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いまさら聞けない栄養の話
ダイエットの大原則は摂取エネルギーの抑制
日経DI2014年1月号

2014/01/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年1月号 No.195

太田 篤胤 Atsutane Ohta
城西国際大学薬学部教授
東京農工大学卒業。テルモ、明治製菓を経て、2004年から現職。「オリゴ糖のミネラル吸収促進作用」の研究で、トクホを商品化した経歴を持つ。趣味はフルマラソン。

 ダイエットを始めたら、みなさんは何を食べるのを控えようと考えるだろうか。

 甘いものや脂っこいものを減らせという人がいれば、ごはんを食べるなという人もいる。それぞれに理屈はあるのだろうが、三大栄養素の炭水化物、蛋白質、脂質のいずれかの摂取を極端に抑えたダイエット法で、長期的な効果が実証されたものは実はない。

栄養素の比率は影響せず

 三大栄養素の中で食べるべき最低量が明確に分かっているのは蛋白質のみだ。それを踏まえて、残りの摂取エネルギーをこの三大栄養素のいずれかで摂取することになるが、その比率はほとんどダイエット効果に影響しないという研究結果が米国の医学雑誌に報告されている1)。

 研究では、エネルギー量は同じだが、三大栄養素の比率が異なる食事を24カ月にわたって食べてもらい、それぞれの減量効果を調べた。

 対象は、811人の過体重の成人。6カ月で体重の7%(平均6kg)の減量を目標として摂取エネルギー量を設定し、摂取エネルギーに占める炭水化物、蛋白質、脂質の割合(%)を、それぞれ「65対15対20」「55対25対20」「45対15対40」「35対25対40」の4種類設定して被験者を割り付け、24カ月間にわたり減量効果を比較した。その結果、減量効果はいずれの食事群においても同程度に認められた(図)。

図 食事群ごとの体重変化

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 摂取カロリーが同じであれば、減量の効果に食事の内容による違いはなく、心血管疾患や糖尿病の発症リスクを低下させるレベルで減量効果が認められた。この結果について著者らは、個人の嗜好に合った継続しやすいエネルギー制限食がダイエット成功のカギであると考察している。

極端な比率は健康に悪い

 ただ、上の結果から、「総摂取カロリーを抑えられれば、何を食べてもよい」とまで考えるのは行き過ぎだ。例えば、短期間で高い減量効果が得られると話題になっているダイエット法に炭水化物を極端に減らす「低糖質ダイエット」があるが、最近の研究で、このような極端な方法には、長期的には脂質や蛋白質の代謝に悪影響を及ぼす危険性があると指摘されている。

 ダイエットの鉄則はエネルギー収支をマイナスにする、すなわちエネルギーの消費量を摂取量よりも大きくすることだ。

 健康に悪い可能性がある極端に偏った栄養摂取は控えた方が賢明と考えられるが、基本的には、細かい食事の中身をあれこれ気にする前に、まずはしっかりと摂取エネルギーを制限することが大切なのである。

参考文献
1)N Engle J Med 2009;360:859-73.

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