薬の防止」に関しても議論され、合計で4つの論点が上がっている(表1)。いずれも点数の引き下げや、より一層の努力を求める内容だ。

表1 2014年調剤報酬改定の主な論点(中央社会保険医療協議会資料を基に編集部で作成)

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調剤基本料

店舗数で大手を狙い撃ち
 4つの論点の中で、全ての薬局に大きな影響を及ぼす可能性が考えられるのが、「大規模薬局の調剤報酬の適正化」だ。

 調剤基本料は現在、集中率70%超かつ1カ月の処方箋受け付け回数4000回超の薬局では24点で、それ以外の薬局は40点となっている。

 中医協で、厚生労働省保険局医療課は、「大型門前薬局と地域密着型薬局の区別による適正化」として、医療経済実態調査の結果(表2)を提示。同一法人の薬局は、多店舗化するにつれて収益率が高い傾向があるとのデータを提示し、調剤基本料の算定要件に、同一法人の店舗数を加えることを提案した。具体的には、20店舗以上を有する同一法人の店舗における調剤基本料の引き下げが示唆される内容だった。

 今回、大型門前薬局の適正化のために、調剤基本料の何らかの調整が取り沙汰されていることについて、中医協委員で日本薬剤師会副会長の三浦洋嗣氏は、「調剤基本料は薬局経営を維持するために最低限必要な点数。日薬として(現状の考え方は)守っていかなければならない」と強調する。

 仮に「同一法人で20店舗以上」という要件を導入する場合、点数設定は複数考えられる。

 まず、同一法人内の薬局は全て24点とする案。大手チェーンの中でも40点を算定している薬局には大打撃だ。しかし、この法人内の24点の薬局には影響がない。そこで、同時に現在の24点を08年3月までの調剤基本料である19点に引き下げる。こうすれば、法人内の全ての店舗が引き下げとなる。

 次に、20店舗以上を所有する法人の全薬局の調剤基本料を一律マイナス5点などとする案も考えられる。

 ただ、「同一法人」の解釈は難しい。例えば、20店舗以上を有する株式会社が別会社を設立し、そこに店舗を譲渡した場合に別法人と解釈されるのか。「資本関係があれば、同一法人とみなす」という文言を入れるなど、厚労省は“抜け穴”を埋めなければならないが、そうしたルール作りは容易ではない。

 また、店舗数の要件は入れず、「調剤基本料24点の薬局=大型門前薬局」と捉え、その点数だけを19点などへ下げる方法も考えられる。そうすれば大型門前薬局の狙い撃ちになるが、調剤基本料の算定回数全体に占める24点の算定回数の割合は4~5%で、24点を算定する薬局数は全体の1%程度。大手チェーンを批判する中医協の医師委員や、支払側委員を納得させられるほどの財源の節減になるとは言いがたい。また、店舗を近隣にもう1軒作り、1軒当たりの処方箋を分散させるなどの抜け穴も出てきそうだ。

 日薬の三浦氏は、13年12月4日の中医協で「薬局の規模に応じて収益が高くなっているのは事実。何らかの対策は必要」と適正化を容認しながらも、「大型門前薬局でも地域の医療提供施設として機能している薬局はある」と擁護する姿勢を見せている。

 一方、チェーン薬局を中心とする団体の日本保険薬局協会は、日薬に要請文を提出。「診療報酬では“一物一価”が原則で、単に店舗数の多寡という外形的基準でこの原則を崩すと、診療報酬全体に悪影響を及ぼす」などと主張し、三浦氏に中医協で敢然と反論することを求めている。

 店舗数の要件が入るか否かは、財源にも影響される。調剤料の改定率は+0.22%(うち消費増税分は+0.18%)の微増にとどまった。調剤基本料全体の引き下げという、全ての薬局が道連れになる可能性も残されている。

表2 薬局1店舗当たりの店舗数別損益状況(出典:第19回医療経済実態調査)

