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患者指導ワンポイントレッスン
Lesson15 肩凝りを改善するためのポイント
日経DI2014年1月号

2014/01/10

日経ドラッグインフォメーション 2014年1月号 No.195

監修 古谷 伸之氏
(東京慈恵会医科大学内科学准教授 総合診療内科)

 肩凝りは一般に病気として認識されないが、長期に症状が持続し、日常生活に支障を来して悩む患者は多い。肩凝りは、首と肩の周辺の筋肉が収縮して緊張している状態を指す。収縮した筋肉は、それ以上収縮できないため、力が出せない。それを補うために、周囲の筋肉を収縮させるという悪循環に陥り、疲れや痛みを感じるようになる。

 つまり肩凝りを改善するためには、筋肉の緊張が続かないようにすると同時に、収縮した筋肉を弛緩させて力が出るようにする必要がある。

PC操作時の姿勢を見直す

 最も重要なのは、筋肉の緊張が続かないよう、日常生活で正しい姿勢を保つことである。

 例えばパソコンを操作する際、前かがみになり顔を突き出すだけで首や肩の筋肉に負担が掛かる。負担を減らすには、(1)キーボードをできるだけ体の近くに寄せる、(2)腰を机の下に入れるようにして後傾姿勢を取る、(3)椅子と腰の間にクッションを挟むなどして、腰を前に出っ張らせることを意識する、(4)背中を椅子の背もたれに沿わせ、顎を引く、(5)モニター画面をのぞき込まないように、モニター側を近づける─といった点に注意するとよい。時々、腰の後ろで手を組んで腰を前に出し、肩甲骨を寄せると、首や肩の筋肉の緊張を緩めることができる。

 また、就寝時の姿勢も重要だ。夜間の筋緊張を最小限にするために、腰の下にタオルを入れ、少し腰を浮かせるようにし、顎を引いてうなじをできるだけ敷布団に近づける。枕ははずすか、頭の先に当てて顎を引くのを助ける。高反発マットレスを勧めることもある。

 なお、首の下に枕を当てる人がいるが、首や肩の筋肉が圧迫され、逆効果になるので注意したい。

マッサージは入浴前に

 また、肩凝りの改善には、筋肉を温めることが有効だ。そのためには、入浴をシャワーで済ませずに、ぬるめの湯船に長く浸かるとよい。40℃ぐらいの温度で40分ほど入浴することを勧めている。筋肉が温まりリラックスした状態で、良質な睡眠をしっかり取ることができれば、肩凝りの改善を助ける。

 マッサージをするときは、筋肉を壊さないように、痛みを感じない程度に軽く、筋肉の線維に沿ってさするのが望ましい。マッサージによる「もみ返し」を予防するために、入浴はマッサージの前ではなく、マッサージの後がよい。

 このほか、上半身の筋肉を動かす運動も肩凝りの症状改善には有効である。単なるストレッチでなく、できるだけ力を込めて、筋肉を動かすことを意識するように指導する。

 具体的には水泳、力一杯のラジオ体操などを勧めている。最初のうちは肩の痛みなどで運動をつらく感じるかもしれないが、しばらく続けるうちに症状が改善することが多い。

肩凝りにNSAIDsを処方

 私は、ひどい肩凝りの患者に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を処方する。1日1回、朝のみの服用でも症状が改善するケースが多い。NSAIDsが使用できない患者には、鎮痛鎮痙作用を持つ芍薬甘草湯などの漢方薬を処方することもある。

 痛みには、意識する痛みと意識しない痛みがある。肩に痛みは感じていないという人でも、筋肉を押さえると強い痛みを訴えることが少なくない。痛みを自覚していない肩凝りの人も、NSAIDsなどの鎮痛薬を使うと、肩凝りの症状が軽くなることが多い。

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