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医師が語る 処方箋の裏側
高用量のメトホルミンを1日2回で処方する理由
日経DI2014年1月号

2014/01/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年1月号 No.195

 会社の健康診断で高血糖が見つかったのを機に糖尿病と診断された山口誠さん(仮名、55歳)。お酒と揚げ物が大好きな会社員で体格指数(BMI)は25、治療前のHbA1cは9%台だった。

 山口さんのような肥満型の糖尿病には、肝臓での糖の放出や取り込みを調節し、インスリン抵抗性の改善作用があるメトホルミン塩酸塩が著効することが多い。特に1日750mg以上の高用量投与により、血糖値が劇的に改善する。山口さんには、メトホルミンで唯一750mg以上2250mgまでの高用量の使用が可能なメトグルコ錠を選択し、1日1000mgを投与することにした。

 そこで工夫したのが、投与回数だ。

 糖尿病治療薬の服薬コンプライアンスを調べた調査では、1日の服用回数を朝昼夕の3回にすると、昼の服薬が抜けやすいという報告が多い。中には昼の服薬率は30%台との調査結果もある。そのため私は、通常は朝昼夕食後に分服させることが多いメトホルミンを、あえて朝夕食後の2回で服用させている。山口さんにも、1日1000mgを朝夕2回に分割して服用してもらうことにした。

 日本人ではメトホルミンの1回の投与量が750mgを超えると消化器症状が出やすく、服用困難となる例が多い。消化器系の副作用を防ぐために、250mg/回の朝夕食後の服用から開始し、2週間後に500mg/回に増量した。メトグルコの500mg錠はサイズが大きく、うまく飲み込めない患者が多いため、1回に250mg錠を2錠服用するよう指示した。

 さらに、メトホルミンと相性がいいインスリン分泌促進薬の中からジペプチヂルペプチダーゼ4(DPP4)阻害薬のジャヌビア(一般名シタグリプチンリン酸塩水和物)を選んで追加した。右の処方箋はそのときのものだ。

 治療開始後、HbA1cは月に1%程度のペースで低下し、現在は7%台を推移している。低血糖がない限りは、この処方のままで1年ほど様子をみる予定だ。(談)

山内 俊一氏
Yamanouchi Toshikazu
北東京寿栄園(東京都板橋区)兼担帝京大学医学部教授。1978年東京大学医学部卒業。同大第三内科入局。帝京大学第二内科講師、助教授などを経て、99年から内科教授。2009年から現職。専門は、内分泌代謝・糖尿病。フルクトース毒性や1,5-AGなどを研究。

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