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DIクイズ3(A)
DIクイズ3:(A)ケイツーシロップの新しい投与法
日経DI2014年1月号

2014/01/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年1月号 No.195

出題と解答 : 鈴木 光
(株式会社南山堂[東京都港区])

A1

(1)~(4)の全て

 ビタミンK欠乏性出血症は、体内のビタミンKが欠乏することにより、ビタミンK依存性凝固因子の活性が低下し、出血傾向が高まる疾患である。ビタミンKは食事からの摂取のほか、腸内細菌叢による産生分も利用できるため、小児期以降に欠乏を来すことはほとんどない。

 一方、新生児や乳児では(1)ビタミンKの経胎盤移行性が低く出生時の備蓄が少ない、(2)ビタミンKを産生する腸内細菌叢が未形成、(3)哺乳による摂取量が不十分─などの理由により、ビタミンK欠乏性出血症を起こすことがある。この時期の同症は、出生から7日目までに発症する新生児ビタミンK欠乏性出血症と、それ以降に発症する乳児ビタミンK欠乏性出血症に分けられる。新生児の出血部位は皮膚や消化管が多いが、乳児では8割以上に頭蓋内出血が見られ、予後が悪い。乳児では主として母乳栄養児に起きるが、これは母乳に含まれるビタミンKが乳児用調製粉乳(粉ミルク)より相対的に少ないためである。

 いずれも出生後のビタミンK製剤投与により予防でき、日本では1980年代から後述する「3回投与法」が実施されてきたが、より予防効果を高めるため、日本小児科学会は2011年にガイドラインを改訂して投与方法の見直しを提唱した。そのため、ガイドライン改訂前に出生したAちゃんの兄とAちゃんで、ビタミンK製剤の投与方法が異なったと考えられる。

 改訂後のガイドラインにおいても、ビタミンK製剤の投与方法の基本は、ビタミンK2のシロップ剤であるケイツーシロップ(一般名メナテトレノン)などのビタミンK内用液をメナテトレノンとして2mg/回、出生時、生後1週間、1カ月健診時の3回服用させる「3回投与法」である。ただし留意点として、3回投与法の実施下でも乳児ビタミンK欠乏性出血症の発症が認められることを指摘した上で、「このような症例の発生を予防するため、出生後3カ月までビタミンK2シロップを週1回投与する方法もある」と記述している。乳児ビタミンK欠乏性出血症は、3回投与法における発症が出生10万人あたり0.44人であるのに対し、連日(メナテトレノンとして25μg/日)あるいは週1回(同1mg/回)の投与では発症例がないことが報告されている(表)。

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 Aちゃんの主治医は、このデータや改訂後のガイドラインを踏まえ、ビタミンK欠乏のリスクが高い完全母乳栄養児のAちゃんに、出生後3カ月まで週1回ビタミンK製剤を投与することにしたものと考えられる。ケイツーシロップは11年に、家庭での投与に適した分包製剤に切り替わった。ただし、今回のように予防目的で使用する場合は、保険給付の対象とならないことにも留意しておきたい。

こんな服薬指導を

イラスト:加賀 たえこ

 Aちゃんとお兄ちゃんとでケイツーシロップを飲ませる回数が違って、驚かれたことと思います。実は最近、ガイドラインが変わって、母乳で育てているお子さんには生後3カ月まで毎週飲ませてもよいことになりました。粉ミルクと比べると、母乳にはビタミンKが少ないですから、先生はAちゃんが完全母乳だと聞いて、生後3カ月まで飲ませた方がよいと考えたのでしょう。

 赤ちゃんはビタミンKが不足しやすく、不足すると頭蓋骨の内側で出血して後遺症が残ることがあります。それを予防するための大切なお薬です。母乳を与える前に、パッケージからスプーンなどに移して飲ませてください。

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