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特集:健康フェアの上手なやり方
測定&相談編:体組成、骨、血流を中心に 測定結果を相談につなげる
日経DI2014年1月号

2014/01/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年1月号 No.195

 薬局の健康フェアで中心となるのは、何といっても測定コーナーと相談コーナーだ。体組成計、骨の健康度を測る機器、血管系測定機器─の3種類は多くの薬局が取り入れている。

 体組成計は、体重や体格指数(BMI)、部位ごとの体脂肪や筋肉量などが分かる。骨の健康度を測る機器は骨密度計など、血管系測定機器は血流計や血管年齢計など動脈硬化の目安を測るものだ。健康に過ごすには、生活習慣病や骨粗鬆症の予防が欠かせないと考える人が多く、それらの目安となる数値を気にする人は多い。

 そこで、これらの3種類をベースに、テーマや規模に合わせて他の機器の導入を検討するのがよいだろう。例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)がテーマであれば肺機能を計測する機器を、紫外線がテーマなら肌の状態が分かる機器をプラスするといった具合だ。

 測定機器は、機種によって精度や結果の表示方法が違うが、最近多いのは、年齢に換算して結果が表示されるもの。例えば、1秒間の呼気量を計測し年齢換算する肺年齢計、タッチパネル上の数字を順に押していくことで記憶力や情報処理能力などを総合的に判定して年齢を表示する脳年齢計などだ。これらは、結果のインパクトが大きく、人気が高い。

 機器は、薬局で所有している場合や、医薬品卸や調剤機器メーカーが貸してくれる場合もあるが、健康測定機器のレンタル会社で借りるのが一般的だ。1台に付き2万~3万円程度の費用が掛かるが、最新の機器が使えるし、テーマに合わせた機器が選べる。

 レンタル会社は数多くある。灰吹屋薬局(川崎市高津区)管理部総務・人事課長の藤田岳彦氏は、「会社によって、値段やフォロー体制に違いがある」と言う。同社では、使い方を指導してくれたり、万一、機器が動かなくなった場合にすぐに対応してくれるなど、フォロー体制を重視して会社を決めているという。一方で、フォロー体制よりも価格を重視する薬局もある。インターネットなどで調べて、自分の薬局に合った会社を選ぼう。

“渋滞”しないレイアウトを
 測定コーナーは最も人が集まるため、“渋滞”しないようなレイアウトを考える。体組成計や骨密度計は靴下を脱いで測定する必要があるため、待ち時間に靴と靴下を脱いでもらえるような配置にしておくと、スムーズだ。

 また、測定するスタッフの他に、全体を見回すスタッフを配して、空いている機器に誘導するようにしたい。

 測定結果を基に相談を受けてもらうという流れにすると、相談内容が充実する。長年、健康フェアを開催している、ひまわり薬局の永田氏は「最初の頃は相談コーナーに人が少なく、盛り上がりに欠けた」と振り返る。それが、ある時期から来場者に健康測定を受けてもらい、セミナーを聞いてもらった後に相談コーナーに来てもらうように誘導したところ、来場者が積極的に生活や健康について、相談してくれるようになったという。測定結果を見て、セミナーを聞くことで、自分の生活や体調を振り返るようになり、その結果、相談したいことが出てくるようだ。

 測定結果に基づいた生活に関するアドバイスも、積極的に行いたい。例えば、体組成測定の結果を見て、体脂肪が多い人には食生活の指導を、足の筋肉が少ない人には運動を、骨密度が低い人には、食事や運動のアドバイスをするといった具合だ。

 その際に重宝するのが、製薬会社が発行する疾患啓発用の冊子だ。「特に、骨粗鬆症や高血圧といった疾患別のものや、食事や運動に関するものなどが便利」と、薬樹健ナビの健ナビ薬局南林間(神奈川県大和市)管理薬剤師の加藤知穂氏は言う。

健ナビ薬局南林間
管理薬剤師
加藤 知穂氏

 さらに、同氏は「相談を充実させるには過去の記録が重要。簡単なものでよいので、記録用紙を用意して測定結果を書き込み、次回に必ず利用することが大切」と付け加える。

 同薬局では、半年ごとに健康相談会を開催。体組成計、血圧・血流計、骨密度計の3機器で測定し、栄養相談や健康相談を受けて500円の有料としているが、毎回50人以上が来場するという。

 リピーターが多く、「言われた通りに食事に気を付けたから、前回よりは良かった」「ここのところサボっていたからなあ」といった声が聞かれる。前回の結果との比較が生活改善のモチベーションにつながり、継続してフェアに足を運ぶ動機となっているようだ。

来場者に人気の測定機器(健ナビ薬局南林間と灰吹屋薬局)

体重や部位ごとの体脂肪や筋肉量などが測れる体組成計。下半身の筋肉量が少ない場合には、ウオーキングを勧めるなどのアドバイスができる。

骨の健康度を気にする高齢女性は多い。


血圧や血流を測定。生活習慣病の目安となる。
(写真提供:(下)灰吹屋薬局)

測定結果やセミナーの話を踏まえて相談やアドバイスを行う。
(写真提供:ひむかメディカル)

測定結果の記録用紙(健ナビ薬局南林間)

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測定結果を記録する用紙を必ず用意して、次回のフェアにも生かす。

HbA1cやコレステロールなどの測定も

 自己穿刺による微量採血による測定を取り入れる薬局もある。サンキュードラッグは、広島大学大学院臨床薬物治療研究室教授の森川則文氏の指導の下、健康フェアでHbA1c値や総コレステロール値、中性脂肪値などを測定している。

 「森川先生がまとめた薬局での測定データでは、HbA1cは約1800人中、約80人が基準値を超えていた。疾患の早期発見には、健康フェアなどでの測定は意義がある」と同社取締役ファーマシー業務推進部長の渡邉光雄氏は言う。

 ただし現在、微量の自己採血による検査を薬局で行うことについては議論がある。通常の血液検査は、都道府県に登録した衛生検査所で行うよう、臨床検査技師法で定められている。微量の自己採血による検査がこれに当たるかが争点だ。厚労省では、薬局でも可能になるように、前向きに検討しているようだ。

 実施する上では、自己穿刺であること、診断しないこと、特定の医療機関を紹介しないなどに留意する。また、針を毎回、交換することはもちろん、補助する薬剤師の手袋を毎回変える、針は医療用廃棄物としてきちんと破棄することなどが求められる。同社では、広島大学で研修を受けた上で行っている。

(写真提供:サンキュードラッグ)

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