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後発品

現指標の3割以上で評価
 後発品の加算点数も、算定のハードルが大幅に上がる見込みだ。

 まず、調剤基本料の後発医薬品調剤体制加算の算定要件の指標が変わり、多くの薬局が影響を受ける。

 指標はこれまで「後発品/全医薬品」(数量ベース)で計算されていたが、次期改定から「後発品/(後発品がある先発品+後発品)」で計算する新指標(置き換え率)に改められる。さらに、「後発品がある先発品」と「後発品」の合計の調剤割合が全体の50%以下など一定水準に満たない場合は、同加算を算定不可とする案が出されている。理由は、後発品のない先発品や生薬、局方品などを調剤することが多く、後発品をあまり調剤しない薬局が、この指標だと高い数値になる可能性もあるからだ。

 なお、新指標での加算の条件(%)は具体的には示されていないが、45%以上および60%以上という2段階の点数設定がなされる可能性が高い。厚労省が中医協に提出した資料(図1)には、平均値の46.4%(旧指標では30.2%)と政府目標の60%の2カ所にラインが引かれていることから、厚労省の思惑が読み取れる。

 現在の後発医薬品調剤体制加算は、旧指標で22%以上(同加算1)が5点、30%以上(同加算2)が15点、35%以上(同加算3)が19点。

 改定によって財源を変えない(財源中立)なら、同加算1を廃止した分の財源を考慮し、新点数は45%以上が16~17点、60%以上が20点以上といった設定になることが予想される。

 薬局への経営的な影響はどうか。前述のように、新指標では、後発品だけでなく、後発品のある先発品の調剤割合が影響する。このため、今、後発品を多く調剤しているからといって高点数を維持できるとは限らない。図1の青色の部分は、13年6月の全薬局の後発品使用状況の分布を示しているが、新指標に変えたシミュレーション(赤色)の分布は分散している。薬局間の差はこれまで以上に広がるだろう。

 このように、後発品の加算は政府目標をクリアするよう設定される見通しだが、現場からはその在庫負担への不満の声が上がっている。

 東京都薬剤師会が、13年6月、会員薬局を対象に行った調査結果では、後発医薬品調剤体制加算1を算定している薬局の備蓄後発品品目数は273.8品目、加算を算定していない薬局では202.2品目で、70品目強の差が生じていた。都薬会長の山本信夫氏は、「後発品の在庫負担は1品目平均して月1万円としても70万円/月、年間にすると800万円以上となり、影響は大きい」と指摘。「加算は取得可能だが、後発品の使用に積極的な薬局ほど経営が圧迫されている現状について、十分な理解が得られるよう、中医協でも問題意識を持つべきではないか」と山本氏話す。

図1 新旧指標(数量ベース)による後発品の使用状況割合(出典:中央社会保険医療協議会総会資料)

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注1)審査支払基金においてレセプト電算処理システムにより処理された調剤報酬明細書のうち、2013年6月審査分を集計対象としたものである。
注2)「数量」とは、薬価基準告示上の規格単位ごとに数えた数量をいう。
注3)新指標は、[後発品の数量]/([後発品のある先発品の数量]+[後発品の数量])で算出している。
注4)旧指標の算出に当たり、「経腸成分栄養剤」、「特殊ミルク製剤」、「生薬」および「漢方」を除外している。

残薬の節減

薬をそろえる前に確認
 改定の論点の中で、点数の増減や新設には影響しないが、薬局での業務フローの見直しを迫られることになりそうなのが、残薬の確認に関して。薬剤服用歴管理指導料(処方箋受け付け1回につき41点)の要件に、「残薬の確認」が入ったのは12年の改定時。中医協では14年改定に向けてそれを行うタイミングを議論している。

 厚労省や日薬の調査によると、薬剤師が服薬状況や残薬を確認するタイミングは、ほとんどが薬剤の交付時で、受け付け時はわずかであることが判明している(図2)。これでは確認した結果に応じて、薬剤師が処方医に処方量を減らすことを提案したり、分割調剤を行ったりしにくい。

 そこで、12月4日の中医協では「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」または通知によって、処方箋受け付け時(薬を取りそろえる前)にこうした確認を行うようにすることが、議題に上がった。現在でも、薬剤服用歴管理指導料の留意事項には、「処方箋の受け付け後、薬を取りそろえる前に、患者などに確認するよう努める」と書かれているが、さらに徹底する。

 具体的な方法を「薬剤師による受け付け時の口頭確認」とするのか不明だが、残薬を事前に確認する手順をいかに組み込むか、業務フローを見直す薬局も出てくるだろう。

 三浦氏は、「残薬確認で、処方箋受け付け時にただ薬が余っているかどうかを尋ねるだけでは十分とはいえない。薬歴やお薬手帳の確認も行い、そもそもなぜ薬を飲む必要があるのかという薬識を患者に持ってもらうところまで行うのが、薬剤師の務めであり、それを含めて薬剤服用歴管理指導料で評価しているということ」と説明する。

図2 薬剤師が薬剤管理業務などを実施するタイミング(中央社会保険医療協議会総会資料を基に編集部で作成)

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長期処方の分割調剤も浮上
 残薬への対策として、もう1つ話題に上がっているのが、大病院から出される長期処方について、分割調剤を試行的に原則義務化するというもの。

 長期処方をめぐっては、13年11月末の中医協で、「患者の容態の変化に気づくのが遅れる」「患者が服薬を忘れたり、中断して、病状が改善しない」などの問題点が指摘されていた。

 分割調剤の義務化が提案されたのは、特定機能病院と500床以上の地域医療支援病院からの長期処方について。ただし、現行の取り決め(「薬局なんでも相談室」参照)の変更や新たな加算などはないもようだ。

 大病院の処方箋で分割調剤が進められた場合、患者宅などに近い地域に密着した薬局に、そうした処方箋が持ち込まれるケースが想定される。

 日薬相談役の漆畑稔氏は、「大病院で処方するような薬剤まで、門前以外の薬局が幅広く仕入れておくのは難しいだろうが、薬局の積極的な取り組みが問われることになる」と話す。

 三浦氏は、分割調剤の試行的な取り組みに賛成の姿勢だが、中医協の医師委員からは、「医師が頻回に診察して処方量を調整すべき」「(分割調剤よりも)まずは薬剤師が医師に連絡して、医師が処方内容を変更するのが筋」などと慎重な声も上がっている。日本医師会の考え次第で、14年改定での導入は見送りになる可能性もある。

在宅業務

薬情に在宅の取り組み記載
 在宅業務に関する改定は、点数の引き上げではなく、在宅の普及を目的とした体制整備が主眼となりそうだ。

 厚労省は、「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向」(調剤メディアス)などから、「全体では薬剤師による在宅の薬剤管理は進んでいるが、更なる促進が必要」とし、患者への周知や開局時間以外の対応に課題があるとした。そこで、在宅業務を行っている薬局を周知させる方法として、患者に渡す薬剤情報提供文書に、対応可能である旨を記載する案が上がっている。

 また、医療機関が薬局の地図を配布する際に、在宅業務を行っている薬局が分かるように示すことも議題に上った。現在は「保険医療機関及び保険医療養担当規則」で、患者に特定の薬局を誘導する行為は禁止されているが、こうしたケースでは認める方向だ。

 開局時間以外の対応については、原則として1つの薬局が単独で対応する方向性が示されている。在宅業務を実施可能と地方厚生局に届け出ている薬局が算定できる基準調剤加算は、近隣の薬局との連携が取れていれば要件をクリアできたが、今後は個々の薬局の体制強化を求める格好だ。

 一方、無菌調剤室を共同利用した場合の調剤報酬を算定できるようにしたり、薬局で給付が認められていない在宅用の特定保健医療材料を取り扱えるようにするといった、在宅業務を後押しするような要件緩和がなされそうだ。

 一方、13年12月6日の中医協では、病院薬剤師による訪問薬剤管理指導に対する評価が話題に上った(「TOPICS」参照)。三浦氏は「病院薬剤師が在宅業務に関わることは歓迎すべきだろう。さらに在宅医療の観点からの薬薬連携が進み、薬局薬剤師が病院の退院時カンファレンスに積極的に参加するようになってほしい」と話している。

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